starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

核のごみ最終処分場って? どうやって場所決める? 流れを解説


 長崎県の離島・対馬市で、原発から出る「核のごみ」の最終処分場の選定調査を受け入れるかどうかを巡って議論が起きています。最終処分場とはどのような施設で、どんなプロセスで決められるのでしょうか。

 Q 核のごみってどんなもの?

 A 「高レベル放射性廃棄物」と呼ばれ、原発の使用済み核燃料を再処理してウランやプルトニウムを取り出した後に残る廃棄物です。ガラスを混ぜて固めてステンレス製の容器に入れ、青森県や海外で一時的に保管していますが、極めて強い放射線を出すため、無害になるまでに約10万年かかるとされます。このため、地下300メートルより深くに埋めて人間社会から隔離する「地層処分」をすることになっています。経済産業省の認可法人である原子力発電環境整備機構(NUMO)が最終処分場の選定を進めていますが、場所はまだ決まっていません。

 Q どうやって場所を決めるの?

 A 政府は2017年、最終処分場の適地を示した「科学的特性マップ」を作りましたが、あくまで大まかなものです。地層処分には、自然災害の影響を受けない、地盤が安定しているなどの条件がそろっていることが必要です。これを調べるため、約20年かけて、①文献調査②概要調査③精密調査――の3段階の調査をします。

 Q どんな調査なの?

 A ①の文献調査(2年程度)では、研究論文や地質図を使い、地下の状態を把握します。例えば、活断層や火山活動で地殻変動が起きたり、鉱物資源があって将来掘り起こされたりする可能性がある場所を除外していきます。②の概要調査(4年程度)では、地下をボーリングして岩石の分布や地下水の流れ方などを調べます。③の精密調査(14年程度)ではトンネルを掘り、地下施設を建設します。ただ、調査が終わっても、処分場の建設や核のごみの搬入などの作業もあり、事業全体には100年以上かかるとされます。

 Q 調査はどうやって始まるの?

 A ①の文献調査は、自治体が応募するか、国からの申し入れを自治体が受け入れた場合に始まります。しかし、②の概要調査と③の精密調査、そして処分場の建設では、事前に経産相が調査地の首長と知事に意見を聞くことになっています。どちらかでも反対すれば先には進めません。

 Q 始まった自治体はあるの?

 A 高知県東洋町が07年に文献調査への応募を決めましたが、町長選で反対派が当選して撤回されました。その後長い間動きはありませんでしたが、20年11月、北海道の寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村で全国初の文献調査が始まりました。寿都町は自ら応募し、神恵内村は国からの申し入れを受け入れる形でした。

 Q 調査を受け入れるメリットはあるの?

 A 調査するだけで、原発の立地地域などに配られる「電源立地地域対策交付金」が自治体に交付されます。文献調査では最大20億円、概要調査では最大70億円を受け取れます。しかし、最終処分に対する安全性や風評被害を懸念する声もあります。北海道のように都道府県が反対しているケースもあり、最終処分の先は見通せません。【高橋由衣】

    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2024
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.