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〈日産セレナ e-POWER:試乗記〉 e-POWERの搭載は同乗者にこそ朗報!


ノートに搭載され、大ヒットの要因となったe-POWERが、これまた大ヒットを続けるセレナに搭載されることになった。それだけで注目度満点の“全部載せ!”的なこのセレナe-POWER。その仕上がりは、燃費はもとより乗り味や居住性に至るまで、「こんなに良くなるの!?」という驚きに満ちたものだった。




REPORT●青山尚暉(AOYAMA Naoki)


PHOTO●平野 陽(HIRANO Akio)




※本稿は2018年3月発売の「日産セレナe-POWERのすべて」に掲載されたものを転載したものです。車両の仕様や道路の状況など、現在とは異なっている場合がありますのでご了承ください。

大ヒットのe-POWERがついにセレナに搭載!

 今、日産e-POWER旋風が吹きまくっている。初搭載のノートは2017年国産コンパクトカー販売台数No.1。さらに18年1月の国産乗用車販売台数でも約70%をe-POWERが占めるノートがダントツの1位。長年リーフで培った日産のEV技術を惜しみなくつぎ込み、また、EVに興味はあってもいきなりピュアEVに踏み込めないユーザーに大きくアピールできた結果だろう。




 e-POWERを改めて説明すると、PHVとは違うシリーズハイブリッドで、「充電を気にすることなくどこまでも走れる電気自動車の新しいカタチ」ということになる。




 動力源はリーフと同じEM 57と呼ばれるモーター。だが、ピュアEVと違い外部充電機能を持たず、必要なら1.2ℓのガソリンエンジンで発電しながらモーター走行を行なう。つまり電欠を心配せずにEV走行を楽しめる〝シリーズハイブリッド”。ガソリンスタンドに立ち寄ることはあっても、自宅の充電設備は不要。ドライブ先で充電する必要もない。




 そんなe-POWERの第二弾として登場したのが、こちらのセレナe-POWER。最初に結論めいたことを述べれば、e-POWERは間違いなくミニバンと最高に相性のいいパワーユニットであるということだ。




 その最大の理由は、モーター走行のスムーズさや静粛性&エコ性能の高さもさることながら、アクセルペダルだけで加減速が行なえるワンペダル走行にある。セレナe-POWERはノートe-POWER同様、アクセルペダルを戻せば回生ブレーキによる最大0.15Gの滑らかな減速効果が得られ、停止まで持ち込める(勾配約5%以上の坂道ではブレーキを踏む必要あり)。しかもノートより重心が高いことに配慮し、約60㎞ /h以上の速度域や高速走行での回生ブレーキの減速力を、より自然な0.1G以下に抑えている。逆に言えばワンペダルの減速効果は60㎞/h以下で絶大ということでもある。




 結果、加速時にはそれこそ新幹線的な、モーターならではの段付き感のないスムーズさで速度を上げ、ワンペダルによる減速時はブレーキングの達人が神業操作するような、減速ピークのない穏やかで優しい減速感をもたらしてくれる。




 そう、重心の高い背高ミニバンでありながら、乗員の上体が前後に揺れにくく、一段と快適でクルマ酔いしにくいドライブが可能になるわけだ(車内でどこかにつかまれないペットにとっても!)。個人的にはそこにセレナe-POWER最大の魅力があるように思える。




 もっと言えば、e-POWERのワンペダル走行機能=e-POWERドライブモードが作動する、エコモード&Sモード(ノーマルモードでは機能せず)では、ブレーキを踏む機会が通常走行時の約70%減というから、ドライバーのペダル踏み替え操作による疲労低減にも直結しそう。

モーター走行のスムーズさはもちろん、格段の静粛性にも感銘を受ける

 ここからは従来からあるセレナスマートシンプルハイブリッド(S-HV)とセレナe-POWERの違いについて見ていこう。外装ではブルーカラーアクセント、リヤサイドスポイラー、LEDストップランプ、ハイウェイスターを含む全車15インチとなるエアロアルミホイール、新色のミントホワイトパールのボディカラーがe-POWER専用となる。




 より変更点が多いのは内装。ブルーアクセントのフィニッシャー&スタータースイッチ、バイワイヤーのシフターに加え、前席中央下にバッテリー、インバーターが収まることで新設定されたコンソールトレイ、S-HVの2列目左側席にアームレストを付けたキャプテンシート限定の2列目席がe-POWERならでは。最大8人乗りを可能にするマルチセンターシートは備わらず、7人乗りのみの設定となっている。




 7人乗りなのは、ライバル車のHVと同様、上級グレードにはより贅沢な居心地と掛け心地が得られるキャプテンシートが相応しいと判断したため。加えてフル乗車時の車両総重量、15インチエコタイヤの耐荷重に配慮したからとも説明される。




