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ダイハツ・タント | DNGAプラットフォームと大幅改良KF型エンジン&D-CVTの恩恵はNA車こそ多大


コロナ禍が猛威を振るう昨今、プライベートな空間を保ちながら自由に移動できるマイカーの良さが見直されつつある。




そこで、クルマの運転のブランクが大きいペーパードライバーや高齢者、あるいはこの機会に運転免許を取得した初心者にオススメなのが、安価かつ狭い道でも扱いやすい軽自動車やコンパクトカーだ。しかし、肝心の帰省や旅行でも、家族みんなが快適に過ごせるのだろうか?




なお、取材の時期および車両の都合上、テスト車両は2020年12月1日に行われた一部改良前のものとなったことをご了承いただきたい。




REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu)


PHOTO●遠藤正賢、ダイハツ工業

「最新の軽&コンパクトはファーストカーとして使えるか?」と題したこの企画では、2020年販売台数ランキングで上位につけた国産軽自動車およびコンパクトカーの、安価でロースペックなパワートレーンを搭載するグレードをピックアップ。




一般道で取り回しの良さなどを確認しつつ、関東圏外への帰省を想定して、高速道路を中心としつつ市街地約50kmを含む総計約500kmのコースを半日かけて試乗。操縦安定性や乗り心地、長距離長時間走行した後の疲労度などをチェックする。




1台目は、左側Bピラーレスボディが特徴の超背高軽ワゴン、ダイハツ・タント標準仕様のNAエンジン搭載車における上級グレード「X」のFF車。東京都内および神奈川県内の市街地と首都高速道路を経て、常磐自動車道で茨城県水戸市を往復するルートを走行した。

「DNGA」の主要骨格とシャシー

以前、この新型タントのエアロ仕様「カスタム」のターボエンジンを搭載する最上級グレード「カスタムRS」に試乗した際、新型タントが初採用車種となった「DNGA」(Daihatsu New Global Architecture)の高いポテンシャルを感じたものの、今後の熟成を期待したい面も多々見られた。




その一方で、「内外装のデザイン・質感のみならずパワートレーンやシャシーも、いろいろ無理をしていない標準仕様NA車の方がバランスは良いのではないか?」という疑問と期待も、内心抱いていた。

「カスタム」系グレードに対し加飾が抑えられた標準仕様「X」の右側面

明るい色使いでコーディネートされた標準仕様「X」の運転席まわり

グレーの撥水加工ファブリック生地を採用する標準仕様「X」の前後シート。左側面はBピラーレスボディのうえシートアレンジも多彩なため後席へアクセスしやすい

5:5分割スライド&格納式リヤシートはラゲッジルーム側からも操作可能なため積載性は良好。荷室フロア高は580mm、開口高は1061mm、開口幅は1007mm

こうして標準仕様「X」の実車に対面すると、そのエクステリアは均整が取れており、この手のクルマとしてはモダンな「カスタムRS」以上に好感が持てる。前後席とも絶対的な空間のみならず視界も広いインテリアも、素材の安っぽさは目立つものの色使いが明るいため、黒を基調とした暗い雰囲気のカスタムよりも好印象だ。

一部改良後の標準仕様「X」の運転席まわり
一部改良後の標準仕様「X」の前後シート

…ったが、2020年12月1日の一部改良で、インパネとドアトリムのカラーがグレーから黒に変更され、この明るさが少なからず損なわれたのは残念でならない。




しかしながら、「カスタムRS」と標準仕様「X」との違いで大きいのは、これらの見た目よりもむしろ機能面だろう。




標準仕様全車に装着されるグレー撥水加工ファブリックシートは、「カスタム」用のファブリック×ソフトレザー調シートよりも柔軟性が高くフィット感に優れ、旋回時のホールド性も高い。カスタム用のものはソフトレザー調表皮の部分だけが硬く滑りやすいものの、標準仕様は全面ファブリック生地のため、そうした違和感や機能面のマイナスは感じられなかった。

KF-VE7型0.66L直列3気筒NAエンジン

では、実際に走り出すとどうか。1755mmの全高と900kgの車重に対し0.66LNAエンジンの最高出力は52ps、最大トルクは60Nmと、スペックを見る限りは平地を加速するのがやっとではないかと予想された。だが、横浜市内にままある急勾配の上り坂でも、高速道路で料金所から本線へ合流するような場面でも、加速性能に不足はない。

遊星ギヤを併用し変速比幅を拡大したD-CVT

新型タントでは、ダイハツの軽自動車各車に長年搭載され続けている「KF」型0.66L直3エンジンが大幅に見直され、燃焼室の小型化やデュアルポート燃料噴射、複数回点火などを採用した「KF-VE7」(NA)/「KF-VET2」(ターボ)型に進化。CVTは高速域でベルトと遊星ギヤを併用することにより変速比幅を従来の5.3から6.7(タントの場合。他の車種では7.3まで拡大可能)に広げた「D-CVT」に一新されているが、その恩恵はターボ車の「カスタムRS」以上に大きく感じられた。

テスト車両は155/65R14 75Sのトーヨー・ナノエナジー3Bを装着

しかも、「カスタムRS」を試乗した際に見られた、ベルトのみでエンジントルクをタイヤに伝える「ベルトモード」から、ベルトと遊星ギヤを併用する「スプリットモード」に切り替わる際のショックは皆無。一方でこの標準仕様「X」でも、首都高速道路湾岸線のように海風の直撃を受ける場所での直進安定性は極めて高く、神経をすり減らされるような状況は少ないと言えるだろう。

フロントサスペンションはストラット式
フロントサスペンションはストラット式

ただし、荒れた路面で突き上げやフロアの振動、タイヤノイズが大きく、高速域ではこれに風切り音が加わる傾向も「カスタムRS」と変わらず。とはいえそれぞれの角は取れているため致命的に不快なほどではなく、約500km・半日に及ぶ長距離長時間ドライブを終えた後も疲労は思いのほか蓄積されていなかった。




なお、約500km走行後のトータル燃費は21.0km/L。WLTCモード燃費21.2km/Lとほぼ変わらず、帰省に使ってもおサイフに優しいことが推測できる結果となった。




一台ですべてをまかなうファーストカーとしてのポテンシャルは高く、これならば子育てファミリーが街乗りのみならず帰省に使っても、家族みんなが快適に過ごせ、運転できることはほぼ間違いない。

■ダイハツ・タントX(FF)


全長×全幅×全高:3395×1475×1755mm


ホイールベース:2460mm


車両重量:900kg


エンジン形式:直列3気筒DOHC


総排気量:658cc


最高出力:38kW(52ps)/6900rpm


最大トルク:60Nm/3600rpm


トランスミッション:CVT


サスペンション形式 前/後:マクファーソンストラット/トーションビーム


ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ドラム


タイヤサイズ:155/65R14 75S


乗車定員:4名


WLTCモード燃費:21.2km/L


市街地モード燃費:18.4km/L


郊外モード燃費:22.8km/L


高速道路モード燃費:21.6km/L


車両価格:149万500円
ダイハツ・タントX

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