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トヨタRAV4のメカニズムを徹底解説!


都会的な4WD車として登場したRAV4はラフロードにも対応できる本格派4WDへと進化した。今回の新型は最新の「ダイナミックトルクベクタリング」を含め、3種類の4WDシステムを用意するほど力が入っている。それらにはトヨタ独自のハイブリッドシステムや、ディスコネクト機構など、独創的な技術の数々が投入されている。




レポート●安藤 眞(ANDO Makoto)


図版解説●安藤 眞/編集部

ラフロードも許容する本格派

ボディやホイールベースなどはライバル各車と同等だが、ラフロードの走行も想定した本格SUVとして、各部のクリアランスも十分に取られている。

新型RAV4開発スタッフの皆さん

視界もインパネデザインもスッキリ!

インパネの上面を約13㎜下げ、開放感のある視界の確保とともに、インパネの視覚的厚みを低減しスッキリしたデザイン。また、目と手の届きやすい部分にはソフトな質感の加飾を施し上質感も獲得している。

ホールド性が高く悪路走行でも不安なし

フロントシートには、骨盤をホールドするコンセプトのTNGA骨格を採用。アドベンチャーパッケージ車はサイドサポートが高くなっており、悪路走行時のホールド感をより向上させている。

悪天候も問題なし

ルームミラーはデジタルインナーミラーを設定。カメラはバックドア上部のワイパー払拭範囲に付いており、悪天候時でも良好な視界を確保する。後方ドライブレコーダー機能も付けてしまえば、と問えば、「今後検討します」とのことだ。

衣服を汚しにくく乗降性も良好

ドア外板がロッカー(サイドシル)まで覆う形状とすることで足つき性が向上され、乗り降りがしやすい。またドアがロッカーの汚れを防ぐので乗降時に衣服の裾を汚すことも回避できる。

スペースの有効活用で後席居住性を向上

フロントシートの下端形状を工夫するほかヒップポイントも前後で揃えられ、後席乗員の足入れスペースを拡大。居住性が高められている。

自然な感覚で操作できるコックピット

シフトレバーやアームレストの高さ、カップホルダーの配置など、操作系や収納の配置も従来よりもさらに改善。快適で運転しやすいコックピットを構築している。

操作性が高く疲れにくい

アクセルペダルはオルガン式の採用と足の角度の最適化によって、操作性を向上。安定した操作が可能となり、長時間ドライブでの疲労軽減にもつながりそうだ。

後方視界を拡大してより安全に

リヤクォーターガラスは下辺を長く取って低い位置を見やすくしているのに加え、シートベルトアンカーを移動してCピラーを薄型化。本来、見えるべき場所が、よりよく見えるように改良を図った。

細やかなチューニング的確な運転をサポート

より安定した状態で運転操作ができるように、フットレストの形状や角度も工夫された。AT車はフットレスト幅の拡大で足置き性を向上。また、角度を乗員側に傾けたほか、面を足裏の形状に合わせ湾曲させている。

高品位素材の採用で軽く、強く

高張力鋼板は、1500MPa級のホットスタンプ鋼板まで使用。590MPa級以上の高張力鋼板使用率は約40%に達する。さらにフロントフェンダーやボンネット、バックドアやフロントバンパービームには、アルミ合金を採用。ボディ重量は従来比で約8㎏軽量化されている。

リヤまわりを効果的に強化

Cピラーまわりは、閉断面骨格を一周させて強化。フロアからホイールハウスにかけての骨格まわりはスポット打点数を増やし、結合剛性を高めている。バックドア開口部の骨格は、稜線の連続性を確保して効率良く剛性を稼いだほか、レーシングカーのサイドシルに充填するのと同様の発泡樹脂をDピラー断面に充填している。

フロントサイドの強化で操舵応答を向上

従来型の新MCプラットフォームに対し、フロントサスまわりを大幅に強化。左右のサスタワーをカウルパネルで結んでタワーバー効果を持たせているほか、フェンダー裏の骨格はフロントサイドメンバーとアウトリガーで結合し、横曲げ剛性を向上。サスタワー回りもパッチを当てて補強を行ない、サスタワーの倒れ剛性を約50%高めた。

