■業績動向

1. 2021年3月期の業績概要
ネットイヤーグループ<3622>の2021年3月期の連結業績は、売上高で前期比2.7%増の5,611百万円、営業利益で172百万円(前期は77百万円の損失)、経常利益で171百万円(同77百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益で200百万円(同68百万円の損失)となった。売上高は3期ぶりの増収、営業利益、経常利益は2期ぶりの増益となった。また、会社計画に対しても売上高、各利益ともに上回って着地した。

コロナ禍の影響により顧客企業の投資意欲が一時的に冷え込み、第2四半期までは売上高も低調に推移していたが(子会社のSNS広告を中心に3億円程度のマイナス影響があったと推測)、第3四半期以降はデジタル投資が回復し、受注も上向きに転じたこと、また、NTTデータとの協業による大型案件の売上を計上したことが増収要因となった。なお、NTTデータ向けの売上高は、同案件の寄与により前期比35.8%増の645百万円となった。

売上総利益率は前期の15.3%から18.5%に上昇した。これは、数年前から取り組んできたプロジェクトのマネジメント力向上に向けた取り組みの成果が顕在化してきたことが大きい。受注見積段階での精査やプロジェクト管理を強化したことで、不採算案件がなくなった。また、要員稼働率が向上し、外注費を抑えられたことも利益率の上昇要因となった。

販管費については前期比4.9%減、金額で44百万円の減少となった。コロナ禍対策として2020年4月よりテレワークを義務化したことにより、オフィス関連経費や交通費が減少したほか、採用抑制に伴う採用費の減少が主因となっている。この結果、営業利益率は3.1%と前期比で4.5ポイント上昇した。

親会社株主に帰属する当期純利益が経常利益よりも大きくなっているが、これは子会社売却に伴って法人税等調整額をマイナス52百万円計上(利益増要因)したことによる。

会社別で見ると、同社単体の業績は売上高で前期比2.4%減の3,409百万円、営業利益は同179.8%増の140百万円となっており、トライバルメディアハウスは売上高で同11.6%増の2,202百万円、営業利益で32百万円(前期は127百万円の損失)となっている。

また、同社の業績は例年、売上の検収時期が第4四半期に集中する季節要因があるため、第3四半期までは営業損失が続く傾向にあるが、当第3四半期は6年ぶりに黒字化したほか、第4四半期の営業利益403百万円は過去最高益だったと見られる。大型案件の寄与があったとは言え、収益力が急速に回復してきた点は注目される。


自己資本比率は単体ベースで80%台と財務内容は良好

2. 財務状況と経営指標
2021年3月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比436百万円増加の3,149百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では受取手形及び売掛金が54百万円減少したものの、現金及び預金が449百万円増加した。固定資産では有形固定資産が3百万円、ソフトウェアが10百万円、繰延税金資産が51百万円それぞれ増加した。

負債合計は前期末比254百万円増加の1,111百万円となった。外注費の削減に伴い買掛金が61百万円減少した一方で、借入金が250百万円、賞与引当金が30百万円それぞれ増加した。なお、借入金については従来、同社が子会社向けに行っていた貸付金に関して、子会社が金融機関から直接借入することになったためで、子会社の売却に伴い直近では無借金になっている。純資産合計は同181百万円増加の2,037百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益200百万円の計上や配当金の支出22百万円等による。

経営指標を見ると、自己資本比率が前期末の67.7%から64.0%に低下しているが、子会社の借入金を計上したことが要因となっている。単独ベースで見た場合は前期末の76.2%から82.7%に上昇しており、無借金経営でもあることから財務内容については健全な状態にあると判断される。今後、事業規模を拡大していくにあたって現預金の水準が10億円台とやや脆弱だが、事業資金が必要な場合はNTTデータグループ内のCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を活用していくことも可能なため、財務面での懸念はないものと考えられる。収益性については、売上高営業利益率で3.1%(単体で4.1%)と改善したとは言え低水準であることに変わりなく、さらなる収益性の向上が課題となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


<YM>

情報提供元:FISCO
記事名:「ネットイヤ Research Memo(3):コロナ禍の影響を受けつつも、3期ぶりの増収、2期ぶりの増益に転じる