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エノモト Research Memo(1):微細加工や精密プレス金型に強み


■要約

エノモト<6928>は、大手電子部品メーカーで、リードフレームやコネクタ用部品といった精密部品を製造販売している。顧客のニーズに応じた高機能なカスタマイズ品の開発や微細加工の精密プレス金型に強みがあり、日本、中国、フィリピンの3ヶ国の工場で製造している。顧客は家電や自動車、IT機器の内部で使われる半導体パッケージやコネクタなどの電子部品メーカーが中心である。2020年3月期第2四半期における製品群別売上高構成比はIC・トランジスタ用リードフレーム33.9%、オプト用リードフレーム12.1%、コネクタ用部品50.8%、その他3.2%、用途別売上高構成比では車載向け34.8%、スマートフォン向け29.9%、ウェアラブル3.2%、パソコン1.1%、民生・産機・その他向け31.0%となっている。

同社の工場は、蓄積してきた技術と独創的で効率的な生産ラインにより、いずれも顧客の要求を満たす高品質な製品を生み出すことができる。しかし、近年ますます強まる顧客の要求を実現するため、国内の各工場は得意とする分野の様々な技術やノウハウを集約している。また、同社は全工場でISO9001とISO14001を取得、海外でも国内生産と同じ基準で品質管理を実施している。さらに、車載用製品に対する厳しい品質管理・環境管理基準に対応するため、自動車産業の国際的な品質マネジメントシステムIATF16949の認証を、中国に引き続き岩手工場で取得した。認証を取得することで自動車業界特有の高い品質への要求をクリアしたと認められ、車載向け部品の受注活動が大きく効率化されると考えられる。今後、他の工場でも認証取得を進める方針だ。

2020年3月期第2四半期の業績は、売上高11,102百万円(前年同期比9.4%増)、営業利益507百万円(同6.7%減)となった。車載向けは堅調だったが、東京オリンピックを前に拡大した大型ディスプレイ向けLEDの在庫調整やスマートフォン向けの停滞、品目構成の変化などにより営業減益となった。また、前期計上した子会社受取配当金の消滅や為替差損の発生、前期発生した投資有価証券売却益の反動により、営業外損益と特別損益も足を引っ張った。2020年3月期業績見通しについて、同社は売上高21,000百万円(同0.2%減)、営業利益1,200百万円(同6.0%増)を見込んでいる。下期は車載向けが引き続き堅調、ウェアラブルは需要拡大、スマートフォンも回復が見込めるため、上期の営業減益をカバーすることは十分可能と考えられる。

同社は、中期経営方針として「新たな価値の創造~他社が真似のできないものづくりを追求する~」を掲げ、培ってきた微細加工の技術を最大限に活用していく考えである。また、超精密化など技術的要求は強まるばかりで、今後も同社の成長余地は広がっていくことが予想される。一方で、経営方針を地で行くような、真似のできない新型「ガス拡散層一体型金属セパレータ」の開発を、山梨県及び山梨大学と共同で行っている。その事業で今般グリーンローンを調達したが、環境に配慮した水素社会の実現を目指すことがSDGsに符合すること、いよいよ実用サイズでの実験段階に入ったということ——の2つが調達の背景にあったと思われる。先行する他社技術に対して「コスト半減、性能2倍以上」という実験結果もあり、実用化されれば革命的な製品になる可能性があると考える。

■Key Points
・精密部品など微細化に強みの電子部品メーカー
・2020年3月期はスマートフォン需要が回復へ
・技術的要求が強まるほど同社の成長余地は広がる

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)




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