 そして、静粛性を向上させるため、遮音フィルムをラミネートしたフロントウインドウガラス、日産初の4層構造センターカーペットを含む25アイテムに及ぶ追加遮音対策が施されているのも、上級グレードとしての位置付けゆえである。




 よって、e-POWER化しても室内空間の犠牲は皆無。違いは1列目席中央のコンソールトレイのみだが、低くセットされているためサイド&1-2列目席ウォークスルーは可能。




 同時に2/3列目席、デュアルバックウインドウを備えたラゲッジの広さ、使い勝手もS-HVと変わらない(e-POWERはカメラ画像が手前のナビ画面で大きく表示できるようになったのも朗報!)。

エンジンはあくまでも発電だけ。モーターが生み出す俊速レスポンスと湧き上がるトルクは、アクセルを踏んだ瞬間にセレナe-POWERがエンジンで走るこれまでのクルマとは別物であることを教えてくれる。

ステアリングの右下にはワンペダル走行のエコモード及びSモードと、従来のノーマルモードを切り替えるドライブモードスイッチが備わる。その隣には、e-POWERだけにオプション設定されるステアリングヒーターのスイッチも。

セレナe-POWERに備わるモーター優先のマナーモード

 次にノートe-POWERとの違いと、e-POWERの進化について。セレナe-POWERの車重は1730〜1760㎏。同じe-POWERを使うノートに対して540㎏重い。それをカバーするため、まずはモーター出力を25%アップし、136㎰/32.6㎏mとした。同時にバッテリー走行距離を拡大するためバッテリー容量を20%アップの1.8 kWhに。さらに発電用の1.2ℓ3気筒エンジンの出力を、高負荷対応で7%アップの84㎰に向上させるとともにオイルクーラーを追加するなどの進化&車種対応を図っている。




 結果、90%のバッテリー充電状態で約2.7㎞のEV走行が可能になり、またバッテリーが減った状態でも箱根ターンパイクを登り切れる(!)パフォーマンスが確保できたというから頼もしくも心強い。




 また、深夜の帰宅時などに便利な、なるべくバッテリーだけで走行するマナーモード、そのマナーモードを活用するため積極的に充電を行なうチャージモードもノートe-POWERにない新機能、切り札となる。




 ところで、セレナe-POWERは外部充電の代わりにエンジンで発電しながら走るのだが、どんな状況でモーターだけで走り、エンジンが始動するのか? まずモーターだけで走行し、エンジンが完全に停止しているのはバッテリー残量が十分にあり、発電の必要がない状態。そしてワンペダル走行モード時に選択できるマナーモード使用時である。




 では、エンジンが掛かる場面と言えば、当たり前だがバッテリー残量が少なくなり発電が必要になった時&フル加速時、電力消費の大きい暖房使用時。後者は高効率の小排気量エンジンゆえ熱源が小さいからだ。




 加えてエンジンが回っていても火が入らず、ガソリンも消費しないモータリングという裏モードがある。これはブレーキを作動させる負圧が足りない時、長い下り坂でバッテリーが過充電になる状況であえて電力を消費させるための制御である。




 気になる燃費性能はセレナS-HVの17.2㎞/ℓ、ノートe-POWERの34.0〜37.2㎞/ℓに対してグレードを問わず26.2㎞/ℓ。この数値であればライバルのと大きく変わらず驚くに値しない……と思うのは早合点。その背景には、バッテリー走行比率が、540㎏も軽いノートe-POWERと同じ約60%という電気自動車としてのパフォーマンスがあることを忘れてはいけない。



リヤハッチに設けられた「e-POWER」のエンブレムこそ、ミニバン新時代の証。また、テールライトとサイドにまで回り込んだ形状のリヤスポイラーもe-POWER専用のエクイップメント。

セレナe-POWERでは、標準車、ハイウェイスターともに装着タイヤは15インチサイズとなる。ホイールデザインは標準&ハイウェイスター共通のe-POWER専用となっている。

エンジンが掛かっていても静粛性はS-HVを上回る

 さて、今回は限られた試乗コースながら、セレナe-POWERの実力の一端を確認することができた。まずはドライブモードをエコにセットして発進。バッテリー残量が十分にあったため、出足からモーター走行に徹するのは当然だ。エコモードの場合、電費優先で加速力はさすがに穏やか。それでも登坂路では2.0ℓエンジン搭載のセレナS-HVと同等の登坂力を発揮してくれる。




 試乗車はハイウェイスターだが、タイヤは標準車と同じ15インチ。e-POWERでは標準車、ハイウェイスターを問わず、15インチだけの設定なのだ。操縦性はバッテリー積載などによる低重心、モータートルクによるレスポンスの良さを考慮してか、ステアリング操作に対する反応はセレナらしく!?




