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コロナウイルスの影響を受けて開幕する2020年F1グランプリ。今年のF1は? 今年のホンダは? F1ジャーナリスト、世良耕太がプレビューする


今週末3月13-15日にモータースポーツの最高峰、F1グランプリの2020年シーズンが始まる。今年のF1がどうなるか? 見所はどこか? ホンダはチャンピオンを狙えるか? F1ジャーナリスト、世良耕太氏が解説する。


TEXT◎世良耕太(SERA Kota)

第1戦 3/15 オーストラリアGP(アルバートパーク・サーキット)


第2戦 3/22 バーレーンGP (バーレーン国際サーキット)※無観客


第3戦 4/5 ベトナムGP(ハノイ市街地コース )


第4戦  5/3 オランダGP(ザントフールト・サーキット)


第5戦 5/10 スペインGP(カタロニア・サーキット)


第6戦 5/24 モナコGP(モンテカルロ市街地コース)


第7戦  6/7 アゼルバイジャンGP(バクー市街地コース)


第8戦  6/14 カナダGP(ジル・ヴィルヌーブサーキット)


第9戦  6/28 フランスGP(ポール・リカール・サーキット)


第10戦 7/5 オーストリアGP(レッドブルリンク)


第11戦 7/19 イギリスGP(シルバーストン・サーキット)


第12戦 8/2 ハンガリーGP(ハンガロリンク)


第13戦 8/30 ベルギーGP(スパ・フランコルシャン)


第14戦 9/6 イタリアGP(モンツァ)


第15戦 9/20 シンガポールGP(シンガポール市街地コース)


第16戦 9/27 ロシアGP(ソチ・オートドローム)


第17戦 10/11 日本GP(鈴鹿サーキット)


第18戦 10/25 アメリカGP(サーキット・オフ・ジ・アメリカ)


第19戦 11/1 メキシコシティGP(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)


第20戦 11/15 ブラジルGP(インテルラゴス・サーキット)


第21戦 11/29 アブダビGP(ヤス・マリーナ・サーキット)


TBA 中国GP(上海国際サーキット)

第2戦は無観客レース、中国GPは延期。それでもF1は始まる

 コロナウイルス感染拡大の影響で延期を余儀なくされるモータースポーツイベントが相次ぐなか、オーストラリア・メルボルンで開催される2020年のF1開幕戦(3月15日決勝)は、予定どおり進行している。ただし、第2戦バーレーンGP(3月22日決勝)は無観客で行なうことが発表されているし、第4戦に予定されていた中国GP(4月19日決勝)は開催せず、代替日程を模索する旨が発表された。今シーズンは史上最多の22戦が予定されているが、予定どおり消化できるかどうか予断を許さない状況だ。

このところずっと王座に居続けているメルセデス

そのメルセデスに挑むのがホンダ製PU(パワーユニット)を搭載するレッドブル

ホンダ製PUを搭載するもうひとつのチーム「アルファタウリ・ホンダ」は昨年までトロロッソ・ホンダと名乗っていたチーム
ルノーはダニエル・リカルド/エステバン・オコンのドライバーラインアップ


メルセデス ルイス・ハミルトン/バルテリ・ボッタス


フェラーリ セバスチャン・ベッテル/シャルル・ルクレール


レッドブル・ホンダ マックス・フェルスタッペン/アレクサンダー・アルボン


マクラーレン カルロス・サインツJr./ランド・ノリス


ルノー ダニエル・リカルド/エステバン・オコン


アルファタウリ・ホンダ ピエール・ガスリー/ダニール・クビアト


レーシングポイント セルジオ・ペレス/ランス・ストロール


アルファロメオ キミ・ライコネン/アントニオ・ジョビナッツィ


ハース ロマン・グロージャン/ケビン・マグヌッセン


ウイリアムズ ジョージ・ラッセル/ニコラス・ラティフィ

 いずれにせよ、F1は開幕する。2021年に大規模なレギュレーション変更(例えば、これまで長い間13インチだったタイヤ&ホイールが18インチになる)が控えているため、2020年に導入される変更はほとんどない。開幕の直前になって発表されたのは、エンジンの筒内圧と温度を監視するセンサーの搭載を義務づけるため、最低重量を1kg増やすこと(745kg→746kg)。技術ではなく競技規則だが、識別がしづらくなるからと年に1回限り認めていたヘルメットのデザイン変更を無制限にしたことくらいだ。




