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いじめ被害申告も「お互い様」 対応遅れ未解決のまま3年 埼玉


 埼玉県蓮田市の市立中学校で、女子生徒が1年生の1学期からいじめを受け、3年間解決しないまま今年3月に卒業していたことが判明した。26日の市議会で、対応が適切だったか問われた西山通夫・市教育長は十分ではなかったと認めた。両親は「学校が最初からしっかり対峙(たいじ)してくれていたら、娘は充実した中学生活が送れたかもしれない。今も真剣に向き合っているとは思えない」と不信感を募らせている。【萩原佳孝】

「重大事態」調査続く

 両親や市教委によると、女子生徒は2020年4月の入学後、複数の生徒から「うざい」などと言われたり、黒板に悪口を書かれたりするなどのいじめを受け、2学期から体調を崩して通院を始めた。

 同年11月に2者面談で担任教諭にいじめを相談。12月から登校できなくなり、21年1月には「いじめによる強いストレス」を起因とする起立性調節障害との診断を受けた。

 学校は相談から約4カ月後の21年3月に市教委にいじめを報告。女子生徒は部活動に参加する一方、教室には入ることができず、フリースクールに通った。学校は同6月ごろ、複数の加害者と女子生徒を直接話し合わせる「謝罪の会」を開催するなどしたが、いじめは解決しなかった。

 学校や市教委は22年3月28日、「本人の学校への復帰が困難な状況」として、いじめ防止対策推進法の定める「重大事態」と認定。同法に基づく「いじめ問題専門委員会」で調査を続けている。女子生徒は学校生活に復帰できないまま、23年3月に卒業した。

 市議会で、対応の遅れを問われた市教委は「本人や関係生徒への聞き取りは速やかに行った。学級アンケートなども実施し、21年2月にいじめと判断した」と説明。「その後も、生徒間の人間関係の改善を目指しさまざまに対応したが、解消には至らなかった」と釈明した。そのうえで「今後は専門委の調査を待って、可能な限りよりよい解決を目指したい」と答弁した。

 西山市教育長は「初期段階で生徒間トラブルとして対応してしまった」と問題点を挙げ、「(対応は)足りないと思っている。じくじたる思いだ」と述べた。

両親「学校生活奪われた」

 26日に議会を傍聴した女子生徒の両親は、市教委の説明に対して「うそばかり」と不信感をあらわにした。

 市議会で「『いじめられた側にも問題がある』という接し方をしなかったか」と問われた市教委は「なかったものととらえている」と答弁した。しかし、両親は「娘は教師に『あなたにも原因があるから』と言われ、被害を申告しても『お互い様ですから』と受け付けてもらえなかった。加害生徒の味方ばかりする学校に娘は深く傷つけられた」と反論。「自殺を考えたこともあり、学校側に伝えている」と話す。

 専門委についても疑問を投げかける。学識経験者4人、市幹部3人で構成するが、父親は「元教員など関係者ばかりで公平性・中立性のある第三者とは言えない、と市教委に再検討を求めたが、拒否された」とし、「1年以上たった今も、娘や私たちへの聞き取りすら行われていない。いったい何を調査しているのか」と話す。

 両親は「娘の人権や命の尊厳が守られず、作れたかもしれない中学校生活の思い出が学校や市教委、加害生徒によって奪われてしまったことが何よりつらい。学校や市教委が問題に真剣に向き合ってくれていたら、と残念で仕方がない」と話した。

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