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心臓のペースメーカー細胞が非心筋細胞を心筋細胞に変える~心不全の新しい治療への道筋となる可能性~


2019年10月23日



帝京大学



心臓のペースメーカー細胞が非心筋細胞を心筋細胞に変える

~心不全の新しい治療への道筋となる可能性~



 帝京大学薬学部薬学科薬効解析学研究室教授の小野景義と同助教の木内茂樹らの研究により、心臓のペースメーカー細胞が非心筋細胞を心筋細胞へと変化させることが明らかとなりました。





【本研究の概要と意義】

 小野教授の研究グループは、心臓のペースメーカー細胞が、数少ない細胞集団で一生の間活動を続けることに興味を持ち、培養液中で心臓のペースメーカーを維持できる方法を動物実験で探ってきました。そうした中、ペースメーカー細胞を培養液中で長期間培養すると、ペースメーカー細胞の周囲に心筋細胞(注1)の集団が新たに作られることを見出しました。新たに生まれた心筋細胞は、体の中で通常働いている心筋細胞と酷似した遺伝子発現パターンと薬物への反応性を示すことがわかりました。

 さらに、ペースメーカー細胞が一定条件のもとで心臓の線維芽細胞(注2)を心筋細胞に変化させることも明らかにしました。線維芽細胞は、心臓のポンプ機能を担っている心筋細胞の間を埋める細胞であり、心不全などの病態の進行に関与していると考えられてきました。しかし、本研究により線維芽細胞が心筋細胞へと変化し、機能の低下した心臓の働きを補う役割を、体の中で果たしている可能性が見出されました。

 ペースメーカー細胞の働きの新しい側面を発見したとともに、このメカニズムを利用することで心不全治療に対する新しいアプローチ方法が見つかるきっかけになることが期待されます。





【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/201910232532-O2-tB0r1tag



【研究の背景】

 心臓は最も再生(入れ替わり)能力の低い臓器の一つとされていて、虚血を始めとするさまざまなストレスや傷害によって心筋細胞が壊死し、心臓全体の機能が低下しても、心筋細胞は新たに生まれることはなく、心肥大という変化によってのみ代償的に適応すると考えられてきました。近年の研究で、人間でも心筋細胞は非常にゆっくりとながら入れ替わっているということがわかってきましたが、自ら増殖することはできない心筋細胞が、どのようにして新しく入れ替わるのかについては、未知な部分が多く残されています。

 ペースメーカー細胞は心臓全体の拍動を指揮するペースメーカーとしての重要な役割を担い、心臓が働く上で最も重要な細胞のひとつです。しかし、この細胞は体の中でわずか数千個から1万個程度しか存在せず、この数のままで『入れ替わりもなしに一生に亘って働き続けているのか?』と考えると、大いに疑問です。そこで、『ペースメーカー細胞が特に速く入れ替わっているのではないか?』という仮説を立てて研究を行い、ペースメーカーの細胞集団が一生に亘って存続するメカニズムの一端を知ることをめざしました。





【用語の解説】

注1)心筋細胞: 心臓が全身に血液を送るポンプとしての働きをするうえで中心となる細胞。

注2)線維芽細胞: さまざまな臓器で主たる役割を担う細胞(たとえば心筋細胞や肝細胞など)の“間を埋める”役割をする細胞と考えられている。傷の治癒などには必要な細胞だが、心臓では心不全などの病態の時に増殖してコラーゲンを作り、病態を悪化させるのに働いていることがわかっている。





本研究成果は、国際科学雑誌Scientific Reportsに掲載されました。

掲載日:2019年10月23日18時(日本時間)に掲載。

URL: www.nature.com/articles/s41598-019-51001-6









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