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アルゴリズムとの闘い 中国の料理宅配ライダーたちの苦境


【北京AFP=時事】ほかほかの料理を予約時間ぴったりに届け、中国の料理宅配大手「美団」のアプリで配達完了ボタンを意気揚々とタップした配達員のチュアン・チェンファさんは、次の瞬間、報酬の半分を罰金として没収されてしまった。アプリの不具合で配達時間に遅刻したと誤って記録されてしまい、自動的に罰金が科されたのだ。(写真は中国・北京で、配達前に整列する料理宅配大手「美団」の配達員ら) チュアンさんはこのアプリのシステムについて、活況を呈する料理宅配業界においてさえ企業が労働者を搾取するさまざまな手法の一つだと指摘する。 中国当局は料理宅配業者の取り締まりを強化しており、美団や電子商取引(EC)大手アリババ(阿里巴巴)傘下のEle.meといった業者に対し、適切な報酬の支払いや保険加入などの基本的な労働者保護を確立するとともに、危険運転の助長につながっているアプリのアルゴリズムを是正するよう求めている。 だが、AFPの取材に応じた十数人の配達員は、現場ではほとんど何も変わっていないと訴えた。 チュアンさんによると、予約時間に間に合うよう配達を完了するためには「猛スピードで走ったり、(中略)赤信号を無視したり、道を逆走したり」する以外に方法がない場合が多い。当初は距離2キロまでの注文1件につき40~50分が割り当てられていた配達時間は、今は30分しか与えられないという。 新型コロナウイルス流行とそれに伴うロックダウン(都市封鎖)によって、料理宅配サービスの需要は急増した。中国飯店協会によれば、今や市場規模は6640億元(約11兆8000億円)に上る。 迅速な配達を約束する中で、配達時間の短縮が事故につながるケースが近年増えている。■命を危険にさらす配達員たち 政府統計によると中国では、インターネットを通じて単発業務を請け負う「ギグエコノミー」と呼ばれる働き方に従事する人は、全労働人口の約4分の1を占める。約2億人が「フレキシブルな雇用関係」を結んでいることになる。 チュアンさんは、配達のルートと時間を決めるアプリのアルゴリズムのせいで、多くの配達員が命の危険を感じていると話す。定刻を過ぎると配達員には「遅配」のペナルティーが科される。 別の配達員は、アプリが定める配達時間には調理に要する時間も含まれており、配達員本人にはどうにもできない部分で生じた遅延によって報酬を減らされる場合があるとAFPに語った。 6億2800万人の顧客を抱える美団は、配達時間を4通りの方法で算出し、そのうち最長の時間を選んだ上で余裕を持たせて配達員に提示していると説明。配達員は科された不当な罰金には異議申し立てができると主張している。 北京のコンサルタント会社トリビアムのケンドラ・シェーファー氏は、宅配プラットフォームが配達員に割り当てる条件や報酬を決定する仕組みに透明性が欠けている点が深刻な問題だと指摘。「アルゴリズムは効率性の最大化を目指すものだ。残念ながら、社会が進化する中で、アルゴリズムは人間を犠牲にして効率性を最大化することが明らかになってきた」と語った。【翻訳編集AFPBBNews】〔AFP=時事〕(2021/11/12-19:01)
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