BMWは「ミラノ国際モーターサイクルショー(EICMA)2019」において、レーサーのダイナミックなパフォーマンス、アドベンチャーマシンのアップライトなフォルム、ツアラーの耐久性や実用性を備えたマルチなモデル「BMW S 1000 XR」の新型を発表。レース、アドベンチャー、ツアーのベスト要素を組み合わせた、アドベンチャースポーツバイク「BMW S 1000 XR」の“進化した姿”を徹底レポート!

REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

最新テクノロジーをフル投入!新開発の水冷4スト4気筒16バルブ999ccエンジンはコンパクト&5kg軽量化!

 新型の『BMW S 1000 XR』は、「ダイナミックESA(電子式サスペンション調整)」「ライディングモードPro(フルパワーおよび最小限のトラクションコントロール)」「ABS ProおよびDTC(コーナーリングABSおよびダイナミックトラクションコントロール)」など、最新のテクノロジーを新たに導入した注目のモデル。



 既存の「アンチホッピングクラッチ」に加え、マルチに使える「6.6インチTFTディスプレイ」「Hill Start Control Pro」、「MSR(積極的な加速&ダウンチェンジで後輪が滑り込むのを防ぐトルク制御)」も導入済み。

「ライディングモード」には、6軸センサーを使用して制御された、前輪の動作を可能にする「DTCウィリー機能」を装備。優れた上下クイックシフターも標準装備され、ギアセレクターへの「20Nライターアクション」も追加されている。

BMW S1000XR(レーシングレッド/ホワイトアルミニウムメタリックマット)

フロントフェンダーとフロントサイド部のカラーを変更したバージョン。

BMW S1000XR(アイスグレー)

前モデルをプレイバック!

新型「BMW S1000XR」 エンジン系&電子制御系の主なポイント!

 エンジンは5kg軽量化された、新開発のもの。BMWのスーパースポーツモデル「S 1000 RR」をベースにした、水冷式4ストローク4気筒16バルブ999ccを搭載。最高出力165PS(121kW)/11,000rpm、最大トルクは114Nm/9,250 rpmを発生する(どちらも数値は前モデルと同じ)。



 新型のポイントは、4速・5速・6速のギアレシオをクロスに変更するなど、ストリートで多用する低回転域~中回転域での乗りやすさ=街乗りでの扱いやすさを向上しているところ。燃費の向上(8%アップ)や騒音レベルを低減している点も新型の特徴だ。



 前モデルで確立された4バルブのテクノロジー、チタン製インテークバルブ、高強度ロッカーアームを備えた、軽量&コンパクトなエンジンの各燃焼室には、スチール製の4つのバルブを装備。吸気バルブのシャフトは、中空にドリル加工されているため、重量を軽減。各バルブは軽量で耐性があり、DLCコーティングされたロッカーアームを介して作動。これらは前モデルよりも、25%軽量化されている。



 前モデルと同様、シリンダーはエンジンハウジングの上半分に組み込まれ、摩擦を低減するため、内壁は滑らかに磨き上げられている。ハウジングの上半分には、軽量でコンパクトな6速トランスミッションが搭載されており、シフト精度が向上。自己補強型の「アンチホッピングクラッチ」のおかげで、前モデルと比較して操作力が20Nから65Nに削減されているのも特徴だ。



 新型の「S 1000 XR」は、アプリケーションの範囲に合わせ、カムシャフトのプロファイルを再計算。吸気システムは、低速域&中速域の範囲で、乗り心地をさらに改善するために最適化されている。

 さらに、実証済みのBMWフルライドバイワイヤシステム「電子スロットルグリップ」も装備。乗車時のポイントは、スロットルグリップを操作するのに必要な力を減少させることと、エンジンを完全に制御できるようにすること。



 また、「アンチホッピングクラッチ」に加えて、「エンジンドラッグトルクコントロール(MSR)」を初搭載。電子制御されたMSRは、突然のスロットル操作や、シフトダウン時の後輪スリップを防止。「アンチホッピングクラッチ」は、機械的に事前設定された値により、後輪が踏み込むのを防いでくれる(シフトダウン時など)。



 ライディングモードは「Rain」「Road」「Dynamic」「Dynamic Pro」の4つを装備。 その他、「ダイナミックESA(電子式サスペンション調整)」、「ABS Pro」、「DTC(ダイナミックトラクションコントロール) 」など、高度な電子制御システムも新採用されている。

前モデルに比べてコンパクトされ、5kgの軽量化を実現した新型のエンジン。

4速・5速・6速のギアレシオを変更し、街乗りでの扱いやすさを向上。

999ccのエンジンは最高出力165PS(121kW)/11,000rpm、最大トルクは114Nm/9,250 rpmを発揮。

新型は「Rain」「Road」「Dynamic」「Dynamic Pro」の4つのライディングモードを装備。

新型「BMW S1000XR」 フレーム&足周りの主なポイント!

