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ジープ・ラングラー アンリミテッド・ルビコン「究極の4×4システム」だから走破できる場所がある。でも、ジープの魅力はそれだけではない


ジープの実力を試すのに絶好なシチュエーションでラングラー・アンリミテッド・ルビコンを試乗した。


TEXT &PHOTO◎世良耕太(SERA Kota)

3.8ℓV6DOHCエンジンを搭載するラングラー・アンリミテッド・ルビコン

 ジープには、頑丈で悪路に強い四輪駆動車のイメージがある。1941年に軍用車として誕生したジープの伝統と機能を受け継ぐのがラングラーだ。丸型のヘッドライトと、そのヘッドライトに挟まれた7本のスリットグリルの組み合わせは「ジープ」のアイコンで、これを見ると、高いオフロード走破性を感じるよう刷り込まれてしまっている。四つ葉のクローバー(クアドリフォリオ=アルファロメオのレーシングスピリットを受け継ぐ高性能車に与えられるエンブレム)を見たら、「こやつは速いゾ」と身構えてしまうのと一緒だ。

ラングラーの3仕様に試乗できた。左がアンリミテッド・ルビコン、中がアンリミテッド・サハラ2.0L、右が2ドアのラングラー・ルビコン

 7月6日はジープ・ラングラーの実力を確かめるのに、またとないステージが用意されていた。長野県白馬にあるスキー場のゲレンデである。夏なので、厚い雪の代わりに草が背の高さまで生い茂っている。リフトの脇には上と下の拠点を結ぶ連絡路が整備されているのだが、見上げるような急斜面であり、砂利道だ。




 実は試乗会の集合地点に向かう際にルートの選択を間違ってしまい、見上げるような急斜面の下で立ち往生した。このまま登っていけば集合地点にたどり着くことが想像できたが、斜面の角度と路面の状態を見て諦めた。急角度の砂利道は、度重なるクルマの走行によって轍ができており、中央が大きく盛り上がっていた。しかも、外に出るのがはばかられるほどの雨が降り続いている。もっというと、頼りの道は真っ直ぐではなく、生い茂った草によって先が見通せない状況だった。

白馬のスキー場のゲレンデが試乗会場。夏のゲレンデはこの通り、普通はクルマで上り下りしようとは思わない場所だ。

 そのとき筆者は、四つ葉のクローバーをフロントフェンダーの左右に張り付けたクルマ、すなわちアルファロメオ・ジュリア・クアドリフォリオに乗っていたのだが、いかに四つ葉のクローバーでさえ、雨に濡れた急斜面の砂利道では水戸黄門の印籠のような効力は期待できないことを瞬時に理解した。丸型ヘッドライトと7本スリットグリルでなければだめなのである。




 後でわかったことだが、ジープ・ラングラーは、「やめておこうよ」と雨音でかき消されそうなほどの小声で撤退を宣言した急斜面の、雨に濡れた、先の見通せない砂利道を、何の苦もなく駆け上った。登ってみてわかったことだが、四つ葉のクローバーでチャレンジしないで本当によかった。

晴れていれば前方の青木湖が美しく見えるはずだったが、当日は「ジープ日和」で強い雨。夏草は滑り、ラングラーでないと走れないコンディションだった。

 ジープ・ラングラーとの付き合いで最初に感激したのは、実は悪路走破性の高さを体感した瞬間ではなく、ドアを開けた直後のことだった。心躍るとはこのことだ。ハイテク秘密基地にもぐり込んだかのような錯覚を覚えた。映画『ミッション・インポッシブル』のシリーズのひとつに、貨物列車のコンテナに逃げ込むシーンがある。扉を開けて入り込んでみるとそこは秘密のミッションルームで、高級ホテルのラウンジのようなムードが漂っており、壁にはハイテク機器が埋め込まれている。無骨なラングラーのエクステリアと、未来的ハイテク感満載のインテリアは、コンテナと秘密基地のギャップに通じるものがある。ラングラーに乗り込めば、イーサン・ハント(トム・クルーズが務める諜報員であり、映画の主人公)の気分に浸れる。

インテリアは、無骨さと未来感がミックスした魅力的な空間になっている。

 それでは、耐候型のエンジンスタートボタンを押して、ミッションを始めることにしよう。危機一髪の状況から脱出するための特殊な装置に関しては、事前に使い方を把握しておかないと、いざというときに役に立たない。ラングラーも同じ。このクルマは四輪駆動だが、「ヨンク」のひと言で済ませられるほど単純ではない。二輪駆動と四輪駆動が任意に切り換えられるし、四輪駆動にもバリエーションがある。「究極の4×4システム」を搭載するRubicon/Unlimited Rubiconをベースに整理すると、次のようになる。

トランスミッションは、ZF製8速AT(8HP)を使う。1速:4.714 2速:3.143 3速:2.106 4速:1.664 5速:1.285 6速:1.000 7速:0.839 8速:0.667 後退:3.295 減速比:高1.000 低4.000 最終減速比:4.100

2H:2輪(FR)駆動。舗装路クルーズ用


4H AUTO:前後輪に自動的に駆動力を分配するフルタイム4WD。オンロード、オフロードを問わず有効


4H:センターデフをロックした状態の4WD。雪道や砂利道などの未舗装路で有効


4L:ギヤ比を4:1の低レンジにすることで駆動力を高めた4WD。悪路や岩登りなどで有効




 さらに、スイッチ操作ひとつで前後のデフを同時に、またはリヤのみロックできる「トゥルロック」を装備。電子制御フロントスウェイバーディスコネクトシステムを搭載するのもRubicon/Unlimited Rubiconの特徴で、フロントのスウェイバー(アンチロールバー)の機能を解除するシステムだ。前輪のストローク自由度を高めるこのシステムは、4L選択時かつ29km/h以下で選択できる。