 チームにとっては、2021年のレギュレーション変更が悩ましい。現在のレギュレーションの基点になっているのは、新しいパワーユニット(1.6LV6直噴ターボエンジン+2種類のエネルギー回生システム)が導入された2014年である。以来、メルセデスが6連覇を果たしている。2009年に大がかりなレギュレーション変更が行なわれた際は、レッドブルが急浮上するきっかけになった(10年から13年まで4連覇)。レギュレーションが大きく変わるタイミングは、勢力図を塗り替えるチャンスなのだ。




 だからどのチームも気持ちは2021年に傾いている。でも、2020年シーズンをおろそかにするわけにはいかない。限られたリソースをどちらにどの程度配分するか、悩ましいバランス感覚が求められるのだ。その意味でも、開幕戦に注目だ。勢い込んで開幕を迎えたものの期待外れに終わった場合、2020年シーズンの戦いに見切りをつけ、2021年型の開発に軸足を移す決断を早める可能性がある。逆に、いい調子で開幕を迎えたならば、そのままシーズン半ば頃まで開発を継続し、2021年型の開発の足を引っ張らない程度に、いい成績を狙いにいくことになる。

21世紀に入ってからのF1歴代ドライバーズ・チャンピオン


2001年 ミハエル・シューマッハ(フェラーリ)


2002年 ミハエル・シューマッハ(フェラーリ)


2003年 ミハエル・シューマッハ(フェラーリ)


2004年 ミハエル・シューマッハ(フェラーリ)


2005年 フェルナンド・アロンソ(ルノー)


2006年 フェルナンド・アロンソ(ルノー)


2007年 キミ・ライコネン(フェラーリ)


2008年 ルイス・ハミルトン(マクラーレン・メルセデス)


2009年 ジェンソン・バトン(ブラウン・メルセデス)


2010年 セバスチャン・ベッテル(レッドブル・ルノー)


2011年 セバスチャン・ベッテル(レッドブル・ルノー)


2012年 セバスチャン・ベッテル(レッドブル・ルノー)


2013年 セバスチャン・ベッテル(レッドブル・ルノー)


2014年 ルイス・ハミルトン(メルセデス)


2015年 ルイス・ハミルトン(メルセデス)


2016年 ニコ・ロズベルグ(メルセデス)


2017年 ルイス・ハミルトン(メルセデス)


2018年 ルイス・ハミルトン(メルセデス)


2019年 ルイス・ハミルトン(メルセデス)

21世紀に入ってからのF1歴代コンストラクターズ・チャンピオン


2001年 フェラーリ/フェラーリ


2002年 フェラーリ/フェラーリ


2003年 フェラーリ/フェラーリ


2004年 フェラーリ/フェラーリ


2005年 ルノー/ルノー


2006年 ルノー/ルノー


2007年 フェラーリ/フェラーリ


2008年 フェラーリ/フェラーリ


2009年 ブラウン/メルセデス


2010年 レッドブル/ルノー


2011年 レッドブル/ルノー


2012年 レッドブル/ルノー


2013年 レッドブル/ルノー


2014年 メルセデス/メルセデス


2015年 メルセデス/メルセデス


2016年 メルセデス/メルセデス


2017年 メルセデス/メルセデス


2018年 メルセデス/メルセデス


2019年 メルセデス/メルセデス

開幕前の合同テストで順調だったのは

開幕前の合同テストで順調だったのは、メルセデス

 開幕前の合同テストで順調だったのは、メルセデスだ。王者の貫禄である。これまで独走と言っていい状態で連覇を果たしてきたのだし、来年からはまったく新しいコンセプトのマシンに切り替わるのだから、2020年型はキープコンセプトで済ませてもいいはずだった。ところがメルセデスは、大胆な設計変更に取り組んできた。




