海自ヘリ墜落、飛行記録から機体の異常確認されず 人的要因か

　伊豆諸島・鳥島東の海域で海上自衛隊の哨戒ヘリコプター「SH60K」2機が墜落した事故で、木原稔防衛相は22日午前、現場海域で回収した事故機のフライトレコーダー（飛行記録装置）からデータを抽出できたと明らかにし、「現時点で飛行中の機体に異常があったことを示すデータは確認されていない」と述べた。海自は人的要因によって2機が空中で衝突した可能性も視野に入れつつ、抽出データの解析など事故原因の究明を進める。

　事故は20日夜、鳥島から東に約270キロの海域で発生。墜落した2機は潜水艦を探知する夜間訓練に参加していた。搭乗員計8人のうち1人の死亡が確認され、残る7人が行方不明になっている。現場海域では2機のフライトレコーダーが近接した状態で発見され、他にブレード（羽根）など機体の一部が見つかった。

　海自トップの酒井良海上幕僚長は22日、「常識的に考えて（機体は）海底に沈下しているとみられる」と言及。機体の主要部分の捜索のため、海底地形や潮流、水温などを調査する海自の海洋観測艦を現場海域に近く派遣し、機体を引き揚げる際には民間のサルベージ船の活用を検討していく考えを示した。【松浦吉剛、西本紗保美】