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国産Cセグハッチ比較試乗…総合力のカローラスポーツ、速さのシビックハッチバック、安さのインプレッサスポーツ


昨年9月のホンダ・シビック国内復活、そして今年6月のトヨタ・オーリス改め新型カローラスポーツの登場で、にわかに活況を呈している国産Cセグメントハッチバック。この2台に、発売から2年が経過した今なお国産登録車トップ20にランクインし続けているスバル・インプレッサスポーツを加え、各車の上級グレード・AT車を、市街地と高速道路を中心に比較試乗した。




PHOTO&REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu)

 まずはボディサイズの比較から。

トヨタ・カローラスポーツハイブリッドG“Z”(FF) 全長×全幅×全高:4375×1790×1460mm ホイールベース:2640mm トレッド前/後:1530/1530mm 最低地上高:135mm

ホンダ・シビックハッチバック(FF) 全長×全幅×全高:4520×1800×1435mm ホイールベース:2700mm トレッド前/後:1535/1555mm 最低地上高:135mm

スバル・インプレッサスポーツ2.0i-Sアイサイト(4WD) 全長×全幅×全高:4460×1775×1480mm ホイールベース:2670mm トレッド前/後:1540/1545mm 最低地上高:130mm

 こうして数値を並べると見た目通り、シビックのサイズがいかに大きく、かつ運動性能重視のプロポーションをしているかがよく分かる。カローラ(オーリス)とインプレッサも代を追うごとに長く広くなっているが、それでも5ドアハッチバックらしいスタイルを堅持しているのに対し、シビックのそれは最早5ドアセダン、いやクーペと言っていい。

トヨタ・カローラスポーツのリヤシート
ホンダ・シビックハッチバックのリヤシート


スバル・インプレッサスポーツのリヤシート

 そうしたプロポーションの違いは、後席や荷室の広さと少なからず密接に結び付いている。




 身長176cm・座高90cmの筆者が運転席をベストポジションに合わせた状態で、後席のニークリアランスはカローラ→インプレッサ→シビック(12→20→25cm)と、全長・ホイールベースが長い順に広い。

トヨタ・カローラスポーツのサイドビュー

ホンダ・シビックハッチバックのサイドビュー

スバル・インプレッサスポーツのサイドビュー

 ヘッドクリアランスは、最も背の低いシビックが最も少なく、後頭部と側頭部が当たるのは順当と言えるが、最も全高が高いインプレッサは後方の絞り込みが強い影響を受け、後頭部・側頭部とも5cm弱の隙間しかない。その点カローラスポーツは意外にも後方が平坦かつスクエアなため、各10cm弱の余裕が残されていた。




 なお、運転席から斜め後方の視界は、Cピラーの太さとリヤドアウィンドウの大きさ、リヤクォーターウィンドウの有無・大小がダイレクトに影響を及ぼしており、カローラが最も狭く、次にシビック、最も良好なのはインプレッサだった。

トヨタ・カローラスポーツのラゲッジルーム
ホンダ・シビックハッチバックのラゲッジルーム


スバル・インプレッサスポーツのラゲッジルーム

 荷室容積は、カローラが352Lと最も狭く、次いでインプレッサが385L、シビックは420Lと最も広い。こちらは全長の違いが如実に反映された結果と言ってよい。なお、シビックはトノカバーの代わりに、左右どちらからでも引き出し・巻き取りできる「横引きカーゴエリアカバー」を標準装備しており、未使用時に邪魔にならず、スマートに収納できるのは特筆すべきことだろう。




 カローラはハードタイプの「パッケージトレイトリム」を全車標準装備し、フロアの高さを2段階に調節できる「アジャスタブルデッキボード」をFF車にメーカーオプション設定(試乗車に装着)。インプレッサはソフトタイプの「トノカバー」を全車ディーラーオプション設定している(試乗車には未装着)。

トヨタ・カローラスポーツの運転席まわり

ホンダ・シビックハッチバックの運転席まわり

スバル・インプレッサスポーツの運転席まわり

 運転席に目を移すと、Aピラーがカローラ→シビック→インプレッサの順に太いことを除けば、視界と室内空間の広さは五十歩百歩。カローラはインパネ最上部のディスプレイ、インプレッサはガラス最上部のアイサイト用ステレオカメラが、シビックは単純に全高が低いことが、深く寝かせられたAピラーと相まって、視界と室内空間を圧迫している。