走りの質を高める接着剤を採用

パネルの結合剛性を向上させる構造用接着剤を、NVに効果的な床面のほか、ボディ剛性向上に寄与するドア開口部など要所に採用。静粛性や操縦安定性を向上させた。

板厚アップとリブの配置で振動を抑制

ダッシュパネル(上図)は上下に分割され、ロア側の板厚を上げたほか、クロス&ビード設定することで振動特性を向上。フロアパネル(下図)も厚板化やビードの設定によって、同様に振動特性が高められている。

吸音素材の採用でタイヤ騒音を低減する

前後フェンダーライナーには、不織布タイプを採用。透過音の抑制だけでなく、水はね/砂はね音の低減にも効果のある対策だ。

ドアサイドからの音の侵入を防ぐ

ドアまわりからの音侵入対策としては、窓枠にコーナーシールを追加。防水ビニールを貼っていたサービスホールを樹脂製のカバーで塞いだほか、外側ドアハンドルの取り付け部にラビリンス構造を採用するなど、緻密な遮音対策が行なわれている。

ボディ各部の発泡材が騒音を遮断

骨格の空洞部は騒音の伝達経路になりやすい部分だが、ここには熱発泡性の遮音材を多岐にわたって配置。断面の大きなフロントフェンダー下の骨格は、発泡ウレタンの成形材で塞がれており、エンジンルームから回り込んでくる音を遮断。

フロア面にも空力デバイスを採用する

乗り心地のフラット感向上には、空力デバイスも活用している。床下はほぼ全面をアンダーカバーで覆っているほか、前輪の後方にはエアロスタビライジングフィンを設定。これによって床下の空気流速を高め、リフト力の低減を図っている。

小さな部品の追加で振動特性を向上する

リヤサスペンションサブフレーム取付部のボディ側には、振動伝達特性をチューニングするための補強板「NVバルク」を配置。これによって固有振動数をチューニングし、ロードノイズを伝達しにくくしている。

サスペンションの横剛性を向上

ロアボールジョイントからロアNo.1ブッシュへ向かう軸を進行方向に対して直角に近付け、コーナリングフォースを効率良く支持。前後コンプライアンスはロアNo.2ブッシュに任せることで、操安性と乗り心地を両立。

自然な操作性のために

従来ダンパーと同軸だったベアリングの回転軸をキングピン軸と同軸に配置。モーメントキャンセルにより操舵力の左右差低減と、ベアリングこじり解消による操舵感の向上を実現した。

微低速領域の減衰力を的確にコントロール

ダンパーのディスクバルブに切り欠きや穴を設けることで、管路状の流路を形成する「チョークバ ルブ」を採用。これによって微低速域の減衰力を立ち上げ、車両挙動を初期から正確にコントロールする。丸で囲んでいるのは伸び側だが、縮み側にも同様の構造が見える。

リヤサスのジオメトリーを変更

旧型では強い傾斜角を持っていたダンパーは、トレーリングアーム揺動軌跡の接線方向に近付けられており、より作動効率の高い配置に変更。アッパーマウントもアルミダイキャスト製のガッチリしたものに改められた。

路面からの入力を緩和する

ボールジョイントに変わってリヤサスペンションアームに採用されたラバーブッシュ。真ん中を球形に加工した内筒を包み込むように外筒も絞ることで、内外筒間のゴムの厚みを均一化。軸直角方向への動きを抑えてジオメトリー剛性を高めながら、捩り及びこじり方向には柔軟な特性を与えている。

確かな手応えを感じる構造

ステアリングはコラムシャフトを大径化すると同時に、インパネリインフォース(紫色)からボディに向かって複数の足を延ばして支持剛性を向上。さらに、カウル部分の骨格(緑色)と合わせて、水平方向に閉断面骨格を一周させている。

