打ち上げ成功への祈り、かなわず 現地はため息 H3ロケット

　世紀の瞬間は、重苦しい空気に変わった。鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターで17日午前に宇宙航空研究開発機構（JAXA）が予定していた、新型主力機H3ロケット初号機の発射。ロケットは最終的には打ち上がらず、現地で成功を祈るように見守っていた人々からは、思わずため息が漏れた。

　海辺のそばにある同センターはこの日、青空が広がり、「JAPAN」と書かれたオレンジ色のロケットが映えた。午前10時37分の発射予定時刻に合わせ、カウントダウンの音が流れると、センターを望む場所に集まった人々はロケットを見つめた。

　予定時刻の数秒前、白い煙がロケットよりもはるか高くまで一気に上がった。このままロケットは打ち上がるかと思われたが、予定時刻を過ぎても発射台にとどまったままで、見守っていた人々も何が起きたのか分からず、不安の表情が浮かんだ。【石川貴教、徳野仁子】