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需給改善は見られず、環境も強弱まちまち


[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;29657.66;+36.67TOPIX;1959.07;+6.89


[後場の投資戦略]

 本日の日経平均は安寄り後に切り返すも、上値の重い展開となっている。日経平均は0.12%、東証株価指数(TOPIX)は0.35%の上昇で前場を折り返した。米国で景気回復への期待が高まるととともに金利が上昇し、金融株などの景気敏感株が買われているが、半導体関連を中心とした値がさ株の一角が軟調。小売・外食等の決算反応はまちまちといった印象だ。本日ここまでの東証1部売買代金は1兆円あまり。ここ数日は1日を通じ2兆円台前半とやや低迷しているが、本日も同様だろう。かねて当欄で指摘している「市場のパワー不足」は続いている。日経平均の日足チャートを見ると、29500円台に位置する25日移動平均線が下値をサポートする形で底堅いが、この水準でこう着感も強まってきた。

 東京証券取引所が13日発表した9日申し込み時点の信用取引残高(東京・名古屋2市場、制度信用と一般信用の合計)を見ると、信用買い残が3兆1672億円(週間で946億円増)と約2年半ぶり高水準、一方の売り残が7235億円(同394億円減)と約2年4カ月ぶりの低水準になったという。日経レバETF<1570>の純資産総額は直近ピークからやや減少したが、日経ダブルイン<1357>の積み上げは限定的な印象。裁定残もネット買い越しの状態が続いている。一昨日に触れた安川電<6506>のみならず、やはり全般に株価を一段と押し上げる買い戻しの余地は限られると言わざるを得ない。なお、信用評価損益率も9日申し込み時点で-7.67%(同0.08pt悪化)とじりじり悪化。個人投資家の物色意欲には根強さも感じられるが、大きく改善する状況でもないだろう。

 日銀は3月30日を最後に通常の上場投資信託(ETF)買い入れを実施していない。現在は前引け時点のTOPIX下落率が1%以上だった際に実施しているもようで、それだけ株式相場が底堅いとも言えるが、売り持ち高が積み上がりづらくなった大きな要因なのかもしれない。以前なら日銀のETF買いが下値を支え、結果的に売り方が高値で買い戻すことで断続的な株価上昇が演出されてきた。

 さて、市場のムードとしてはいまだ新型コロナウイルスのワクチン普及に伴う景気回復への期待が強いものの、米国ではベテラントレーダーを中心に「期待どおりの強い(経済・業績)数値を確認したら徐々にリスクを減らすのがセオリー」との声も多いようだ。また、前日発表された米金融大手の決算はトレーディング収益が好調だったものの、投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントの損失処理を巡り足並みのズレが表面化したこともあり、高収益のヘッジファンド向けビジネスの先行きを不安視する向きがある。

 菅義偉首相の訪米を巡っては、米製薬会社のワクチン調達へのポジティブな影響に期待するとともに、中国との対立を懸念する声が出てきているようだ。トランプ前米政権が中国に対し強硬姿勢だったと捉える向きはなお多いが、「ディール(取引)」の余地があったトランプ前米政権に対し、「人権」などのイデオロギー・価値観で対立する現民主党政権の方が中国との対立解消の糸口をつかみにくいだろう。安川電の戻りの鈍さにも少なからず影響している可能性がある。

 需給的にも環境的にも、やはり日経平均は目先3万円近辺でのもち合いが続くとみておいた方がいいだろう。
(小林大純)
<AK>
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