はじめに

日本ではまだあまり知られていませんが、西欧では究極の癒しスポットとして憧れの的となっているのがインド・ケララ州の「バックウォーター」。南国田舎の息を呑む美しい情景の中を、ハウスボートでのんびり旅します。この上ない心の洗濯時間になりますよ。

Text&Photo:とまこ 趣きがあって快適、ハウスボートってどんな船?

趣きがあって快適、ハウスボートってどんな船?

「ハウスボート」とはケララ州の伝統的な船を利用した客船で、寝室やダイニング、シャワーやトイレ、スタッフ専用のキッチンなどが付いています。設備を並べると一瞬近代的な客船を思い浮かべるかもしれませんが、木造で趣き深く、小さめです。船に寝室は3室前後しかなく、とてもゆったりと利用できますよ。

ハウスボートに乗って進む世界はまさに絶景。インドをはじめ、海外のカップルはハネムーンで利用することも多いそう。日程は、日帰りでも三泊でも、ご都合に合わせてどうぞ。時間が許すならぜひとも泊まりにして、夕焼けから星空、朝焼けと、存分に堪能していただきたいです。

日本から行くのは意外に簡単

バックウォーターでのハウスボートの旅は、アレッピーという町のハウスボート乗り場である「ハウスボート・ドック」から始まります。日本からは、デリーやムンバイ、シンガポールなどを経由して、まずはコーチン空港へ。そこから街中のバスターミナルへ移動して、アレッピー行きのバスに乗ってくださいね。

さあ、アレッピーに着いたら「ハウスボート・ドック」へ! 旅慣れた方なら現場で船をブッキングするのも楽しいですが、インターネットであらかじめ予約しておくと安心だと思います(spice coast cruises、Rainbow Cruises、Welcome Crusesなどがハウスボートを取り扱っている)。 子供にも大人にも、通りすがりに「ナマスカール」!

子供にも大人にも、通りすがりに「ナマスカール」!

昼間のハウスボートでのお楽しみは、のんびり風景を堪能すること。船のデッキはソファやイスが置かれたリビングになっているから、ゴロゴロしてお茶しましょう。ココヤシの木々を通り抜ける光やさわさわ優しくそよぐ風、広―い空を感じながらゆったり。時折川辺に現れる村では、川っぺりを歩く人々に「ナマスカール(=こんにちは)」と挨拶して手を触り合うのが楽しいんです。子供も大人も、ニコニコ応えてくれるから、こちらも笑顔が大きくなっちゃいます。 他では見れない神秘的な夕焼け

他では見れない神秘的な夕焼け

夜のお楽しみは夕日を堪能すること。ハウスボートはそこまで高さがないので目線は水面にほど近く、川面に反射する光を絶妙な角度と迫力で味わうことができるのです。こんな夕日体験、他のどこでできるでしょう。

村の人々が、ごくたまにボートに乗って川を渡っていきます。感動的な情景の中で日々暮らしている方々がいることに、カルチャーショックを受けるかもしれません。 夕焼け空の色は、大気中の水分量が多いほど赤く見えるそう。ここの空気は湿気をたっぷり含んでいるので、とても綺麗な赤色に。
どうしようもなく美しいこの夕焼けを乱すものは何もありません。視界には、空と、ココヤシと、水だけ。一生ものの夕暮れ体験が待っています。

マジックアワーが終わる頃、船のスタッフさんが作りたての夕食をリビングに運んできてくれます。感動の余韻が、心のこもった食事のおいしさを、さらに引き立ててくれるはず。

夜は船を岸に繋いで安定させます。ぐっすりお休みくださいな。 朝焼けにも乞うご期待。圧倒的な太陽を迎える

朝焼けにも乞うご期待。圧倒的な太陽を迎える

どんな立派なホテルに泊まっても、この朝焼けの景色には出合えません。大自然の中にいないと。でも、ホテルから朝焼けのために自然の中へ向かうには、相当頑張って早起きしないと叶いません。だから朝焼けを堪能するにも、ハウスボートがベストチョイス。大自然の中で眠って目覚めるからこそ、最高の空に出合えるのです。

牧歌的な世界で迎える太陽は圧倒的な存在感ですよ。 船から岸に降りたら、草に目を落としてください。朝露が太陽の光を反射して光っています。こんなに美しい水滴を見たことがないと、びっくりするでしょう。 だんだん辺りが明るくなると、周辺の村の人たちが活動を始めます。こっちの岸からあっちの岸へ、生活するため渡って行く。ただそれだけのことが、とても美しく目に映るんです。

日が昇った頃、スタッフさんが朝食をリビングに運んできてくれます。感動するのはエネルギーを使います。きっとお腹がいつもより空いていることでしょう、たくさん食べてくださいね。

これが1泊コースなら、このタイミングでボートは出発点のハウスボート・ドックに向って走り出し、数時間で到着です。

有意義すぎる「のんびり」タイムにすっかり癒され、心も体も軽やかになっていることに気づくと思います。

おわりに

秘境添乗員や、バックパッカーとして辺境を歩いてきましたが、バックウォーターの時の流れの美しさは格別です、太鼓判です。ぜひここで、心地良いの極みを味わってください。

◆とまこ
明治大学在学中からバックパッカーとしてデビューし、卒業後は秘境ツアーコンダクターに。現在は旅作家&おしゃれパッカーとして本の執筆や講演、TV出演など多方面で活躍中。著書に『離婚して、インド」(幻冬舎文庫)、『世界の国で美しくなる!」(幻冬舎)など既刊12冊。2017年9月20日には新刊『台湾で朝食を 日常よ、さようなら!』(メディアパル)発売。


情報提供元:旅色プラス
記事名:「元秘境ツアー添乗員・とまこおすすめ! 南インドのバックウォーター・クルーズが極上すぎる【連載20回目】