高応答性と緻密制御を実現

電動パワーステアリングは、コラムアシスト式からラックアシスト式へと変更。タイヤに近い位置でアシストを行なうことにより、作用点までの冗長要素が少なくなり、より応答性が高く緻密な制御が可能になった。

新開発2.0ℓエンジンとギヤ付きCVTの組み合わせ

クラストップレベルの動力性能と燃費性能を両立する2.0ℓエンジンに組み合わせられるのは、発進用ギヤを持つダイレクトシフトCVT。CVT特有の弱点を補い、利点を伸ばす優れたシステムだ。

M20A-FKS

ギヤとベルトで動力伝達を切り替え

ギヤ伝達系は、ベルト伝達系よりエンジンに近い側に並列は位置されている。駆動系図面の特徴として、「平面展開図」になっている部分があることに注意されたい。前進ギヤ走行時のトルクフローは、“上に向かった矢印が、裏から回って真ん中の途切れた矢印につながっている”という具合に読む。

高速燃焼対応の低抵抗ピストン

ピストン表面にレーザ ーでクロスハッチを刻み、その上から樹脂コーティングを施工。摺動抵抗を低減しながら、潤滑に理想的なオイルだまりを形成する。

エンジン特性を最大限に活用して伸びやかな加速

ギヤ伝達系からベルト伝達系に変速する際には、一般的な遊星歯車式ATと同じく多板クラッチのハンドオーバー制御を行なっている。クラッチを持ち替える際にエンジン回転数が高まると違和感を生じるため、トルクコンバーターのスリップロックアップを使ってエンジン回転数をコントロールし、つながりの良い変速を実現している。

ワイドレンジ化と伝達効率を向上

発進を1速ギヤに任せることで、ベルト伝達系を軽量小型化&低油圧化して伝達効率を向上。ベルト伝達系でレシオカバレッジを欲張っていないため、ロー側でもハイ側でもプーリー径の差が大きくならず、伝達効率の低下が少ない。

リズミカルでリニアな変速を実現

ギヤ伝達系からベルト伝達系に切り替える際や、ベルト伝達系でステップ式にプーリー比を変える際にも、加速度変化によるショック感が生じないよう、緻密な制御を行なっている。

ベルト狭角化で変速速度を向上

ベルト挾角を11°から9°に変更する世界初の技術を採用、変速速度の向上と小型軽量化を実現。発進加速から高速走行まで全域で高効率化され、燃費と走りを向上している。

高熱効率2.5ℓエンジン搭載のハイブリッドシステム

A25A-FXS

骨格から新設計されたほか、レーシングテクノロジーが投入され、最大熱効率41%を誇る高効率2.5ℓエンジン。これに小型軽量化を実現したバッテリーとハイブリッドシステムが組み合わせられ、優れた燃費と走りを両立する。

呼気流量の増大とタンブルの強化で高速燃焼を実現する

数年前までは、バルブ挟み角を30°程度まで狭めて燃焼室をコンパクト化するのがトレンドだったが、近年はバルブ挟み角を広げて吸気バルブの傘を舐めるように吸気を導き、流れに指向性を与えてタンブル流を強化するのがトレンドとなっている。RAV4のエンジンも、バルブ挟み角は約41°と広めの設定だ。

新技術の採用で理想的なポート形状を実現

打ち込み式のバルブシートでは、インテークポートの出口は打ち込みしろの方向を向いている必要があるため、どうしても最後を曲げざるを得ない。打ち込みしろの不要なレーザークラッドならば、最後まで直線を維持できる。

3本のオイルジェットでピストンを冷却

高出力化による温度上昇と、高強度材の使用などにより軽量化され、熱容量が小さくなったピストンを効果的に冷却するため、1シリンダーあたり3本のノズルを持つオイルジェット冷却を採用。