 一方でデザインと質感は、端的に言えばエクステリアと同じ傾向。シビックはデザインも素材もオモチャっぽく、インプレッサは個々の部位の質感は高くデザインも全体的にはスマートだが、煩雑な構成要素がそれらを台無しにしている。そしてカローラスポーツは、デザインは前衛的ながら無駄なくまとめられており、何より見た目の質感が際立って高い。




 こうした差は、それぞれのディーラーに行くか行かないか、あるいは買うか買わないかを分ける決定的な要因となり得るほど大きい、と言っても過言ではない。

トヨタ・カローラスポーツのフロントシート
ホンダ・シビックハッチバックのフロントシート


スバル・インプレッサスポーツのフロントシート

 フロントシートもカローラが一歩抜きん出ており、単純に絶対的なサイズとサイドサポートが大きいだけではなく全身のフィット感も良好。シビックは幅方向に小ぶりなうえ座面前端の落とし込みが大きく、かつショルダーサポートがない。インプレッサは座面および背もたれ中央部が平板なためフィット感が悪い点が気になった。

3台の走りとメカニズムの違いは?

スバル・インプレッサスポーツ

 そして、今回試乗した車両のパワートレーンを比較。

トヨタ・カローラスポーツハイブリッドG“Z”(FF) エンジン型式:2ZR-FXE エンジン形式:直列4気筒DOHC 排気量:1797cc ボア×ストローク:80.5×88.3mm エンジン最高出力:72kW(98ps)/5200rpm エンジン最大トルク:142Nm(14.5kgm)/3600rpm モーター型式:1NM モーター最高出力:53kW(72ps) モーター最大トルク:163Nm(16.6kgm)

ホンダ・シビックハッチバック(FF) エンジン型式:L15C エンジン形式:直列4気筒DOHC直噴ターボ 排気量:1496cc ボア×ストローク:73.0×89.4mm 最高出力:134kW(182ps)/6000rpm 最大トルク:220Nm(22.4kgm)/1700-5500rpm

スバル・インプレッサスポーツ2.0i-Sアイサイト(4WD) エンジン型式:FB20 エンジン形式:水平対向4気筒DOHC直噴 排気量:1995cc ボア×ストローク:84.0×90.0mm 最高出力:113kW(154ps)/6000rpm 最大トルク:196Nm(20.0kgm)/4000rpm

 そうすると、最も小排気量ながらターボを持つシビックの性能が突出して高いことが見て取れる。なお、各車の車検証記載重量はカローラが1400kg(前軸850kg・後軸550kg)、シビックが1360kg(前軸850kg・後軸510kg)、インプレッサが1400kg(前軸850kg・後軸550kg)。カローラとインプレッサが全く同一だがシビックはリヤが40kg軽く、パワー・トルクウェイトレシオでもシビックが有利という状況だ。




 カローラは無段変速のハイブリッドトランスアクスルで、シビックとインプレッサはCVTを採用しているが、実際の加速フィールも、カローラとインプレッサが必要充分レベルに留まるのに対し、シビックは充分以上に速く、上りのワインディングや高速道路でも余裕に満ちた走りを堪能できる。ただし、シビックのL15Cはハイオクガソリンを要求する。




 JC08モード燃費は、カローラが30.0km/L(WLTC総合モード燃費は25.6km/L)、シビックが18.0km/L、インプレッサが15.8km/L。走行条件がバラバラなためあくまで参考値となるが、筆者が試乗した際の燃費はカローラが19.0km/L、シビックとインプレッサが13.0km/Lで、文字通りのコストパフォーマンスにおいてもシビックの良さが光った。

ホンダ・シビックハッチバック

 シャシーに目を移すと、サスペンションはフロントが全車ストラットで、リヤはシビックがマルチリンク、カローラとインプレッサがダブルウィッシュボーンとなっている。なお、カローラにはオプションの電子制御ダンパー「リニアソレノイドAVS」が装着されていた。

カローラが履く225/40R18 88WのダンロップSPスポーツMAXX050
シビックが履く235/40R18 95Yのグッドイヤー・イーグルF1アシンメトリック


インプレッサが履く225/40R18 88WのアドバンスポーツV105

 タイヤサイズはカローラとインプレッサが同じ225/40R18 88Wで、シビックは幅もロードインデックスも速度記号も1ランク高い235/40R18 95Y。銘柄はいずれもウェット路に配慮したトレッドパターンながらドライグリップを重視したハイパフォーマンスタイヤが選ばれている。




