INFLUX×長崎大学 水中ドローン『アクアレモナ』を共同開発! 藻場の海底地形を高精度3Dマップ化に成功!
全国に再生可能エネルギーのインフラ構築事業を展開する株式会社INFLUX(本社:東京都港区、代表取締役社長 星野 敦、以下「インフラックス」)は、長崎大学海洋未来イノベーション機構および長崎大学大学院工学研究科と協力して、海洋環境保全と再生可能エネルギー発展の両立を目指す「藻場再生」への共同研究を進めています。この度開発した次世代型水中ドローン「アクアレモナ」は、海中でも潮流に影響されにくく安定して測定位置をコントロールする機能が搭載され、「藻場」の3Dマップ化に成功しました。この成果によって正確な「藻場」の状況を広範囲に調査でき、藻場再生事業の効率化を図ることができます。また、3Dマップから藻場の正確な分布を知ることによって海藻のCO2吸収量測定精度が上がりブルーカーボン取引上のビジネスチャンスも広がり、持続可能な海洋事業を活性化できる可能性がいっそう広がりました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202404159468-O1-lBxycxP5】 次世代型水中ドローン「アクアレモナ」イメージ写真
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202404159468-O2-CzeG78pZ】
株式会社INFLUX:https://influx-inc.com/
長崎大学:https://www.nagasaki-u.ac.jp/
■「アクアレモナ」で藻場の3Dマッピングに成功
インフラックスと長崎大学海洋未来イノベーション機構および長崎大学大学院工学研究科が共同開発した次世代型水中ドローン「アクアレモナ」は、海岸域における未踏領域の藻場生態系調査を可能にし、ブルーカーボンの定量化を実現するために設計されました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202404159468-O3-3Bv2wy15】 次世代型水中ドローン「アクアレモナ」(イメージ図)
「アクアレモナ」は、8つのクラスタを搭載し、全方向に移動可能で、バッテリーも交換式で長時間の運用が可能です。特徴は、前方と下方に設置されたステレオカメラと、音波を使った距離測定機能です。これにより、海藻と海底までの距離を測定し、海藻の高さと体積を算出することを可能としました。また、海底は地形の影響を受けるために潮の流れが複雑で、手動で水中ドローンを操作し海底の正確な地形を測定することは困難を極めておりましたが、8つの強力なモーターとオプティカルフロー技術(※1)を用いた平面制御により、潮流の影響が少ない状態でホバリングし、水中での安定した位置保持を実現しています。これにより、複雑な潮流の中、自ら制御し予め指定していたエリアを自走し、藻場の正確な3Dのマップの作製に成功いたしました。
(※1)オプティカルフロー技術:動画や連続したフレームの画像において、ピクセルの移動ベクトルを推定するための手法。画像内の物体や領域の移動を検出し、移動ベクトルを算出することが目的の技術。
■藻場の3Dマッピング成功とその意義について
佐賀県唐津市の加部島沿岸における検証実験では、これらの新開発の自走機能を使用して、1m×1mのパイプフレームで作られた碁盤のマス目に沿って移動することで、沿岸の藻場の3Dマッピングを高精度で行うことに成功しました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202404159468-O4-7F268vEr】 【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202404159468-O5-1ho3MGR3】 藻場の撮影画像(左)と3D化(右)
このように「アクアレモナ」を用いて海藻の高さと体積を高精度に測定し算出できることは、従来の人が潜っての測量や、潮流の影響を受けやすい既存の水中ドローンを用いて測量する方法と比べて、困難とされていた広い海域での正確な海藻のCO2吸収量を算出することが可能となります。「アクアレモナ」の活用は海藻の研究や海底の調査に革命をもたらし、ブルーカーボン形成を加速化させ、ブルーカーボン取引における測定ツールになり得る可能性をも秘めています。
■ブルーカーボン形成について
ブルーカーボンは、藻や水草、マングローブなどの海洋植物が光合成で二酸化炭素(CO2)を吸収して海洋生態系が貯めこむ炭素のことで、海洋植物は陸の植物と異なり、枯れたあとでも数百年単位で炭素を貯めこむことができると言われています。そのCO2の吸収源であるブルーカーボンを形成しているのが主に海藻が生い茂る「藻場」になります。産卵や保育、摂餌等の場として魚介類が集まり、海のゆりかごとも呼ばれる「藻場」は日本の漁場に数多く存在していましたが、磯焼けなどの環境変化で年々消滅してきており、ブルーカーボンの保全は水産業において大きな課題となっています。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202404159468-O6-7W3g4L09】 海洋植物の消失による貯蓄CO2放出イメージ
■ブルーカーボンとビジネス創出の関連性について
ブルーカーボン形成を図ることは地球温暖化の要因となるCO2の増加を抑制するため、CO2吸収量を企業などが買取れるブルーカーボンクレジット「Jブルークレジット」によって売買できるようになり、新たなビジネスを創出できる可能性を秘めています。インフラックスでは全国の漁業協同組合の皆様と連携・協働して、こうした新たなビジネスを共創し、経済面においても持続可能な海洋事業並びに地域活性化を推進してまいります。
