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平野淳也:今年、最も重要なビットコインのテクノロジーのキーワード解説【フィスコ・仮想通貨コラム】


以下は、フィスコソーシャルレポーターの暗号通貨研究家の平野淳也氏(ブログ「Think Nomad」、Twitter: @junbhirano)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。
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ビットコインのオープンソースコミュニティでは、日々、様々な技術提案が行われています。その中でも比較的実装の実現が近いことが見込まれて、2018年に重要となりそうな技術面のキーワードを解説します。

■Segwitトランザクションの増加
まず、昨年アクティベートされたsegwitのトランザクションの増加はひとつの重要な技術トレンドです。SegWitトランザクションの割合は過去最高に伸びており、執筆時点で全体の35%程で推移しています。

Segwitウォレットのサポートを実装している「Bitcoin Core 0.16.0」が、2月26日にリリースされました。多くのビットコイン(BTC)関連サービスはバックエンドにこれを使っているので、各企業がアップデート次第、Segwitさらに上がることが期待されます。

これまでsegwitはbitcoin coreのウォレットでネイティブサポートがされておらず、SegWitの使用率がしばらく頭打ちになっていた原因でした。

こうした中、ようやく米最大手の取引所のcoinbaseと香港の取引所のBitfinexがsegwitのサポートを開始しました。segwit対応のモバイルウォレットも出てきたので、夏頃までに全体のトランザクションの80パーセントほどがsegwitになることが期待されます。

■Lightning Networkの実用化
今年は、ビットコインの支払いを高速に実行することが出来るライトニングネットワークの実用化がついに始まるはずです。すでにいくつかの開発チームはメインネットでの実験も行っており、2018年3月時点で多くのライトニングノードが立ち上がっています。数秒でビットコインが取引できる日が待ち遠しいですね。

ライトニングネットワークはペイメントチャネルを利用した技術で、第三者も含む双方向のペイメントチャンネルを構築します。まず送信者と受信者が鍵を持つマルチシグのウォレットに固定のビットコインをデポジットします。そして、ブロックチェーンにトランザクションを送ることで「チャネル」というものが開きます。

次にこのチャネル内でビットコインをやり取りするトランザクションが行われ、最終的にチャネルを閉じひとつにまとめてブロックチェーンのトランザクションを発行するというものです。

このデポジットは持ち逃げすることはできませんし、トラストレスな設計になっています。
ユーザーに見える形でのインパクトは、今年はやはりライトニングネットワークが一番強烈だと思います。

しかし、普及がどのくらいの時間軸でどの程度まで進むかは未知数であり、現在各取引所も顧客が爆増しているなか、ライトニングネットワークを実装することはどれだけ優先順位の高いことなのかわかりません 。なお、これは、scriptSig内の署名データを分離・格納するSegWitがありきの開発です。

■ビットコインの匿名性を高めるTumblebit
これはビットコインの匿名性を上げる技術です。ビットコインは、そのトランザクションが全てオープンなパブリックブロックチェーンに記録され、プライバシーは優れていません。簡単な理解では、ミキシングサービスのCoinjoinのようなものがトラストレスで使える技術が実装されるという風に考えれば良いでしょう。

ペイメントチャンネルを建てて、任意の参加者でトランザクションをミックスして匿名性を高めるというアーキテクチャが最初に提案をされたのは、2016年です。これまでCoinjoinなどのミキシングサービスは、それ自体のサービス提供者を信用する必要があるなどの課題がありましたが、Tumblebitはそれを解決します。

すでに、有償で実証実験をするための人員も募集されており、実用化はそう遠くないと思います。

■従来形式よりデータサイズを圧縮するシュノア(Schnorr)署名
シュノア署名は新しい署名方式で、従来形式よりデータサイズを圧縮させる効果があります。現在ビットコインに利用されているECDSAに代えて、シュノア署名(Schnorr Signature)という署名方式に変更しようと提案がされています。

シュノア署名は数ある署名方式の中でも最もコンパクトな署名であり、署名検証のスピードもECDSAより速いと言われています。複数の署名をまとめてコンパクトできるということが大きな特徴です。

これはSegwitが実装されたからこそ実現できる技術です。これまで署名はインプットにあるscriptSigに保存していましたが、Segwitはトランザクション内で大きなデータ量を占めている署名の部分をwitnessと呼ばれる他の領域に格納させます。

witnessにおけるルール変更はソフトフォークで行うことができるため、ハードフォークの必要なくシュノア署名を実装できます。これが実装されると、今の小さいブロックサイズのままで、より多くのトランザクションを処理することができます。

■まとめ
いかがでしょうか。ビットコインは現存する暗号通貨で最も多くの技術提案がされているオープンソースソフトウェアで、上記以外にも様々な技術提案がされています。また、いずれも最初に提案されてから3年程経過し、多くの検証と議論を経て実装が近くなってきました。
ビットコインは、いわずもがなプログラマブルなアセットで、強固に、さらに利用しやすくなるでしょう。

※2018年3月24日に執筆

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執筆者名:平野淳也
ブログ名:Think Nomad
Twitter: @junbhirano



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