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エノモト Research Memo(1):パワー半導体用リードフレームが同社成長をけん引


■要約

1. パワー半導体用リードフレームやコネクタ用部品など精密部品を製造
エノモト<6928>は大手電子部品メーカーで、パワー半導体用リードフレームやコネクタ用部品など精密部品を製造販売している。顧客のニーズに応じてカスタマイズされた高機能品や、微細加工の精密プレス金型技術に特徴があり、日本、中国、フィリピンの3極体制で生産している。顧客は半導体パッケージやコネクタなどの電子部品メーカーが中心で、製品は自動車やスマートフォン、ウェアラブル端末、産業用機械などの内部で使われている。2023年3月期第2四半期の製品群別売上高構成比は、パワー半導体用リードフレーム37.4%、オプト用リードフレーム13.2%、コネクタ用部品47.1%、その他2.2%で、用途別量産品の売上高構成比は、車載向け32.8%、スマートフォン向け27.7%、ウェアラブル端末向け5.3%、民生・産機・その他向け34.2%となった。

2. 強みは複合加工技術力、高品質・大量生産技術力、3極生産体制、独立系ポジション
近年、EV(Electric Vehicle:電気自動車)など電動車向けパワー半導体用に、高精度で高電圧・高電流、高温に耐える同社のクリップボンディングリードフレームの需要が急増している。また、ウェアラブル端末向けに、世界最小クラスの狭ピッチコネクタなどが利用されている。こうした製品を高品質・大量に生産できる企業は限られており、同社に受注が集中しているようだ。この背景となっているのが、金属と樹脂の複合加工技術力、高品質・大量生産体制を支える生産技術力、海外2工場でも日本品質の製品を一貫製造できる3極生産体制、独立系としてのサービスポジションといった同社の強みである。様々な顧客が求める高度で幅広いニーズに柔軟な対応が可能となっている。

3. パワー半導体用リードフレームが好調で中計を上方修正、併せて中期環境計画を策定
同社は「ビジョン2030」の1stSTEPとして中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)を策定し、パワー半導体といった成長分野やスマートファクトリー化などへの投資を推進している。その結果、パワー半導体用リードフレームの好調などにより想定以上の進捗となったため、2023年3月期初に最終年度の目標数値を売上高290億円、営業利益24億円へと上方修正した。また、中期経営計画における投資計画も、クリップボンディングリードフレームの増産などを受けて10億円増額した。こうした上方修正に併せ、同社はカーボンニュートラルへ向けた中期環境計画を策定した。再生可能エネルギーと省エネ対策により、生産プロセスにおける2030年度のGHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)の総排出量を、2012年度比33.33%削減することを目指している。

4. 2023年3月期の厳しい外部環境から脱却、2024年3月期は中計目標値達成が視野に
2023年3月期第2四半期の業績は、売上高14,650百万円(前年同期比6.8%増)、営業利益938百万円(同18.5%減)となった。パワー半導体用リードフレームの需要は引き続き強かったが、中国ゼロコロナ政策の影響によりスマートフォンなどの環境が厳しいようだ。同社は2023年3月期業績について、売上高28,600百万円(前期比5.0%増)、営業利益2,200百万円(同9.3%増)を見込んでいる。パワー半導体用リードフレームの好調持続に加えコネクタ用部品の回復もあり、厳しい外部環境のなか期初計画を達成する方針である。2024年3月期は、メッキ内製化や東北工場の稼働率向上の効果に加え新しい金型の受注が旺盛になってきたため、売上高・利益は2023年3月期以上に確保しやすい状況になると思われる。1stSTEPの目標値達成が視野に入ってきた。

■Key Points
・強みは複合加工技術力、高品質・大量生産技術力、3極生産体制、独立系ポジション
・クリップボンディングリードフレームや狭ピッチコネクタなどを製造できる企業は限られる
・厳しい環境であるが2023年3月期は増益を目指す。2024年3月期は投資効果などで中計目標達成へ

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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