2月、暦の上の春はまだまだ浅く、残る寒さに惑う日々が続いています。季節の花も今年は開花が遅れ気味のようですが、2月8日から「ルドン―秘密の花園」展が東京・三菱一号館美術館で開催されています。縁あって日本へやってきた《グランブーケ(大きな花束)》をはじめ、オルセー美術館・ニューヨーク近代美術館など世界中から、ルドンの作品の多くが集結しています。都会の一隅で、世紀末に描かれた草花の息吹を感じてみませんか?

ルドン「秘密の花園」開場外観(三菱一号館美術館・東京 筆者撮影)

ルドン「秘密の花園」開場外観(三菱一号館美術館・東京 筆者撮影)


花園へひとときの小旅行

東京駅からほど近いオフィス街の一隅にある三菱一号館美術館は、1894年にジョサイア・コンドル設計により建築された丸の内初の西洋建築であり、2010年に復元され美術館として再出発しました。煉瓦づくりの建物には、1894年の竣工当時と同時代の西洋美術がコレクションされており、今回の展覧会の主役である、オディロン・ルドンの代表「グランブーケ(おおきな花束)」も収められています。
美術館というのは、一つの異空間であり、展覧会に行くことはある意味で旅をするようなものである、と言いますが「ルドンー秘密の花園」はまさに、そのような展覧会です。今回は2月8日初日の内覧会に参加してきた様子をお届けいたします。

薔薇の季節の中庭・三菱一号館美術館

薔薇の季節の中庭・三菱一号館美術館


多彩な技法と不思議な構図は日本人好み?

オディロン・ルドン(1840-1916年)は、世紀末芸術の象徴主義の画家と呼ばれますが、枠に収まらない自由でミステリアスな画家です。木炭画からはじめ、エッチングその後リトグラフの作品を手掛けるようになりました。日本画を思わせるぼかしと余白を多用した作品が多く、特に後半の色彩豊かな作品群は、印象派以降の画家の中で日本人好みの画風と言えるでしょう。今回の展覧会で主となる装飾画は、1897年にロベール・ド・ドムシー男爵がルドンに依頼したものです。ブルゴーニュにある男爵の城館の食堂装飾として16点製作されています。16点の花の装飾画が飾られていた当時の配置の説明もあり、写真撮影ができるエリアでは、疑似体験ができるのも楽しみの一つです。

展示風景・ルドンの黒2点(筆者撮影)

展示風景・ルドンの黒2点(筆者撮影)


数奇な運命の絵画《グランブーケ(大きな花束)》

ドムシー男爵城を彩った作品は1978年に一度人手に渡った後、1988年にフランス政府所有となりオルセー美術館に所蔵されました。現存する16点の内《グラン・ブーケ(大きな花束)》は2011年に三菱一号館美術館が所蔵し、その外の15点は、現在もオルセー美術館が所蔵しています。《グラン・ブーケ》はドムシー男爵の城の食堂の中心を飾った大作であると同時に、ルドンが描いたパステル画の中でも最大の作品です。装飾画の歴史上重要な作品であり、花瓶に活けられた花を描いた作品であるにもかかわらず、まるで花園のよう!その他の食堂装飾画に見られる神秘的な構図とともに、花園のイメージを良い意味で裏切ってくれます。他にも、「黒の時代」から「色彩の時代」まで、不思議な画家が描いた花々に出会えます。会期は5月20日までです。ギャラリートークをはじめとしたイベントもありますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
※筆者撮影の写真は主催者の許可を得て撮影(2018年2月8日、ブロガー内覧会)

展示風景《グランブーケ(大きな花束)》(筆者撮影)

展示風景《グランブーケ(大きな花束)》(筆者撮影)