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アーバネット Research Memo(1):2020年6月期は過去最高業績を更新。景気の不透明感を見据え慎重姿勢


■要約

1. 会社概要
アーバネットコーポレーション<3242>は、東京23区、駅から徒歩10分以内の立地にこだわった投資用ワンルームマンションの開発・1棟販売(卸売:BtoB)を基軸事業としている。用地取得からプラン・意匠設計、開発を行い、マンション販売会社・ファンド・富裕層等への1棟販売を手掛けており、「ものづくり」に特化しているところに特徴がある。設計事務所からスタートしたデベロッパーとして、モノトーンを基調とした外観、機能性やデザイン性にこだわり、開発立地へのこだわりが入居者からの高い支持を受け、空室率の低さを誇っている。都心における不動産開発環境は、用地取得の困難な状況や開発コストの高止まり、建設工期の長期化などが課題となっているが、国内外の不動産投資家、将来の資産形成目的の若年層や相続税対策目的の富裕層に加え、潤沢な資金を確保したファンド・リートの需要拡大により業績は好調に推移している。また、ストックビジネスの強化にも取り組んでおり、賃貸収益物件の取得に加えて、新たにホテル事業へも参入した※。長期目線での有望分野へ布石を打つことにより、持続的な成長に向けて、安定収益源の確保や事業ポートフォリオの拡充を図るところに狙いがある。2019年12月には公募増資等により約20億円の資金調達を実施し、財務基盤の強化も図っている。

※研究開発と位置付けている自社開発ホテルプロジェクト第1号「ホテルアジール東京蒲田」は2020年6月に竣工済み(ただし、コロナ禍の影響を考慮し、開業はしばらく延期)。


2. 2020年6月期業績の概要
2020年6月期の業績は、売上高が前期比9.6%増の22,018百万円、営業利益が同15.7%増の2,484百万円と増収増益となり、2期連続で過去最高業績を更新した。期初予想に対しても、売上高、各利益ともに上回る着地となっている。主力の「不動産開発販売」における販売戸数が14棟712戸(前期比41戸増)に拡大し、増収に寄与した。また、コロナ禍の影響(金融機関の出社制限に伴う最終顧客へのローン手続きに遅れ)により、予定していた販売戸数を23戸下回ったものの、その分をカバーすべく、開発用地の転売を行ったことにより売上高は計画を上回ることができた。利益面でも、増収により増益となるとともに、経費削減策も奏功し、営業利益率は11.3%(前期は10.7%)に改善した。一方、今後の成長につながるパイプライン(開発物件)の状況についても、物件厳選など慎重な用地仕入れ方針を取りながら、2021年6月期の販売予定分を含めて、1,514戸を確保している。

3. 2021年6月期の業績見通し
2021年6月期の業績予想について同社は、売上高を前期比9.2%減の20,000百万円、営業利益を同17.5%減の2,050百万円と減収減益を見込んでいる。減収予想となっているのは、「不動産開発販売」における販売戸数が14棟674戸(前期比38戸減)に減少することが理由であり、コロナ禍の影響による建設工期の長期化の可能性を鑑みたものである。もっとも、コロナ禍のもとでも、売上高は3期連続で200億円を確保する予想であるところは評価できるだろう。また、利益面でも、減収により減益となるほか、販管費を保守的に見積もり、営業利益率は10.3%(前期は11.3%)に低下する想定となっている。

4. 今後の方向性
同社の成長戦略は、既存事業の拡大を軸としつつ、ストックビジネス(自社保有の賃貸収益物件等)や子会社によるBtoC事業(マンション管理及び賃貸業等)の拡大により、事業ポートフォリオの拡充と財務基盤の安定化を図るものである。特に、既存事業については、都心での用地価格が高騰しているなかで、将来リスクも念頭に入れつつ、より採算性やタイミングを重視した慎重な用地取得に取り組む方針であり、事業環境や景気変動に柔軟に対応しながら、持続的な成長を目指していく。また、研究開発として位置付けているホテル事業については、コロナ禍の影響により厳しい外部環境が続いているものの、中長期的な目線からの可能性を追求するほか、新しい技術やコンセプトを導入した次世代型マンションの開発など、将来を見据えた活動にも取り組んでいく。

■Key Points
・2020年6月期は期初予想を上回る増収増益となり、2期連続で過去最高業績を更新
・コロナ禍の影響は限定的ながら、景気動向の先行き透明感を見据え、慎重姿勢を強める傾向
・2021年6月期は建設工期の長期化の可能性を鑑み、減収減益を見込むものの、売上高は200億円を確保する見通し
・ホテル事業の動向のほか、新しい技術やコンセプトを導入した次世代型マンションの開発など、将来を見据えた動きにも注目

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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