 率直に言って、シャシー性能は高い次元で拮抗しており、ステアリングレスポンスおよびリニアリティ、荷重移動時の過渡特性、旋回速度、NVHとも大きな差は見られない。3台ともタイヤノイズこそやや大きめだが、ハンドリングは軽快かつリニアで、速度域や凹凸の大小を問わず姿勢をフラットに保ち、かつ乗員には不快な振動や突き上げを伝えない、上質な乗り味に仕上がっていた。

カローラにオプション設定されている「リニアソレノイドAVS」のメカニズムと特性イメージ

 なお、カローラの「リニアソレノイドAVS」装着車は、標準車が3段階の走行モードからパワートレーンとステアリング、エアコンの特性を切り替えられるのに対し、5段階の走行モードに合わせてサスペンションの制御も変更する専用の「ドライブモードセレクト」となる。

カローラ「ドライブモードセレクト」走行モードごとの制御特性一覧

 しかしながら、「ECO」では加速が緩慢に過ぎるうえエアコンが効かず、「COMFORT」では大きなギャップを乗り越えた際に車体の揺れが収まりにくい。「SPORT S」では走行中にエンジンONかつ高めの回転域を維持するようになり、「SPORT +」ではさらに突き上げ感も強まり、路面の凹凸に対し車体が左右に揺すられやすくなる。

カローラ全車に標準装備される「新開発ショックアブソーバ」開発の狙い

カローラ全車に標準装備される「新開発ショックアブソーバ」のメカニズムと特性イメージ

 そのうえ、標準装備の「新開発ショックアブソーバ」も乗り心地と操縦安定性を全域で高めるべく設計されているため、「NORMAL」以外のモードはおろか「リニアソレノイドAVS」自体、積極的に選ぶ意義を見出しにくいというのが本音だ。

トヨタ・カローラスポーツ

 カローラ、シビック、インプレッサ、3台の中からどの1台を選ぶべきか。この問いに明快な答えを出すのは本当に難しい。




 インプレッサは4WDでもシビックより約20万円、FFなら価格が239万7600円となるため40万円以上安いのだが、動力性能と燃費は他の2台より見劣りする。




 シビックは圧倒的な動力性能の高さと荷室の広さが魅力だが、内外装のデザイン性と質感の低さ、後席居住性の悪さはその魅力を打ち消して余りある。




 そしてカローラは、内外装のデザイン性と質感が抜群に高い一方、視界が悪く荷室が狭いのだが、あくまでも「玉に瑕」であり、致命的な欠点とは言えない。




 結論。少しでも出費を抑えたいならインプレッサ、速さのプライオリティが高く、かつ内外装と後席の問題を許容できるならばシビックを選んでも、決して後悔はしないだろう。だが、最もトータルバランスに優れているのは、やはり最新のカローラである。

【Specifications】


<トヨタ・カローラスポーツハイブリッドG“Z”(FF・電気式無段変速機)>


全長×全幅×全高:4375×1790×1460mm ホイールベース:2640mm 車両重量:1400kg エンジン形式:直列4気筒DOHC 排気量:1797cc ボア×ストローク:80.5×88.3mm エンジン最高出力:72kW(98ps)/5200rpm エンジン最大トルク:142Nm(14.5kgm)/3600rpm  モーター最高出力:53kW(72ps) モーター最大トルク:163Nm(16.6kgm) JC08モード燃費:30.0km/L 車両価格:268万9200円




<ホンダ・シビックハッチバック(FF・CVT)>


全長×全幅×全高:4520×1800×1435mm ホイールベース:2700mm 車両重量:1360kg エンジン形式:直列4気筒DOHC直噴ターボ排気量:1496cc ボア×ストローク:73.0×89.4mm 最高出力:134kW(182ps)/6000rpm 最大トルク:220Nm(22.4kgm)/1700-5500rpm JC08モード燃費:18.0km/L 車両価格:280万440円




<スバル・インプレッサスポーツ2.0i-Sアイサイト(F-AWD・CVT)>


全長×全幅×全高:4460×1775×1480mm ホイールベース:2670mm 車両重量:1400kg エンジン形式:水平対向4気筒DOHC直噴 排気量:1995cc ボア×ストローク:84.0×90.0mm 最高出力:113kW(154ps)/6000rpm 最大トルク:196Nm(20.0kgm)/4000rpm JC08モード燃費:15.8km/L 車両価格:261万3600円
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