 例えばサイドポンツーン。熱交換器に冷却風を導く開口部が前端に設けられているが、その開口部の位置が上に移動した。空力を重視したこの設計は他チームが先に採用しており、メルセデスはトレンドを追いかけた格好になる。開口部を持ち上げるためには、装着が義務づけられているサイドインパクトストラクチャーの位置を上から下に移動させなければならないため、簡単な変更ではない。しかし、そうまでしないと競争力を保てないと判断したのだろう。




 もっと攻めの姿勢を感じるのが、DASと呼ぶ新技術の採用だ。メルセデスはデュアル・アクシス・ステアリング(2軸ステアリング)と呼んでいるが、原理と効果については明かしていない。プレシーズンテスト時のオンボードカメラ映像を確認すると、ストレートに入ったところでドライバーはステアリングを手前に引き、コーナーの手前で奥に押し込んでいる動作が確認できる。




 ステアリングを押し引きすることで、トー(toe)を変化させているのだろう。トーはタイヤを上から見たときの角度で、外側を向いた状態をトーアウト、内側を向いてハの字になった状態をトーインと呼ぶ。レーシングカーでは直進状態でトーアウトにするのがセオリーだ。DASを操作することで、直進時にニュートラル方向に向きを変えているものと想像できる。トラックロッドとアップライトの位置関係から、ニュートラル方向にすると車高が上がる。そうしてドラッグ(空気抵抗)を減らし、最高速を伸ばそうとしているのかもしれない。

メルセデス

メルセデス

 これ以外にも、タイヤの温度分布を最適化する狙いなど、さまざまな想像が可能だ。現時点では真相にたどり着くことができていないが、パフォーマンス面で大きなゲインが見込めるから採用したことは間違いない。果たして、DASはメルセデスの7連覇に向けた大きな武器になるだろうか。開幕戦では、オンボードカメラもメルセデスのふたりのドライバーに注目するはずである。




 メルセデスの独走に待ったを掛けるのは、昨年と同様にフェラーリとレッドブルになりそうだ。ただし、プレシーズンテストの結果から判断する限り、フェラーリの活躍には不安が残る。昨年のプレシーズンテストで好調だったフェラーリはシーズン開幕後も前評判どおりの速さを見せたが、今年のテストでは昨年ほどの速さを見せていない。開幕戦では、メルセデスに食らいついていけるかどうかに注目だ。

好調だったのはホンダ製PUを積むレッドブル

レッドブル・ホンダ

 対照的にテストで好調だったのが、ホンダのパワーユニットを搭載するレッドブルだ。テスト前半は信頼性の確認に集中。後半はパフォーマンスを引き出すプログラムに転じたが、狙いどおりの成果が出ず、ベースラインのセットアップに戻してプログラムを終えた。それでも、ラップタイムはメルセデスに次ぐ全体の2位だった。メルセデスの連覇を阻止する筆頭候補に挙げるにふさわしい状態といえる。




 ルノーやマクラーレン、レーシングポイントもテストでは好調で、中団グループも混戦が予想される。レッドブルと同じホンダのパワーユニットを搭載するトロロッソは、アルファタウリ(Alpha Tauri)にチーム名を変更して新シーズンに臨む。




 アルファタウリは、このチームのオーナーであるエナジードリンク企業、レッドブルが展開するファッションブランドだ。おうし座で最も明るい恒星はアルデバランで、その学名をアルファタウリという。チーム名変更にともない、鮮やかなブルーが特徴だった旧トロロッソは、ホワイトとダークブルーを基調にしたカラーリングに一新した。サイドポンツーンには、HONDA HYBRIDの文字が鮮やかなレッドで彩られる。白地に日の丸をあしらった1960年代のホンダF1マシンを彷彿とさせる色の組み合わせだ。




 カラーリングといえば、昨年はブラック一色だったハースは、白/黒/赤のオリジナルカラーに戻っている。2021年にアストンマーティンのワークスチームに切り替わることが決まっているレーシングポイントは、昨年までと同じピンクのカラーリングを受け継いでいるが、色よりも形で注目を集めている。2019年のチャンピオンマシンであるメルセデスW10とそっくりなのだ。それゆえ「ピンク・メルセデス」の異名で呼ばれることも。このマシンが見かけ倒しでないことは、テストで証明済みだ。




 さまざまな方面で話題に事欠かない2020年のF1シーズンがいよいよ始まる。

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