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エヌ・シー・エヌ Research Memo(9):2026年3月期は売上高128億円、営業利益6.5億円を計画


*12:39JST エヌ・シー・エヌ Research Memo(9):2026年3月期は売上高128億円、営業利益6.5億円を計画 ■今後の見通し

1. 2024年3月期の業績予想
エヌ・シー・エヌ<7057>の2024年3月期の業績予想は、売上高9,055百万円(前期比2.0%減)、売上総利益2,401百万円(同1.8%増)、営業利益233百万円(同44.7%減)、経常利益233百万円(同48.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益165百万円(同45.4%減)を見込んでいる。

住宅分野では、大口取引先の受注高減少や販売単価の値下げの影響により、売上高は5,907百万円と前期比17.7%の減少を見込む。引き続き新規登録施工店36社を獲得し、期末では641社を計画する。構造計算出荷数は1,099棟(前期比2.1%減)、SE構法出荷数は1,052棟(前期比11.1%減)を計画する。構造計算出荷の先行指標である見積り依頼、設計依頼等の受け付け数(引き合い数)は、新規登録施工店への積極的な営業活動が奏功し、前期第3四半期を底として回復基調にあり、2024年3月期第1四半期は695件(前期第4四半期比11.0%増)と順調に増加。第1四半期売上高の進捗率は20.8%にとどまっているが、今後出荷棟数が増加していく見込みだ。

大規模木造建築(非住宅)分野では、SE構法以外の工法にも対応したワンストップサービスの提供体制が整い、登録施工店の非住宅分野への取り組みの推進等により、売上高は2,768百万円と前期比62.2%増の成長を計画する。第1四半期の進捗も計画どおりだ。構造計算数は、同社及び木構造デザインともに増加を見込み、264棟(前期比36.9%増)を計画する。なお、良品計画が今後出店する木造店舗についてはMUJI HOUSEが建築することを発表しており、計画達成の確度は高まっていると弊社では考えている。

環境・DX・その他分野では、住宅の省エネルギー化支援に関するニーズの高まりを受け、住宅・非住宅を合わせて3,013戸(前期比20.6%増)の省エネ計算を計画している。また、非住宅向けのZEB認定サポート事業も開始しており、実績を積み上げることで、売上高は380百万円と前期比7.8%増を計画している。

利益については、積極的な人材投資、Web、SNSによる広告宣伝費用の増額を計画しており、営業利益以下各段階利益で減益を見込む。連結子会社では、翠豊がウッドショックの影響により損失が見込まれるが、同社のサプライチェーンにしっかりと組み入れることで材料価格の大きな変動を回避する。また、ロボット加工機の導入により熟練の職人に依存している加工体制を改革する等の構造改革にも着手している。その他、MAKE HOUSEと木構造デザインは黒字化する予定であり、SE住宅ローンサービスは連結対象外とした。

2. 中期計画と今後の成長戦略
「建築基準法 第20条4号特例」改正が大きく市場環境を変えることになる。4号特例の縮小により、2025年4月に木造2階建て建築でも構造確認が義務化されるため、施行に向けた動きとして木造の構造計算の普及が加速していくことが予想される。また、「省エネ基準の適合義務化」においては、説明の義務化にとどまっていたものが、2025年4月にすべての住宅に省エネルギー基準への適合が義務付けられ、省エネ計算が必須となる。同社の省エネ計算、木造化、構造計算、耐震シミュレーションなど、成長環境が改めて高まっている状況にあると言える。

同社は、2024年3月期の業績予想とともに、2026年3月期までの中期計画と今後の成長戦略を発表した。2023年3月期に売上高100億円を目指した前回の中期計画は、売上高92.4億円と目標未達となったが、2023年3月期の売上高・営業利益・経常利益は過去最高となった。2024年3月期は足元の住宅分野の厳しい環境から減収減益を見込むが、その後は増収増益とし、2026年3月期には売上高128億円、営業利益6.5億円を計画している。

今後の成長戦略として、(1) 登録施工店数増加による住宅分野のシェア拡大や非住宅分野への販売展開、(2) 構造計算・省エネ計算や部材供給力に、子会社の翠豊が持つ大規模木造建築の特殊加工や施工力を加えた同社独自の非住宅大規模木造建築に関するワンストップサービスの展開、(3) 2025年4月の建築基準法改正による構造計算、エネルギー計算の需要拡大への対応、(4) 非住宅向けのZEB認定サポートなど建築物の省エネルギー化支援の展開、などを挙げている。非住宅大規模木造建築においては、良品計画が今後出店する木造店舗へのMUJI HOUSEによる施工需要が期待される。今後5年間に10,000m2の国産材を利用する計画で、年平均でも2,000m2を使用することになる。同社では年間20,000m2程度の木材を使用しており、その10%に当たる需要が良品計画から新たに見込まれることになる。

新しいライフスタイルへのSE構法の提供としては、セカンドハウスマーケットの開拓をはじめとする新事業に投資し、SE構法とのシナジーを創出させる計画だ。MUJI HOUSEによるセカンドハウス・宿泊施設事業のほか、一宮リアライズによる地方創生・グランピング事業、さらにSanuとの合弁会社N&S開発におけるセカンドハウス事業など、新たなマーケットの創造により、SE構法の認知度も高まるであろう。

持続可能な森林資源と経済の循環を実現する新たな木造建築市場等の創出に向けた政府の市場領域ロードマップによると、2030年時点で、木材活用大型建築(低層住宅を除く)の市場規模は1兆円を見込んでいる。

同社は鉄骨造と同様の精密に構造計算された「SE構法」により、木造建築において資産価値の高い家の提供に取り組む。樹木は光合成を行うことにより温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)を大気中から吸収し、木質繊維の形で炭素を蓄積している。木造住宅が増えることによって、その分だけCO2貯蔵量が増加するため、大気中からCO2を取り除いたことになり、RC造から木造に構造を変更することで相当量のCO2削減効果が生まれる。耐震長寿命化につながる耐震シミュレーションや生活スタイルに合わせたスケルトン・インフィルのほか、省エネ計算、高断熱パッシブデザインといった省エネ住宅化なども含め、同社が展開するすべての事業はCO2削減に不可欠な事業と言える。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

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