全長×全幅×全高:4870mm×1895mm×1850mm ホイールベース:3010mm

トレッド:F1600mm R1600mm 最低地上高:200mm
車重:2050kg 最終回転半径:6.2m

30度の勾配がどのくらいか、スキーをした経験がある人ならわかるだろう。

 アスファルトが似合う乗用車ではためらうような急勾配の未舗装路でも、ラングラーなら4H AUTOで事足りてしまう。電子制御センターロックがフリーなぶん旋回性は高く、雨に濡れた砂利を蹴散らしながらタイトなコーナーをクリアしていく。この日はラングラーのグレード違いに乗り換えながら同じコースを3周したが、周回を重ねるごとにペースが上がっていくのが自分でもわかった。懐の深いラングラーが、「まだ大丈夫だよ」と語りかけてくるようだ(4周目があったら危なかったかもしれないが)。




 急勾配の下り、しかもμ(ミュー:路面抵抗)の低い悪路では、ヒルディセントコントロールが役に立つ。というか、当日用意されていたステージは、この機能なしには走れない悪条件だった。いかに腕自慢でも、人力によるアクセルとブレーキのコントロールでは立ち向かえない困難な状況は存在する。システムに任せたほうが安心だし、安全だ。

電子制御式フロントスウェイバーディスコネクト システムは、アンリミテッド・ルビコンのみが装備する

ヒルディセントコントロールはラングラー全グレードに装備

 下り坂に差し掛かる前に4Lをセレクトし、エアコン操作パネルの下にあるヒルディセントコントロールのスイッチを押す。すると、メーターパネル中央のディスプレイに、「+/−シフターで速度を調節してください」のメッセージが出るので、指示に従ってシフトレバーを横に倒し、遅いと思ったらプラス、速いと感じたらマイナス側に操作すればいい。あとはシステムが自動的にスロットルとブレーキを操作し、たとえそこが斜度29度の急斜面であっても、スリップして乗員をヒヤッとさせることなく走行する(実体験済みだ)。ドライバーはステアリング操作に集中するだけでいい。




「なんて頼もしいクルマなんだ」とラングラーに人一倍愛情を感じたところで、どのクルマに乗ってもそうするように、下回り(シャシー)を覗き込んだ。覗いてびっくりである。あらゆる過酷な大地と向き合ってきた歴史が凝縮されたようなたくましさだ。悪路走行後のラングラーの下回りは試合後のラグビージャージのように汚れきっており、デフケースやフレーム、ダンパーにこびり付いた泥が、くぐり抜けた過酷な戦いを物語っている。それでいて、何ごともなかったかのように澄ましているのだ。

サスペンション:Fコイルリジッド Rコイルリジッド式

ステアリングは、現代の多くのクルマが使う「ラック&ピニオン式」ではなく、「リサーキュレーティング・ボール(ボール循環式)」を使う。

 フロントの下回りを覗き込むと、現在では珍しいリサーキュレーティングボール(ボール&ナット)式のステアリングシステムが見える。遊びの出やすいシステムだが、要求操舵トルクの大きな重量車に向いたシステムともいえる。悪路(すなわちフラットではないデコボコ道)を走行する際は、リサーキュレーティングボール式のステアリングシステムがもたらす適度な遊びが、むしろありがたい。

エンジン形式:V型6気筒DOHC エンジン型式:G 排気量:3604cc ボア×ストローク:96.0mm×83.0mm 最高出力:284s(209kW)/6400rpm 最大トルク:347Nm/4100rpm 過給機:なし 燃料供給:PFI 使用燃料:レギュラー 燃料タンク容量:81ℓ

JC08モード燃費:9.0km/ℓ
吸気はここから。渡河性能もジープに要求される重要なポイントだ。

 不可能なミッションを遂行するクルマは、基礎が違うし、鍛え方が違う。それを、これ見よがしにアピールするのではなく、さりげなく主張しているのが、ジープ・ラングラーの美点だ。

ジープ・ラングラー アンリミテッド・ルビコン


全長×全幅×全高:4870mm×1895mm×1850mm


ホイールベース:3010mm


車重:2050kg


サスペンション:Fコイルリジッド Rコイルリジッド式


エンジン形式:V型6気筒DOHC


エンジン型式:G


排気量:3604cc


ボア×ストローク:96.0mm×83.0mm


最高出力:284s(209kW)/6400rpm


最大トルク:347Nm/4100rpm


過給機:なし


燃料供給:PFI


使用燃料:レギュラー


燃料タンク容量:81ℓ


JC08モード燃費:9.0km/ℓ


駆動方式:パートタイム式AWD


車両価格○612万円

2.0ℓ直4ターボ搭載のラングラーアンリミテッド・サハラ2.0

ラングラーアンリミテッド・サハラ 車両価格○590万円

サハラは、2.0ℓ直列4気筒DOHCターボを搭載する。パワーは3.8ℓV6並(V6が284psに対して直4が272ps)、トルクはV6以上。燃費も2.0ℓ直4ターボの方が優れている。

アンリミテッド・サハラ


エンジン形式:2.0ℓ直列4気筒DOHCターボ


エンジン型式:N


排気量:1995cc


ボア×ストローク:84.0mm×90.0mm


最高出力:272s(200kW)/5250rpm


最大トルク:400Nm/3000rpm


過給機:  ターボチャージャー


燃料供給:PFI


使用燃料:レギュラー


燃料タンク容量:81ℓ


JC08モード燃費:11.5km/ℓ


車両価格○590万円

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