『メン・イン・ブラック』シリーズや『アイ・アム・レジェンド』(07)、そしてまさかのメガヒット『アラジン』(19)でのジーニー役も記憶に新しいトップスター、ウィル・スミスが主演を務めた『ジェミニマン』が公開中だ。監督は『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』(13)などで2度のアカデミー賞監督賞受賞を誇る巨匠アン・リーで、製作を『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズや『アルマゲドン』(98)を手掛けたジェリー・ブラッカイマーが務め、ハリウッドを代表するヒットメーカー3名が初タッグを組み、驚異の映像で送る近未来アクションエンターテイメント超大作となっている。今回来日した映画の巨人たちに話を聞いた。

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●同一人物が同時にフレームに入ると滑稽にもなりがちなところを、主演がウィル・スミスだからこそ成功したところはありますよね?

ブラッカイマー:この作品はウィルだけじゃないよ。隣にいるアン・リー監督の功績も大きいからね。もちろん、ウィルの存在あってだと思うよ。

アン・リー:もともとこの映画のアイデアそのものは何年も前からありましたが、主役を誰にするかで名前が上がっていた人たちは、昔から活躍していた大スターだちでした。キャリアがある程度、折り返し地点にいるような人で、その人の若い頃を登場させるということも大前提としてありました。当然アクション映画にもなるけれど、そこに哲学的な問いも投げかけられる人が理想的で、それで最終的にウィルになって、即断でしたね。

ブラッカイマー:若い頃の姿を観客が記憶している人、スターだった人だね。当初は技術が概念に追いついていなかったので、なかなか企画が進まなかったということがあった。デジタルで人間を作ることだよね。確かに若返りはいままでもあったけれども、50代から20代までを描くようなことは新しい作業だが、『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』(13)を観た時に、これはいけると思った。アン・リー監督自身にも確証はなかったそうだが、それはスカイダンス、パラマウントが僕たちを信じてくれたからこそで、そこに賭けてくれた結果、今回の映画が誕生したよね。

アン・リー:今回の企画に挑戦したい動機のひとつになったことは、人の表情の研究になるからでした。感情の細部にわたって、どういう風に顔を作っていくのか、人間のエイジングを細部まで研究する機会でもありました。論理的に可能な技術ではあったけれど、最終的にそれを観た人たちがどういう印象を抱くのか、そこは探求しなくてはいけないところでした。

●今回、コラボレーションしてみていかがでした?

ブラッカイマー:コストを意識してくれる素晴らしいフィルムメーカーだ。彼はとてつもなく細かいところまで指揮監督していた。これほど大きな規模の作品で、技術的にも難しいことはたくさんあったが、3か国を移動するなかで製作していったことは素晴らしい。ニュージーランドで1,000名以上のアーティストと作業するために実際に現地に飛び、すべて作業をみている。完ぺきになるまでみている。そのエネルギーは追いつけないほどだ。5時、6時に起きて、深夜1時まで作業をしている人だ。監督としてここまで細部にこだわる人はいなくて、何でも目を通す人だよね。

アン・リー:わたしたち3人のコラボで言うと、それぞれの代表作のジャンルがそれぞれ違いますよね。ジェリーさんは、すごくブロックバスターやド派手なアクションで知られているけれども、ジャンルにオーバラップしている部分もあるので、タイプとしては水と油ではなく、牛乳と油くらいのコラボだったと思います。派手なブロックバスターは彼が専門なので、知識面など大いに助けられたところはあります。ただ、今回自分が描きたいことの柱にあったことは、ある男の内面と葛藤であって、そこは軸がブレないように周囲の皆さんもたくさんサポートしてくださいました。あとジェリーさんは音楽にも詳しくて、それは驚いたことでもあります。

ブラッカイマー:彼は俳優たちとの会話もきちんとこなす人で、伝え方も上手い。偉大な監督の証明だな。ウィル・スミスには3単語くらいでひそひそしていて、実際何を言っていたのか知りたくなるような、魔法のようなところがあったよ。そのほかにもジュニアというキャラクターを作ることも非常に上手くて、カメラも特別に作っていたほどだ。素晴らしいよ。

アン・リー:ウィルについては、あれほど頑張る人がいるのかと驚いた。いまだにいい俳優になりたいといういい意味での欲があり、今回は若い頃の自分を演じるわけだけれど、面白いことに彼は俳優として成功してしまったので、昔の自分を演じようたって上手すぎてしまうわけです。それは直感的に滲み出てくるもので、よくある過去の映像で出てくるウィル・スミスとは違うものなんですね。そういう面白さはありました。どうしても自分の芝居を見せたいという欲があるようで、それは面白かったです。

●最近では動画配信サービスも充実していくなかで、映画館で映画を観る未来については、どうお考えですか?

ブラッカイマー:君たちの家には台所があるだろう? でも外食もする。それと同じことだよ。

新しい技術で心打つストーリー、それは新鮮であり、そのような作品は集団として体験するものだ。わくわくする感じやそれを感じている隣の人の感動も、自分も感じたいようなもの。全員で共同で体験できるものが、映画館で映画を観るということでないかと思う。

長くこの業界にいるが、テレビが出てきた時に、これで映画は終わると言われた。自宅でテレビを観る時代になると言われたからね。そうじゃない。映画はどんどん大きくなり、巨大な産業になった。その後、VHS、ベータが出てきた時に、映画は死を迎えると言われたものだ。でも、そうじゃなかった。興行収入は上がる一方だ。これは続いて行く。

アン・リー:今後の自分として探求したい映画体験は、今回のようなな没入観を持たすもの、立体的な映像構築の模索で、周囲と助け合いながら追求していくと思う。デジタルシネマでどういう風に観客がよりストーリーを生々しく受け取り、より没入観がある体験ができるようにするには、映画館がデジタルシネマとしてどういう昨日を持ちうるか、どんどん追求したいと思っています。

■ストーリー
ウィル・スミス演じる史上最強のスナイパー:ヘンリーは、政府に依頼されたミッションを遂行中、何者かに襲撃される。
自分の動きを全て把握し、神出鬼没で絶対に殺せない最強のターゲットをヘンリーは追い詰めるが、襲撃者の正体が秘密裏に作られた“若い自分自身”のクローンだという衝撃の事実を知り、政府を巻き込む巨大な陰謀に巻き込まれていく…。

■監督:アン・リー(『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』
■製作:ジェリー・ブラッカイマー(『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ)
■出演:ウィル・スミス、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、クライブ・オーウェン、ベネディクト・ウォン
■全米公開:2019年10月11日
■配給:東和ピクチャーズ
■公式HP:geminiman.jp
■公式Twitter:GeminiMan_JP
■公式Facebook:GeminiMan.jp
■公式Instagram:geminiman_jp
■コピーライト:(C) 2019 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

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(執筆者: ときたたかし) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか

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情報提供元:ガジェット通信
記事名:「「ウィル・スミスの耳元で何かささやいていたよ」 ハリウッドの剛腕Pが天才監督の仕事に脱帽:『ジェミニマン』来日取材