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帰還希望者、1割どまり=避難指示解除に喜びと不安―福島県双葉町


 東京電力福島第1原発事故後、唯一全町避難が続いていた福島県双葉町で、特定復興再生拠点(復興拠点)の避難指示が8月30日に解除されることになった。ただ、帰還を希望する町民は1割にとどまる。居住再開を心待ちにする人がいる一方、生活環境などへの不安から帰らないことを決断した人もいる。  復興庁などが2021年夏に実施した住民意向調査によると、双葉町に「戻りたいと考えている(将来的な希望も含む)」と回答した人の割合は11.3%。「まだ判断がつかない」は24.8%、「戻らないと決めている」との回答は60.5%に達した。  同県いわき市で避難生活を送る松浦トミ子さん(86)は「山や川など、自分が生まれ育った場所の方が心が豊かになると思った」と双葉町での暮らしに思いをはせる。お盆には収穫したコメを親戚20人に振る舞ったり、ワラビやゼンマイなど旬の山菜を採取し炊き込みご飯や塩漬けにしたりと、自給自足の生活を楽しんできた。  原発事故前に住んでいた自宅は復興拠点外にあり、戻ることはかなわないため双葉駅西側に建つ拠点内の町営住宅に入居を申し込んだ。帰還後は友人を町に呼び、一緒に山菜採りに出掛けることが楽しみだという。「皆には『一番先に行って旗を振ってるから帰ってこいよ』と言っている」とほほ笑んだ。  一方、帰還を望まない町民は生活環境への不安を訴えている。いわき市で暮らす松本節子さん(71)は「双葉町に住むという選択肢はない」と言い切る。「医療や買い物の問題は即座に解消できない。住宅環境がここより悪い場所にわざわざ帰りたいとは思わない」と話す。事故前、松本さんは拠点内で美容院を約30年間営む一方、地元の和太鼓保存会に参加して結婚式などで披露し地域を盛り上げてきた。町への愛着は深く、美容院も壊さずに残しているが、町の今後の姿を想像できずにいる。「高齢者が多少戻っても町の存続はあり得ない」と語った。 (了)【時事通信社】
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