以下は、2020年7月29日にYouTubeチャンネル「FiscoTV」で配信された「マザーズ市場の投資戦略2020 ~コロナ相場の振り返り~」である。フィスコマーケットレポーターの橋本 真依氏とフィスコの株式アナリストである仲村 幸浩氏が、対談形式でマザーズ市場の2020年の投資戦略について解説している。全5回に分けて配信する。


仲村:次に挙げられる先物取引のメリットとしては、ナイトセッションの存在があります。先物取引は、現物取引が行えない夕方4時半(16:30)から翌日の早朝5:30までの間も取引を行うことが可能です。

これに伴うメリットとしては、現物取引時間終了後に多くある個別企業の決算発表に備えたヘッジ取引ができるということや、海外時間の重要イベントに備えたヘッジ取引ができるということが挙げられます。つまり、現物取引時間外の不測の事態にも対応が可能ということです。よく、米国の雇用統計やISM製造業・非製造業の景況指数などのように、海外での経済指標が翌日の日本の株価を大きく動かすことがあります。先物取引を活用すれば、こうした海外時間におけるイベントなどに備えた戦略を立てることができるのです。

例えば、人気のマザーズ時価総額上位銘柄を持っていて、長期的には保有し続けたいと思っている一方で、短期的には、海外の経済指標で弱い数値が出ることで、保有銘柄の固有要素には基づかいないマクロ環境によって一時的に下げるということが不安視される場合には、その時価総額上位銘柄を持ちつつ、マザーズ先物をナイトセッションの間にショートしておくという戦略が挙げられます。

最後の先物取引のメリットとして、「売りからも入れる柔軟な戦略立案が可能」という点について(今の海外時間の経済指標に備えたヘッジ売りとは別の観点から)、ご説明いたします。

売りから入れる方法としては、代表的なものとして信用取引を活用した空売りがあります。ただし、実は、マザーズ銘柄につきましては、(売買代金の少なさ)流動性の観点から空売りを行うことは意外と難しいです。日本取引所グループ(JPX)が空売りをできる条件を満たした銘柄として「貸借銘柄」と呼ばれる銘柄群を定めているのですが、6月5日時点で、マザーズ市場の全上場銘柄321銘柄の中で64銘柄しかありません。そして、人気の時価総額上位20銘柄の中では、わずか6銘柄に限られます。

つまり、こうした銘柄を持っていて、長期的にはまだ持っていたくても、成長のための先行投資などの影響で短期的には目先の決算でやや売りが優勢になりそうだというリスクが考えられる場合には、マザーズ先物を利用したヘッジ売りが有効になってきます。

マザーズ指数は時価総額加重平均で構成される指数であり、マザーズ先物も当然に時価総額上位銘柄の動きの影響を大きく受けるため、空売りができないマザーズの人気主力級銘柄を持っている場合には、時価総額上位銘柄と似た動きをするマザーズ先物をショートすることによって、上述したリスクヘッジ戦略の代替が行えるということです。

橋本:マザーズ先物を活用したメリットって意外と沢山あるのですね。仲村さん、ここまでのご説明ありがとうございました。

—「マザーズ市場の投資戦略2020 vol.5 ~マザーズ先物の活用方法と注目銘柄~」に続く—


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情報提供元:FISCO
記事名:「マザーズ市場の投資戦略2020 vol.4 ~マザーズ先物の活用方法と注目銘柄~