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ADワークスグループ Research Memo(7):ファイナンシャル・アレンジメント事業を開始(2)


■中期経営計画

(2) “脱”不動産事業を具現化する施策
ADワークスグループ<2982>は今後の成長に向けて、迅速な経営判断による積極的なM&A、資本提携、業務提携等を推進していくこと、リスクを取った“攻め”と手堅く堅実な“守り”を同時に追求していくこと、時代を先取りした人事制度・報酬制度を導入していくこと等を目的に、2020年4月に持株会社体制に移行した。特に、エンジェル・トーチによるCVC事業を強化し、その延長としてM&Aや資本提携、業務提携を積極的に推進することで、新規事業の創出・育成を図る方針だ。まずは、前述したファイナンシャル・アレンジメント事業を育成していくことになる。

エンジェル・トーチでは事業開始以降、不動産テック、FinTech、DX等の様々な領域にわたるベンチャー企業の投資案件を数多く検討しており、このうち5社に総額2億円強の投資を実行している。2022年以降では、ファイナンス・アレンジメント事業構想を担う岡三デジタル証券準備、FUNDINNOの2社に出資したほか、WEB3.0の世界を見据え、ブロックチェーン技術を応用しリアル空間とデジタル空間をつなげるサービスを展開するベンチャー企業、(株)レシカへの出資を行った。

レシカはスマートフォン上で不動産NFTの保有・売買ができるプラットフォーム「ANGO(あんご)」※を開発し、2022年中にもサービスを開始する予定となっている。同社は同事業には関わらないものの、将来的に不動産NFTの商品化を見据えており、その研究を目的に出資を行った。

※リアル物件と紐づいたデジタル物件のNFTを販売するサービス。同NFTの所有者は、デジタル物件にNFTアートを飾ることができるほか、デジタル物件と連動したリアル物件に宿泊する権利と、所有者限定のイベントや物件の運営に関初するコミュニティに参加する権利が得られる。


同社では今後も既存事業の「深化」と同時に、CVC事業を通じて“脱”不動産事業として新規事業を創出・育成する方針だ。また、育成する新規事業と不動産事業とのシナジーを効かせることで、2025年12月期には全体収益の約3割を“脱”不動産事業等で稼ぎ出すことを目標としている。現時点では約3割という目標はハードルが高いが、今後のファイナンス・アレンジメント事業の成長度合いやM&Aの動向次第では達成できる可能性もある。なお、ファイナンス・アレンジメント事業に関しては、金融に関する専門知識が必要となるが、エンジェル・トーチにはまだ人材が揃っていないため、今後体制を強化する方針である。

(3) 共通施策
a) Debt性資金の活用
資金調達手段として、今後はエクイティ・ファイナンスよりもDebt性資金を活用する方針を打ち出しており、そのなかでクラウドファンディングやSDGs私募債などの活用も積極的に進めていく。Debt性資金の積極活用により収益不動産残高の積み上げと収益拡大、並びにCVC事業の強化を図り、「超過利潤の獲得」「ROEの向上」を実現していく戦略となっている。

b) フィービジネスなどノンアセット事業の強化・探索
ノンアセット事業では、業容拡大に比例して管理物件棟数やオーナーとのリレーション数、売買物件情報量が増加するため、売買仲介やPM、リノベーション工事等のフィービジネスのチャンスも乗数効果を伴って増加していくことが期待される。

事業会社のうち、PM業務を展開するエー・ディー・パートナーズや、バリューアップ工事及び修繕工事を行うスミカワADDについては、バリューチェーンの強化において存在感を発揮する一方で、フィー収入を基本とするビジネスモデルとなるため資本効率が相対的に高く、両社の収益力を強化することで全体の資本効率も向上していくものと見ている。中長期的には、REIT事業や開発事業等の規模拡大等によりフィー収入が一段と増加し、収益性も向上していくものと予想される。

(4) SDGsの取り組み
同社グループでは、不動産再生をはじめとする事業活動を通じて、ESG投資の広がりに持続的に寄与するSDGs経営を推進している。組織体制としては2021年10月にサステナビリティ委員会を設置し、同委員会で審議され決定した内容について、同社グループ間で共有し事業活動に生かしていく。

「環境」に関しては収益不動産物件のリノベーション施工時における環境配慮商品の使用や廃材のリサイクル、水質保全や節水など環境負荷を低減する活動を行っている。また、「社会」への取り組みでは住宅価格が高騰するハワイにおいて、手頃な価格で提供できる賃貸住宅の開発に着手しており、開発事業を通じた社会貢献に取り組んでいる。「ガバナンス」への取り組みでは、2022年1月にCG委員会を設置し、その対応方針や取り組みについて2022年4月に発行した「コーポレート・ガバナンス報告書」に纏めており、会社ホームページにも掲載している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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