元ＤＪ「不可能ないと示したい」＝ジャマイカ初のアルペン選手―北京五輪

　【北京時事】冬季競技の花形アルペンスキーで、常夏の島国ジャマイカ勢で初となる五輪選手が大舞台への準備を進めている。北京五輪男子大回転に出場するベンジャミン・アレクサンダー（３８）。大会公式ニュースによると、「不可能はないと示したい」と意気込んでいる。 　その経歴は異色だ。ロンドン育ちの元ＤＪ。３２歳の時に仕事で訪れたカナダで雪のとりこになり、数カ月後に初めてスキーを習い始めた。五輪への情熱に灯がともったのは、２０１８年平昌五輪を現地で観戦した時。２０年に国際大会でデビューし、今年１月に欧州で行われた大会で７位に入って夢舞台への切符を手にした。 　初心者が五輪を目指す過程は苦難の連続だった。「練習中に何度もけがをして、肋骨（ろっこつ）にひびも入った」。新型コロナウイルス禍の影響でスキー場のリフトが止まった際には自力で山をのぼり、猛特訓を続けた。 　壁にぶつかっても諦めなかったのは、世界中に伝えたい思いがあるから。「何かに対して自分の能力を超えていると考える人たちへ、自分の経験が挑戦への後押しになってもらいたい」 　かつて、ジャマイカのボブスレー男子チームが１９８８年カルガリー五輪出場を果たした実話に基づく映画「クール・ランニング」が大ヒットした。幼い頃に映画を見て刺激を受けたアレクサンダーも、母国に夢と希望を与えようとしている。（了）【時事通信社】