埼玉のてんかん医療過誤訴訟、患者側敗訴が確定 最高裁が上告棄却

　てんかん発作を起こして病院に救急搬送された女性患者が麻酔薬を過剰投与され死亡したのは医療過誤だとして患者の両親が病院側に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁は患者側の上告を棄却した。決定は8日付。棄却理由は示されていないが患者側敗訴が確定した。

　患者は2010年4月7日に埼玉県内の民間総合病院に救急搬送され、病院側は両親に事前説明せず全身麻酔療法を始め、規定量を超えて麻酔薬を投与。患者は急性肝不全から肝性脳症を発症するなどして同年5月12日に死亡した。1審さいたま地裁は麻酔薬の過剰投与などを病院側の過失と認めたが、地裁採用の鑑定に基づき過失と死亡の因果関係を否定。2審東京高裁も病院側の鑑定などを根拠に1審判決をほぼ是認した。

　患者側は上告理由書で、病院の診療録の証拠と整合しない認定をしているなどとして審理不尽や採証法則違反と主張したが、最高裁は棄却。患者の両親は「娘の無念を理解してもらえず非常に残念。裁判は終わったが、てんかん救急医療問題などについて、再発防止に向けて広く伝えたい」と話している。【松下英志】