■藻場の3Dマッピングを高精度で成功したことにあたり
《長崎大学 大学院工学研究科 教授 山本郁夫様のコメント》
この度、株式会社INFLUX様との共同研究で次世代型水中ロボット「アクアレモナ」を開発し、水中下での「藻場」の正確なCO2の吸収量を算出できる3Dマッピング化を成功させたことは非常に意義深いものと考えております。当プロジェクトでは2022年より産学連携で水中カメラとロボットシステムとを組み合わせた「統合水中ロボット」の開発を進め、実海域にてフィールド試験を実施し、操作性および安全性を検証、高度な水中ロボットの運用方法なども確立してまいりました。
この度の「アクアレモナ」を使った正確な3Dマッピングを成功させたことは、年々厳しさを増す漁業を取り巻く環境を改善する一助となるはずです。今後も同社との産学連携での研究をさらに発展させ、成果を高めて行くことで社会に貢献できるプロジェクトとなるよう、積極的に取り組んでまいります。
《株式会社INFLUX 代表取締役社長 星野 敦のコメント》
当社は、洋上風力発電事業による新たな地域産業や雇用機会の創出、地元企業、地元港湾関係者、地元金融機関、漁業との共生など地域経済波及効果の最大化を目指すと共に、自然との共生を理念としています。この度の長崎大学様との共同研究においてすばらしい成果が出せたことは、藻場の再生(サステナブル・ブルーエコノミーの推進)を目指す活動の大きな一歩になると確信しております。
現在インフラックスでは洋上風力発電事業において、精密な海洋調査を行っております。また、日本の沿岸における「藻場」は1990年代に比べて平均20%も減少していることから、その主な原因となっている「磯焼け」を改善し、海の生態系を正常化するために「フルボ酸鉄」(※2)を溶出する人工ブロックを海中へ設置。不足している栄養分を供給し、植物プランクトンや藻の生育を促進して海藻の減少を改善する「藻場再生対策事業」をおよそ10年前より開始しており、地元関係者にも高い評価をいただいております。
また当社は世界的に注目されている「ブルーカーボンコミュニティデベロップメント(※3)」において、ブルーカーボン生態系の活用によるブルーエコノミーの発展へ積極的な展開も行っております。この度の実験でブルーカーボンクレジットにおいても画期的となる正確な海藻のCO2吸収量を算出することが可能となったことは一つの大きな成果であると考えております。当社は今後も長崎大学様と産学連携を行いながら、自然と共生し持続可能な洋上風力発電産業の発展に貢献してまいります。
(※2)フルボ酸鉄:海中のプランクトンや藻の成長に不可欠な窒素を吸収するための触媒の働きをする物質。森林で時間をかけて生成され海へと流れつき、海中の藻や植物プランクトンの育成に大きく貢献する。
(※3) ブルーカーボンコミュニティデベロップメント:2009年の国連環境計画(UNEP)でブルーカーボンの役割が世界的に注目され、2015年のパリ協定で二酸化炭素排出量削減に55か国以上が合意。日本でも2019年に国土交通省にて「地球温暖化防止に貢献するブルーカーボンの役割に関する検討会」を設置。2020年の経済産業省『2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略』では、脱炭素化社会に向けてのブルーカーボン生態系の活用について具体的な提言が示されている。
■国立大学法人長崎大学について
<長崎大学>
所在地:長崎市文教町1-14
URL :https://www.nagasaki-u.ac.jp/
<長崎大学海洋未来イノベーション機構>
所在地:長崎市文教町1-14 (研究国際部学術支援課内)
URL :https://www.nagasaki-u.ac.jp/marine/
<長崎大学大学院工学研究科>
所在地:長崎市文教町1-14
URL :http://www.eng.nagasaki-u.ac.jp/
■株式会社INFLUXについて
世界の経済成長、人口増加と共に進んできた地球環境問題は、近年顕在化してきた地球温暖化による異常気象をはじめ、石油や化石燃料といった枯渇する資源や原子力に依存する社会、森林伐採や海洋汚染等の環境破壊など、すでに私たちの生活にも深刻な影響を及ぼし始めています。インフラックスが進める再生可能エネルギー事業は、枯渇することのない太陽や風を利用するサステナブルな事業です。インフラックスは地域情熱商社として「Jimoto first(地元ファースト)」を理念に掲げ、開発に伴う環境への影響を最小限に留めながらも、自立型エネルギー開発でクローズドループな地域循環型の電力供給網を構築すると共に、地元に新たなシンボル産業と雇用を生み出し地域経済に貢献しています。
今後もインフラックスはこれまで積み上げてきた再生可能エネルギーの設計、開発、実施の実績を活かして、地域の方々と共に取り組む「コミュニティパワー」で世界の主力エネルギーのあり方を全方位型エネルギーへと改革し、今ある環境と社会を未来へと引き継げる持続可能な循環型社会(サーキュラーエコノミー)の確立へ積極的に取り組んでまいります。
<企業概要>
法人名 :株式会社INFLUX
代表者名 :代表取締役社長 星野 敦
本社所在地:東京都港区六本木3-2-1 住友不動産六本木グランドタワー41F
設立年月 :2018年3月
URL :https://influx-inc.com/
事業内容 :国内外における再生可能エネルギー発電事業のプロジェクト開発・設計・施工・運営管理
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