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【海外技術情報】ミシュラン:ミシュランの持続可能な開発モデル『VISIONコンセプト』を今一度復習してみよう


自動車産業にとって、あらゆる素材のリサイクル、リユースが重要な課題となっている。そこで今回は、自動車における消耗品として誰もが真っ先にあげるであろう、タイヤの持続可能性に関する話題を提供しよう。ミシュランが2017年に発表した、持続可能な開発モデルである『VISIONコンセプト』の話題である。


TEXT:川島礼二郎(KAWASHIMA Reijiro)

VISIONコンセプトは技術的挑戦でありロードマップ

 ミシュランは『VISIONコンセプト』を発表して、モビリティをより安全に、よりクリーンに、より効率的に、そして誰もがアクセスできるようにする、という大きな課題に取り組むことを宣言した。




 2017年に発表した『VISIONコンセプト』は、ホイールとエアレスタイヤから構成される。原材料は生物資源、コネクテッドあり、そして再生可能なトレッドを備えた『VISIONコンセプト』は、ミシュランの持続可能な開発モデルが2050年までの間に、タイヤをどのように変革するのかを、明確に説明している。


ミシュラングループCEOのFlorent Menegaux氏は、以下のように述べている。




「ミシュランは『VISIONコンセプト』により、イノベーションと環境責任という二つの課題に対応することを約束しました。この新しいコンセプトは、持続可能なモビリティの未来に私たち自身を投影し、それにより戦略的決定を導きます。単なる未来のビジョンを示すだけでなく、ミシュランが毎年その実現可能性、有効性、進歩を実証するロードマップでもあるのです」




『VISIONコンセプト』は、ミシュランのR&Dチームに作業方針を示し、そして刺激を与える。構造、ハイテク素材、関連サービスといった幅広い分野での革新的技術が満載されており、すでに19件の特許で保護されている。そしてこの『VISIONコンセプト』には、重要な4つの技術的な特徴がある。それが「エアレス」「リチャージャブル」「コネクテッド」「100%持続可能」である。

エアレス:パンクや急激な空気圧低下のリスクを排除し環境への影響を低減する

『VISIONコンセプト』は車両を支え、ホイールの強度を維持し、安全で快適な乗り心地を実現できる革新的な構造により、タイヤから空気を排除する。タイヤから空気を排除できれば、パンクや空気圧低下の問題を無くすことができる。




 エアレス技術は、乗用車用のエアレスタイヤとホイールアセンブリを組み合わせたミシュラン独自の耐パンクタイヤシステム(UPTIS)プロトタイプによって具現化されている。2019年6月に開催された「Movin On Summit」で世界初公開されたUPTISは『VISIONコンセプト』を技術的に実現するための第一歩を示していた。




 ミシュランが開発した新世代エアレスソリューションの到来を告げるUPTISは、その独自の構造と素材により、真の技術革新を体現した。UPTISは、アルミホイールと、ミシュランのハイテク素材に関する専門知識の産物であるガラス繊維強化プラスチック(GFRP)で作られた柔軟な耐荷重構造を組み合わせることで、高レベルの性能品質を保証する。商用アプリケーションにのみ適用するような既存エアレスソリューションとは異なり、UPTISは乗用車のニーズに完全に適合する。




 UPTISプロトタイプは、ドライバー、商業用の複数車両所有者(タクシー事業者等)、および環境に大きなメリットをもたらす。UPTISにより、ドライバーは車両の制御を失ったり、パンクにより停車せねばならないリスクから解放される。道路状況がタイヤに与える影響を心配する必要もなくなる。商業用の複数車両所有者にとっての恩恵は生産性の向上である。UPTISは、車両が突然使えなくなるリスクを軽減し、タイヤ関連のメンテナンスを軽減することにより、効率を高める。環境に対しては、エアレス技術がパンクにより廃棄されるタイヤの数を大幅に削減することで、フットプリントを小さくする。




 UPTISは、ミシュランとGMとのパートナーシップにより、2024年に市場に投入される。共同研究契約の一環として、UPTISは『ボルトEV』等でテストされており、現在は実際の運転条件下での動作に関するテストが続けられている。

リチャージャブル:オンデマンドで3Dプリントできるトレッド

『VISIONコンセプト』は3Dプリンターを使用して、トレッドをリチャージできる。そのため、使用するゴムコンパウンドの量を調整したり、ドライバーのニーズに応じてトレッドパターンをカスタマイズすることも可能となる。




 これは『VISIONコンセプト』の最も革新的な側面の1つである。3Dプリントされたトレッドを備えたタイヤを使用すると、適量のゴムコンパウンドを堆積させることができるため、原材料の使用量を削減できる。




 またトレッドをリチャージできるということは、『VISIONコンセプト』はドライバーの変化するニーズに応じて、最大限の快適性、安全性、持続可能性を実現できる、ということを意味する。例えば、冬や夏の条件にタイヤを適合させたい、というニーズがある。3Dプリンターを利用したリチャージでは、このニーズにオンデマンドサービスを介して迅速かつ簡単に行うことができる。




