日没後に寂しく光る 観光名所・輪島の白米千枚田

　能登半島地震で地割れなどの被害があった国指定名勝「白米（しろよね）千枚田」（石川県輪島市）では、訪れる観光客がいない中、日没後に発光ダイオード（LED）のライトが幻想的に輝いていた。

　地元住民によると、LEDはボランティアらが昨年、ライトアップイベントのために棚田のあぜ道に設置したもので、約2万5000個あった。イベントは毎年人気で、今年も3月まで開催の予定だったが、地震で観光客が訪れる状況ではなくなった。棚田近くの道路が隆起するなどして通行止めとなったため、地元の人たちが北側の棚田から少しずつライトの回収をしているという。

　太陽光パネルで充電されるライトは、日没を感知して自動的に点灯。残った電飾は人目に触れず、寂しく光っていた。

　約10年前に田植えに参加した大阪府の男性（49）は、同県七尾市でボランティアに参加。帰阪前に千枚田の様子を見て「思い出の場所が被災して悲しい。農家の方も地震で亡くなったと聞いたので、手を合わせに来た」と話し、「復活した千枚田を多くの観光客と一緒にまた眺めたい」と願った。【山崎一輝】