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IHI:微細藻類から製造したバイオジェット燃料を国内定期便に供給


IHIは,微細藻類から製造したバイオジェット燃料を持続可能な代替航空燃料(SAF ※1)として,このたび,国内定期便に供給した。本燃料は,新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業 ※2(NEDO事業)にて開発し,2020年5月にIHIが申請し取得したバイオジェット燃料の国際規格「ASTM D7566 Annex7」※3および「ASTM D1655」※4に適合したもの。

 世界的な温室効果ガス削減活動の中で,国際航空分野からのCO₂排出削減を所管するICAO(国連の国際民間航空機関)は,CO₂排出量の増加抑制目標(制度)を定め,日本においてもSAFの生産事業をはじめとする,航空輸送に関わるCO₂排出量を削減する技術の社会実装が喫緊の課題となっている。IHIは,光合成により高速で増殖する微細藻類(高速増殖型ボツリオコッカスHGBb ※5)を大量培養し,その微細藻類が生成する藻油から燃料を一貫製造するプロセスの次世代技術開発事業に取り組んでいる。




 2017年度から開始したNEDO事業では,鹿児島県鹿児島市の既存施設とタイ王国サラブリ県に新設したパイロット屋外培養施設を使い,大規模培養からSAF製造までの一貫製造技術の確立に取り組んだ。また,バイオジェット燃料の商用飛行に必要な国際規格「ASTM D7566 Annex7」を取得するとともに,製造したSAFがこの規格に適合することを確認した。




 今回,これらの成果を踏まえ,完成したSAFを東京国際空港(羽田空港)出発の定期便に供給した。なお,「ASTM D7566 Annex7」および「ASTM D1655」の規格に基づく燃料を搭載した航空機の飛行は今回が世界初となる。

(1)


日付:2021年6月17日


便名:日本航空515便


区間:東京国際空港(羽田)発 新千歳空港行き


機材:エアバスA350-900


微細藻類由来SAFと木質バイオマス由来SAFを同時搭載

JAL515便の給油風景

JAL515便 出発時

(2)


日付:2021年6月17日


便名:全日本空輸031便


区間:東京国際空港(羽田)発 大阪国際空港(伊丹)行き


機材;ボーイング787-8ASTM D7566


Annex7規格に準拠する燃料を搭載した初の飛行

ANA031便への給油風景

ANA031便 出発時

ANA031便 離陸風景(上空中央の機体)

 IHIは2050年カーボンニュートラル実現に向けて,バイオジェット燃料の燃料製造・供給に向けたサプライチェーンを構築する検討を進めていく。さらに,航空分野におけるCO₂等温室効果ガス排出量のさらなる削減にむけた技術開発を促進していく。

※1 SAF


Sustainable Aviation Fuelの略で,持続可能な代替航空燃料のこと。




※2 NEDO事業


事業名:バイオジェット燃料生産技術開発事業/一貫製造プロセスに関するパイロットスケール試験/高速増殖型ボツリオコッカスを使った純バイオジェット燃料生産一貫プロセスの開発




事業者:IHI(事業期間 2017年度~2021年度)


神戸大学 (事業期間 2017年度~2018年度)




※3 ASTM D7566 Annex7


ASTM International(旧称American Society for Testing and Materials: 米国試験材料協会)が定める航空用代替ジェット燃料に関する規格。Annex7は,微細藻類ボツリオコッカス・ブラウニー (Botryococcus braunii) から抽出した粗油(炭化水素を主成分とする)を水素化処理で合成した液体炭化水素燃料を規定。IHIが独自にASTMに規格申請し,2020年5月に承認された。




※4ASTM D1655


ASTM Internationalが定める既存の航空用ジェット燃料に関する規格。




※5 高速増殖型ボツリオコッカスHGBb (Hyper-Growth Botryococcus braunii)


培養速度を向上するべく改良された油分の多い微細藻類。株式会社GGT(本社:大阪府茨木市,代表取締役:榎本平 氏)が保有する株。
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