 穏やか(ミニバンとして適切)。しかし四輪のタイヤがあらゆるシーンでしっかりと路面を捉える安定感の高さは、16インチを履くS-HVと大きく変わらない。




 しかも乗り心地は、S-HV比でグレードにより約80㎏前後重い車重が功を奏してかしっとり感あるタッチを示し、後席を含む快適感はS-HVを凌ぐ文句なしのレベルにあった。




 そして静かだ。モーター走行だから当然と思えるかも知れないが、エンジンが始動してもノイズが不当に高まることなく、S-HVの2.0ℓエンジンで気になるざわつき感(音)もなし。特に登坂路でのエンジンノイズレベルはS-HVとは比べものにならないほど抑えられている(ノートe-POWER比ではノイズレベル約20%減とか)。これなら終始、1-3列目席間の会話も弾みそうだ。




 とはいえS-HVとの最大の違いは、駆動力はすべてモーターという電気自動車ならではの伸びやかで段付きのない、トルキーかつウルトラスムーズな加速力と、回生ブレーキがもたらすこれまたスムーズさ極まる減速力、そしてアクセルペダルOFFで停止まで行なえるワンペダルによる〝3回驚ける”新鮮味だろう。




 続いてSモードにセット。するとワンペダルによる減速感こそエコモードと変わらないものの、加速力、アクセルレスポンスは激変。アクセルを深く踏み込めば、モーターならではの直線的でウルトラスムーズかつ、S-HVを圧倒する強力で感動的ですらある伸びやかな加速力を見せつける。モータートルクが瞬時に立ち上がるレスポンスの良さから、まさに意のままに大柄な3列シートの電気自動車を動かしている感覚になれる。同時に運転がよりしやすいと感じられるのだ。




 フル加速中はさすがに発電のためにエンジンは始動する。だが、それでも車内に侵入するノイズレベルは低く(遮音性の差もあり)、2.0ℓエンジンを積むS-HVよりも明らかにより静かな車内空間が保たれる。




 ちなみにノーマルモードはエコモードより加速性能、アクセルレスポンスが向上。ただしワンペダルによる減速機能は働かず、e-POWERらしさは激減。ノートe-POWERのユーザーのほとんどがエコまたはSモードで走っているという事実からも、ブレーキングの機会があまりない空いた高速走行以外では使うべきではないモードと思える。



エンジンで発電された電気はバッテリーに蓄えられ、そこからフロントホイールに動力が伝達される。エンジンからフロントホイールに動力が伝わることはない。

e-POWERのシフトノブは、HVでお馴染みとも言える、手を放すと中立位置に戻るタイプ。スターターボタンがブルーになっているのも目を引く。そして運転席と助手席の間に設けられたのがコンソールトレイ。ご覧のように背は低く、ウォークスルーの邪魔にはならない。

セレナe-POWERのインテリア面での最大の特徴が、7名乗車化に合わせて設定された左右アームレスト付き2列目キャプテンシートの採用だ。通常のセレナにあるマルチセンターシートこそないが、2列目シートの左右スライドはe-POWERの上級グレードにも健在だ。

e-POWERミニバンの恩恵は同乗者にこそ大きい

e-POWERがもたらす走行感覚はミニバン新時代の扉を開けてくれる

 そんなセレナe-POWERは、くり返すけれども、ミニバンに素晴らしくマッチしたパワートレーンだ。スムーズかつ静かに走り、回生ブレーキのワンペダルによるスムーズな減速によって、ミニバンの後席乗員の快適度がガソリン車、HVに対して圧倒的に高くなるからだ。実際に2/3列目席に乗り、ワンペダルによる最大0.15Gの減速を体験したが、ノーマルモードでの下手な!?




 ブレーキングで起こる上半身の前後の揺すられ感=不快感が大幅に緩和される事実を確認している。




 ちょっと残念なのは基本的な先進安全運転支援機能=同一車線半自動運転のプロパイロットを用意しているものの、それが上級グレードのみのオプションであり、作動上限速度が114㎞/hである点だ。他社のACC設定速度は今や130〜180㎞/hになっている時代なのである。




 最後に価格。S-HV比で約50万円高となるものの、横比較ではライバル車のHVと変わらないのだから〝4回驚く!”。これはもうノート同様に大ヒット間違いなしだろう。ミニバンにe-POWERというこれまでにないインテリジェントモビリティの世界を与え、新鮮な運転感覚、乗車感覚を実現してくれた日産の英断にはもう拍手するしかない。

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