疲れの原因は姿勢?仕事中にできる猫背改善のコツは 「腕を後ろで組む」&「環境づくり」

毎日忙しくて疲れがとれない、肩こりや腰痛が良くならない……そんな悩みを引き起こしている原因は、座っているときの「姿勢」にある可能性があります。



この記事では、『はたらく女性のコンディショニング事典』【監修:岩崎 一郎(脳科学者・医学博士), 松村 和夏(管理栄養士), 渡辺 卓(産業カウンセラー), 松尾 伊津香(プロボディデザイナー)】より、パソコン仕事やスマホによって乱れがちな姿勢を改善するために、簡単に取り入れられる方法をご紹介します。


はたらく人の体の弱点は「体を動かさないこと」


はたらく人の一番の弱点は「体を動かさない」ことだと言ってもいいかもしれません。立ち仕事にせよ、デスクワークにせよ、一日をほぼ同じ姿勢で過ごして、帰ったら疲れて運動どころではない……という人も多いのではないでしょうか。


とくに男性より筋肉量が少ない女性は日常的に体を動かさないと、あっという間に体が衰えてしまいます。


なぜ体を動かさないのか考えてみましょう。あなたが動きたくないから? 怠けている? いえいえ。あなたが運動不足になる原因は、あなたの「仕事」にあるはずです。


 


仕事中、あなたの体はどうなっている?


今の時代、仕事にパソコンはつきもの。しかし体を動かしながらパソコン仕事をしている人はほぼいないと思います。パソコンと向き合っているとき、体は指先以外、静止しています。その状態が、姿勢を崩し、腰痛や肩こりを引き起こし、コンディションを悪化させてしまっています。


「背中を丸めて座った方がラク」「仕事中は仕方ない」と感じる人も多いかもしれませんが、ラクだと思って続けている姿勢は、実は筋肉の一部を酷使するもの。続けていると、疲れが体の一箇所に集中してしまいます。


さらに、今の時代はただでさえ「猫背になりやすい」環境だといわれています。



デスクワークをしていると背中が丸まりやすく、パソコンの画面に引っ張られて首が前に出てしまいます(通称・首猫背)


またパソコンの画面に向かっていないときもスマートフォンや携帯電話を使っているとき肩が内側に入っています(通称・肩猫背)。


これらは猫背といっても背骨が曲がっているわけではないので、前から見たときには姿勢が悪いように見ないのも注意点です。普段パソコンやスマートフォンを触っているときの自分の体の状態が無意識のうちに猫背になっていないか、意識してみてください。


 


姿勢の悪さが原因で仕事のパフォーマンスも落ちてしまう


姿勢の悪さは、見た目を悪くしてしまうだけでなく、無駄に疲労を蓄積させ、仕事のパフォーマンスを下げることにつながってしまいます。


まず問題になるのは、姿勢が悪いことで体の一部分に負担がかかり、発生する痛み。わかりやすい部分でいうと、肩こりや腰痛の原因になっています。

人間は二足歩行のため、そもそも重心が不安定。それに加えてパソコンやスマートフォンで体が前のめりになり、一部に強い負担がかかります。


体の痛みがあるとそこに意識がいってしまい、仕事に集中できなくなってしまうという経験はないでしょうか。体のベストコンディションは仕事のパフォーマンスを上げるためにも必要不可欠なのです。


 


「自律神経」にも姿勢による悪影響が……


もう一つ問題になるのは、呼吸の浅さです。パソコンやスマートフォンで作業に集中していると、無意識のうちに姿勢は前かがみになり、胸が閉じて呼吸が浅くなります。その結果、酸素が十分に脳に行き渡らず、脳のはたらきが鈍くなってしまうのです。


同時に、呼吸は「自律神経」と深い関係があります。浅い呼吸が続くと、交感神経が優位になり、自律神経のバランスが崩れる原因に。自律神経が乱れると、頭痛やめまい、疲労などさまざまな不調が生じます。


呼吸を深めようと意識することも大事ですが、呼吸は姿勢によっても左右されます。どんなに呼吸をしっかりしようと思っても胸が閉じている状態で深い呼吸はできません。姿勢がよく胸がきちんと開いている人は自然と呼吸が深くなるものです。


 


【対処法1】腕を後ろで組むだけで姿勢改善&肩こりもすっきり!


これまでにも説明してきたように、現代人の姿勢の乱れの大きな原因は、パソコンやスマートフォンで腕や首が前に引っ張られて前のめりの姿勢になっているから。その結果として肩に負担がかかり、肩こりや首こりも起こしてしまっています。


そこで、猫背により腕や首が前に来るという状態を一旦リセットしてあげる必要があります。やり方は簡単。腕を後ろに引っ張ればいいだけです。正確には「腕を後ろで組む」という動きをおすすめします。


まず両手を背中の後ろで組み、肩甲骨を寄せるように、肩から二の腕を斜め下に押し下げるイメージで伸ばします。NGな例は図の右側のように、肩が内側に入ったまま、背骨が丸まっている状態です。これでは、肩甲骨が伸びる気持ちよさも感じられませんし、胸に入る空気が少なくなってしまうため、呼吸もしにくいはずです。



正解は左側の図のように、肩が背中の後ろに引き下げられていて、肩甲骨が寄り、胸が張れている状態。背中の上部がしっかりと引き下げられると首も後ろに引っ張られ、顔が前に突き出してしまっていたことによる猫背が改善されます。


 


【対処法2】良い姿勢に効果があるのは筋トレよりも「環境」


「良い姿勢」をキープする際に、「自分の意志の力を使わない環境づくり」はとても大事です。どんなにトレーニングを行っても、一日8時間パソコンに向き合っているときの姿勢にあらがうことは不可能です。だったら、まずは環境を変えることを考えてみましょう。


下の二つの絵を見比べてみましょう。



右の絵では、パソコンのディスプレイを見るために首を前に突き出し、腰をかがめる必要があることがわかります。

一方、左の絵ではディスプレイが高い位置にあり、首が伸び肩も後ろに引けている正しい姿勢のまま画面を見ることができています。


この角度の違いが、意志を使わずに良い姿勢を保つための環境をつくります。


デスクトップパソコンを使っている人は、まず角度を調整して、首を曲げずに画面を見られるようにしましょう。ノートパソコンを使っている人は、縦型のディスプレイに替えるか、職場ではモニターをつなぐなどの工夫を。最近はノートパソコン用の高さ調節台も売っているので、利用してみてください。


 


良い姿勢を手に入れて、快適な毎日を!


体の不調がなくなってくると、自然と気持ちもポジティブに。これまではやる気の出なかった運動などに取り組む元気も出てくるものです。


1日の長い時間を過ごす「仕事中の姿勢」に気をつけて、肩こりの痛みや不調のない、快適な毎日を取り戻しましょう!


 









『はたらく女性のコンディショニング事典』

(クロスメディア・パブリッシング)





情報提供元: BUSINESS LIFE
記事名:「 疲れの原因は姿勢?仕事中にできる猫背改善のコツは 「腕を後ろで組む」&「環境づくり」
  • 週間ランキング