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ブラシレスモーター@パワステの威力──安藤眞の『テクノロジーのすべて』第20弾


新しくデビューした日産デイズは電動パワーステアリングのアシストモーターにブラシレスモーターを採用した。これにより、多くの美点が生まれる。さて、そもそもEPSにブラシレスモーターを使うとなぜいいのか。


TEXT:安藤 眞(Ando Makoto)

 日産の軽自動車「デイズ」がフルモデルチェンジを実施。軽自動車に運転支援システム「プロパイロット」が搭載されたことで話題を呼んでいるが、僕が注目したのは、その中のもっと地味な部分。プロパイロットの操舵支援機能を実現するために、電動パワーステアリングにブラシレスモーターが採用されていることだ。しかも、これがプロパイロット装着車だけでなく、全車に標準装備される。新型デイズは、軽自動車とは思えない滑らかな操舵フィールを持っているが、それを生み出す要因のひとつが、電動パワーステアリングに採用されたブラシレスモーターなのだ。


 そこで今回は、ブラシレスモーターはどうして操舵フィールが良くなるのか? そもそもブラシレスモーターとは何なのか?ということについて、説明していきたい。

日産デイズの電動パワーステアリングシステム

 電気モーターが、永久磁石と電磁石の磁力を反発させて回転しているのは、ご存じのことと思う。回転を維持するためには、電磁石の極性を連続的に切り替える必要があり、それにはモーター自体の回転を利用すれば良い、と、どこかの頭の良い人が気付いた。そこで、極性を交互に入れ替えた電極(整流子)をシャフトに配置し、外部から固定電極で電気を流せば、モーターの回転に合わせて電磁石の極性が交互に切り替わる。その固定電極を「ブラシ」と呼んでおり、これを使ったモーターが「ブラシ付きモーター」だ。


 ところが、現在広くブラシに使われているのは、ブロック状の黒鉛。どこからどう見ても、「ブラシ」と呼べる要素はない。実は電気モーターが発明されたばかりのころ、この電極に、銅線で作ったブラシが使われており、黒鉛ブロックに置き換わったあとも、名前がそのまま使われているのである。

ブラシ付きモーター(DCモーター)の代表例がスターターモーター。回転子の接点にブラシを当てる構造。

 それはともかく、こうした構造を取る関係から、電磁石は回転子(ローター)側に配置されることになる。電磁石は鉄と銅線の塊だから、重い。となると慣性力も大きくなり、動き出しに引っかかりを感じたり、切り返し時に重さを感じたりする。しかもブラシには、小さいとはいえ摩擦抵抗があるから、敏感な人は、これも操舵の渋さとして感じてしまう。また、回転トルクは電磁石と永久磁石の距離で変動するから、回転変動も大きい。




 一方でブラシレスモーターは、電磁石の制御を半導体によるスイッチングで行うようにしたもの。シャフトの回転は非接触式の磁気センサーで検知しているから、ローター側に電磁石を配置する必要がなく、電磁石と永久磁石の配置はブラシ付きモーターとは逆(ローター側に永久磁石、ステーター側に電磁石)にできる。だからローターの慣性力が小さく、ブラシの摩擦が無いからフリクションも小さい。


 しかもローターの回転トルクは、電磁石に流す電圧でコントロールできるから、回転変動が小さく、制御も緻密に行える。このように、ブラシ付きモーターの欠点をすべて克服したのが、ブラシレスモーターなのである。

オルタネーターの構造は三相交流発電機。回転させられれば発電機、回転すればモーター、というのは最近のBSGの例からもわかるだろう。

 欠点はコストが高いこと。回転を制御するにはインバーターが必要になるため、電流の増減でコントロールできるブラシ付きモーターより制御回路が複雑になる。そのコストアップ分と、商品性向上分が見合うかどうかが採用のカギを握るわけだ。プロパイロットの制御を行うには、ブラシレスモーターは必須だったわけだが、全車標準にするかどうかは議論があったに違いない。

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