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児童のあいさつ好きで登校見守り25年 95歳の誕生日前日に引退


 山口県周南市小松原の市立三丘(みつお)小学校で25年にわたり、登校する児童が事故に遭わないように見守りに当たってきた有馬亘さん(94)が30日、最後の活動を終えた。雨が降っても強風が吹いても毎朝、正門前のT字路に立ってきたが、95歳の誕生日を7月1日に迎えるのを機に「(高齢で)フラフラして車にぶつかり迷惑をかけてもいけない」と引退を決めた。体育館で「感謝の会」が開かれ、全校児童39人が手紙を送ってねぎらった。

 雨となった30日午前7時半ごろ、有馬さんは左手で傘を広げ、右手には黄色い旗を持って、身長約150センチの背をまっすぐ伸ばしてT字路に立った。自宅から約1・2キロ離れた定位置だ。遠くからランドセルを背負った児童たちが「有馬さーん、おはようございまーす」とあいさつしてくると、張りのある声で「右よし、左よし、行ってらっしゃーい」と左右の安全を確認して正門へと誘導した。

 現在、住民組織「三丘地区校外育成協議会」が取り組む見守りは元々、有馬さんが単独で始めた活動だった。役員を務める自動車部品販売会社を70歳の誕生日前日の1998年6月30日に辞め、翌日から入院時などを除いて立ち続けたという。

 地元に伝わる人形浄瑠璃を授業中に指導していた縁もあり、現役時代から外出時にすれ違う児童にあいさつされるのが好きで「学校に行けば、よけいに声を掛けられるぞ」と登校時の見守りを思いついた。児童の声に「元気をもらう」のを生きがいに続けてきたが、同居する3人の家族も高齢化し、自身の家事負担が増してきたこともあって「さみしい」としながらも終止符を打つことにした。

 有馬さんは最後の見守りを終え、体育館であった「感謝の会」に拍手で迎えられた。花束と共に記念に贈られた冊子には、「ありまさんのおかげであんしんしてとうこうできました」「よい気持ちになって学校に行けました」などと、児童が一人一枚ずつ書いた手紙がとじられている。児童を代表して6年生の吉長拓真さん(12)が「毎朝、有馬さんと会えなくなるのはさみしいですが、お体に気をつけて元気にお過ごしください。僕たちは有馬さんのことを決して忘れません」とお礼の言葉を読み上げた。【峰下喜之】

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