偏心バレル形状がオイル消費を抑制

エキスパンダーを中心に上下対称形状だった従来のオイルリングから、非対称形状として方向性を持たせ潤滑性とオイル掻き性能を向上。油膜厚を低減してオイル消費量の低減を図った。

高速運動対応の軽量コンロッド

小端部をテーパー形状に加工することで往復運動部分の軽量化を実施。ロングストロークによるレーシングエンジン並みのピストン速度に対応する。

高強度でバランスの良いクランク

CAEによるフルスパン解析によって、ジャーナルごとの面圧分布に応じた最適なバランス設計が行なわれ、すべてのカウンターウエイト形状が異なる緻密な形状とされている。

3種類の4WDシステムをラインナップ

4WDシステムは3種類。E-FourはHV専用で、後輪を独立したモーターで駆動。ガソリンエンジン車は、一般的な電子制御トルクスプリット方式の「ダイナミックトルクコントロール4WD」と、左右のリヤドライブシャフトに設けた多板クラッチで左右のトルク配分比も制御する「ダイナミックトルクベクタリングAWD」の2種類から選べる。

各部の統合制御を行なうAIM(AWD Intergrated Management)



運動性能の制御には、ブレーキやパワートレーン、電動パワーステアリングも統合制御するAIMを導入。オンロード用に「ECO」「NORMAL」「SPORT」の3モードが用意され、ドライバーの意図や走行シーンに応じて、スロットル応答やシフトスケジュール、操舵力やディスコネクトトルクベクタリング機能などが最適制御される。

個々の4WDシステムに適した制御モードを搭載



ダイナミックトルクコントロール4WDとダイナミックトルクベクタリングAWDには、オフロード用にふたつのモードを選択できる「マルチテレインセレクト」機能を装備。「ROCK&DIRT」は岩場などの荒れた道で使用するモードで、車輪の空転を素早く抑える方向でブレーキを制御。「MUD&SAND」モードは、車輪の空転を適度に許容してトラクション性能を確保し、大きな走行抵抗に打ち勝つ制御が行なわれる。E-Four の悪路用制御は「TRAIL」の1種類で、マルチテレインセレクトの「ROCK&DIRT」に近い制御になるそうだ。

プロペラシャフトの回転を断続するディスコネクト

ディスコネクト機構解説モデル

ボールペンのノック機構からヒントを得たというラチェット式のディスコネクト機構。リングギヤの内部で完結するコンパクトな構造だ。左図はシンクロ機構が付かないトランスファー側のもので、上半分がスリーブが抜けたディスコネクト状態、下半分がスリーブとリングギヤが噛み合ったコネクト状態を示している。

ドグクラッチ断続比較



真ん中に見えるのがドグクラッチ。このギザギザが、リングギヤの内側と噛み合う。左右で位置が異なるのがわかるだろうか。その左に見えているのがラチェット機構。ボールカムはラチェット機構のスリーブに隠れていて見えない。

新開発トルクベクタリング&ディスコネクト機構

リヤ駆動軸の左右に設けた湿式多板式のカップリングでトルクベクタリング機能を発生させ、トランスファーとリヤデフに設けたディスコネクト機構で低燃費も実現するのが、ダイナミックトルクベクタリングAWDだ。

左右独立の電子カップリングでヨーモーメントを発生

ダイナミックトルクベクタリングAWDには、ブレーキによるトルクベクタリングも統合したAIM(AWD Integrated Management)を採用。ブレーキ制御で旋回開始時のアンダーステアを抑え、コーナー脱出時にはカップリング制御でヨーモーメントを発生。常にニュートラルステアが維持されるよう制御が行なわれる。

引きずり抵抗の排除で高い燃費効果を発揮

トランスファーをドグクラッチで切り離せるツインカップリングAWDは他社にもあるが、カップリングを解放しただけでは、引きずり抵抗は避けられない。そこでリヤ駆動軸もドグクラッチで切り離し、ハイポイドギヤの回転を完全に止めて2WD走行時の損失を極限まで低減したのが、ダイナミックトルクベクタリングAWDの特徴だ。

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