 ミシュランは金属積層造形、または金属3Dプリンティング分野におけるパイオニアであり、世界のリーダーである。ミシュランでは、既に両技術を、タイヤ金型のコンポーネントを含む多くの製品の設計と生産に使用している。その専門知識を活用することで、ゴム製3Dプリンティングを革新し、最終的にタイヤトレッドのリチャージソリューションを提供する。

コネクテッド:安全でパーソナライズされた拡張運転体験のために

 多数のセンサーを搭載した『VISIONコンセプト』は、利用可能な最高の接続技術の恩恵を受けて、ドライバーに対するサービス、快適性、安全性の新時代の基盤を築く。例えば、上述したゴムコンパウンドとトレッドパターンのカスタマイズ。『VISIONコンセプト』には、その状態と使用に関するリアルタイムのフィードバックを提供するさまざまなセンサーが装備されている。ミシュランモバイルアプリを使用することで、ドライバーはニーズに応じたトレッド機能変更が可能となる。




 ミシュランはデジタルトランスフォーメーションとコネクテッドモビリティの発展を活用して、タイヤ事業を超えて、より多くのデジタルサービスを統合。包括的な製品を提案する予定である。予知メンテナンス、インテリジェントな安全性、モビリティデータ活用などの幅広い分野において、すべての人、個人、専門家に同様に価値を生み出すだろう。今日においてミシュランは、すでに1,000万を超えるオブジェクトを接続しており、その数は絶えず増加している。




 コネクテッドタイヤの専門知識は、ユーザーの慣行とニーズをより深く理解し、カスタマイズされたソリューションの開発を促進する。コネクテッドサービスの分野では多くの革新が存在しており、それらは今後数年間で『VISIONコンセプト』に貢献することだろう。

100%持続可能:バイオソースとリサイクル材料による破壊的イノベーション

 バイオソースとリサイクル素材から製造された『VISIONコンセプト』は、ミシュランとそのパートナーのハイテク素材の専門知識を活用して、2050年までに100%持続可能な素材という目標を達成する。この革新的なアプローチは、タイヤの環境フットプリントを最小限に抑え、ライフサイクルを循環経済モデルに統合する。




 今日のミシュランタイヤはハイテク技術の産物であり、200以上のコンポーネントから構成されている。それらの完璧に調和した成分は相互作用により、安全性、快適性、環境負荷の低減という点において、バランスの取れたパフォーマンスを提供している。コンポーネントの製造には、天然ゴム、合成ゴム、金属、繊維、強化剤(カーボンブラック、シリカなど)、可塑剤(樹脂など)など、様々な種類の材料が使用されている。




『VISIONコンセプト』に示されているように、ミシュランはすべてのタイヤコンポーネントが最終的に持続可能であることを保証することに取り組んでいる。これを達成するため、ハイテク素材の高度な成熟した技術と独自のテクノロジーインキュベーターを活用している。




 本分野のイノベーションには、社内の専門知識を補完する、新しいレベルの協力が必要である。そこでミシュランは革新的なパートナーとのリーダーとしての地位を確立して、多様な技術領域を結集している。




 以下に示すように、目標は材料をより持続可能なものにすることである。例を示しておく。




 まずは、廃材、籾殻、コーンストーバーなどのバイオマスを利用したブタジエンの製造。ミシュランがIFPENおよびAxensと提携して実施しているBioButterflyプロジェクトを実施している。その目的は、バイオマス由来のエタノールを使用してブタジエンを製造して、石油由来のブタジエンを置き換えることにある。ブタジエンは、スチレンと並んでタイヤ製造に使用される合成ゴムの重要な成分である。最終的には、毎年420万トンの木材チップをミシュランタイヤに組み込むことが出来る予定である。




 また廃ポリスチレン(ヨーグルトポット、食品容器、プラスチック包装など)からの再生スチレンの製造にも取り組んでいる。パートナー企業であるPyrowaveにより開発された革新的プロセスでは、マイクロ波を使用してポリスチレンオブジェクトを分解して、元の構成要素であるスチレンを復元する。この再生スチレンは、自動車、家電、タイヤ業界において、再生プラスチックから新しいパッケージを作り直したり、新しい製品を製造するのに使用できる。スチレンはタイヤ製造で使用される合成ゴムの重要な成分である。この技術により、毎年8万トン相当のポリスチレン廃棄物をミシュランタイヤにリサイクルすることができる。




 PETプラスチック廃棄物(水、ジュース、食用油、食器用洗剤などに使用されるペットボトル)からの再生繊維の製造にも取り組んでいる。パートナー企業であるCarbiosが開発した革新的プロセスにより、特定の種類のプラスチック(PET)から作られたオブジェクトは酵素により分解され、新しいオブジェクトを作成するために再利用できる。つまり無限のリサイクルが可能になる。これらのオブジェクトの一つは、タイヤ製造に使用されるポリエステル糸である。毎年40億本近くのペットボトルがミシュランタイヤにリサイクルされる可能性がある。




 使用済みタイヤからのカーボンブラックの回収にも取り組んでいる。パートナー企業によって開発された独自プロセスにより、使用済みタイヤは熱分解され、カーボンブラックやオイルなどのコンポーネントの一部が回収される。回収されたカーボンブラックは新しいタイヤの製造に再利用できる。この技術により、毎年5,600万本のタイヤをリサイクルして、新しいミシュランタイヤを製造することができる。

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