 新型のサスペンションの主な目的は、従来のモデルと比較して、さらに強化されたライディングダイナミクスを開発し、重量を大幅に削減すること。 新しいメインフレームによって、この目標を達成することができた。

 サスペンションのセンターピースは、アルミ製のブリッジフレームのままだが、レイアウトは前モデルと比較して大幅に変更。 メインフレームは、4つのチルキャストエレメントで構成される溶接構造として構成され、エンジンは前モデル同じように、32°前方に傾斜して統合され、耐荷重要素としての機能が大幅に強化されている。



 大幅な軽量化を達成するために、2つのトップフレームチューブ、ステアリングヘッドセクション、エンジンマウントは、エンジンの耐荷重機能がさらに拡張されるように設計。



 エンジンの大部分がサスペンション構造に組み込まれているため、フレームの重量は約2%減少。リアフレームも軽量化され、重量は約9%減少。メインフレーム、リアフレーム、スイングアームの複合構造全体も新たに計算され、剛性と柔軟性の最適な組み合わせを実現。そのため、「Flex Frame」と名付けられた。



 人間工学的な観点から、前モデルよりも30mm狭いハンドルバーの利点を活用。ハンドルバーの振動分離は、完全再設計されたもの。新しいハンドルバークランプには、押し込み式のゴム製ブッシュを装備。ステアリングの精度や精度を損なうことなく、快適な操作感を実現している。



 ステアリングヘッドの角度は、64.5°から65.1°に変更され、必要に応じてフォークブリッジのオフセットを調整。キャスターは116 mm(前モデルは117mm)に縮小された。

 同時に、ホイールベースは1,552 mmに拡張。また、新しいサスペンションジオメトリにより、フロントホイールコントロールとリアホイールコントロールからのフィードバックを改善している。



 最新の電子式サスペンション「BMW Motorrad Dynamic ESA(電子式サスペンション調整)」は、ダイナミックな乗り心地と高いレベルの乗り心地を提供。従来のサスペンションシステム(電子制御されていないシステム)とは異なり、乗り心地、性能、快適性を大幅に向上している。

エンジンの大部分がサスペンション構造に組み込まれているため、フレームの重量は約2%減少。

ハンドルバークランプには、押し込み式のゴム製ブッシュを装備。

最新の電子式サスペンション「BMW Motorrad Dynamic ESA(電子式サスペンション調整)」を採用。

電子制御化された先進のサスペンションシステム。従来のサスペンションシステム(電子制御されていないシステム)とは異なり、乗り心地、性能、快適性を大幅に向上。

リザーバータンク付きのモノショック型リアショック。

前後17インチのホイールは軽量なアルミ鋳造キャストホイールを採用。

フロントはWディスク化。4POTキャリパー&Φ320mmスチール製ディスクローターで構成。

 前後17インチのホイールは、軽量なアルミ鋳造キャストホイール。最適化されたセットアップの「ABS Pro」、ブレーキ時のパフォーマンスと安全性を最大限に高める「DBCダイナミックブレーキコントロール」を採用しているのもポイント。



 軽量化の観点から、新しいS 1000 XRは、S 1000 RRに使用される17インチの軽合金ホイールの利点を活用。前モデルと比較して、新しいホイールセットの重量は、約1.8kg=17%軽量化。



 新型には、高性能なブレーキシステムを装備。フロントには、放射状に取り付けられた4ピストンキャリパーと、厚さ4.5 mmの320 mmスチール製ディスクローターをWで装備。合計でフロントブレーキディスクの重量は約0.5 kg軽量化している。リアは、220 mmスチール製ディスクローターを備えた、シングルピストンキャリパーを装備。



 現在標準となっている「ABS Pro」は、最大限の安全性を提供。高速域でブレーキをかけた場合でも、「ABS Pro」は車輪がロックするのを防ぐことができるため、パニックブレーキがかかった場合でも、バンキング時の転倒のリスクを低減。



 「ABS Pro」は、「レイン」「ロード」「ダイナミック」のライディングモードあり。一方、「Dynamic Pro」モードでは、機能を5つの異なるレベルに設定可能。 なお、新機能として「Dynamic Pro」モードにより、後輪制御を無効にすることができる。

新型「BMW S1000XR」 外観やデザインの主なポイント!

 新型には、ヘッドライト、ウインカー、インジケーターなど、随所にLEDライトユニットを採用。フロントスクリーンは、前モデルよりも50mm高く、さらに優れた防風性を発揮。



 ハンドルはアルミ製のバータイプとし、軽量化と操作感の向上を実現。カラーは「レーシングレッド/ホワイトアルミニウムメタリックマット」と「アイスグレー」の2種類がスタンバイされている。

●新型 BMW S1000XR 主要スペック



エンジン:水冷式4ストロークDOHC 4気筒

エンジンのレイアウト:インライン4シリンダー

排気量:999cc

ボア×ストローク:80mmx49.7mm

最高出力:162bhp(121kW)/11,000rpm

最大トルク:84 lb-ft(114Nm)/9,250rpm

最高速度:124.3mph(200km/h)

トランスミッション:6速、チェーンファイナルドライブタイプ

タンク容量:20リットル

安全装備:コーナリングABS、トラクション制御、ヒルホールド制御、エンジントルク制御、ライディングモード

フレーム:アルミ

フロントサスペンション:Φ45mm倒立型

フロントサスペンション調整:電子ダンピング、プリロード

リアサスペンション:シングルショック

リアサスペンション調整:電子ダンピング、プリロード

フロントブレーキ:320mmディスクローター、4ピストンキャリパー

リアブレーキ:220mmディスクローター、シングルピストンキャリパー

フロントタイヤ:120/70 ZR17

リアタイヤ:190/55 ZR17

ステアリングヘッド角度/キャスター:65.1°/ 116mm

全高×全幅:2,333mm x 850mm

ホイールベース:1,552mm

シート高:840mm

車両重量:226kg

情報提供元:MotorFan
記事名:「 アドベンチャーバイク界で最強の一角を担うは違う! 新型S1000XRを詳密解剖|EICMA2019