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役員の不正を指摘したら解雇 鳥取ガス訴訟、元幹部らと和解成立


 役員の不適切な経理処理を会社側に指摘したところ、自宅謹慎を命じられ、その後解雇されたとして、鳥取ガス(鳥取市五反田町)と鳥取ガス産業(同)の元幹部社員の男性3人が未払い賃金の支払いを会社に求めた訴訟は鳥取地裁で和解が成立した。会社側は「法的要件の充足に疑義がある」として解雇を撤回し、未払い賃金を含めた解決金を支払う。3人の復職は認めず、5月12日付で合意による退職とした。

 原告3人は、鳥取ガスの元部長と、鳥取ガス産業の元執行役員の2人。9、10の両日、地裁側から提示された和解案に基づいて双方が協議した。未払い賃金の訴訟とは別に、地位保全を求める仮処分も申し立てていたが、和解が成立したことから取り下げた。

 和解条項は、退職金とは別に、未払い賃金を含む解決金を支払う▽解雇を撤回し、合意退職によって雇用関係が終了したことを確認する―など。「人事評価の透明性、公平性を担保する制度を構築し、社員教育制度の充実化などを含め、従業員の労働環境の向上に努める」「適正な人事労務管理を図り、ガバナンス体制の強化やコンプライアンスに努める」など会社側の改善策も盛り込まれた。

 原告側の代理人弁護士は「原告の3人は社会で活躍できる優秀な人材であり、訴訟の長期化を避けるためにも早い決着を目指した。名誉回復の観点から、一般的につけられることが多い口外禁止条項についても外すことで合意できた」と和解案を評価した。

 一方、会社側の代理人弁護士も取材に応じ、原告側が主張していた役員の不正経理について、「会社の顧問弁護士や公認会計士による社内調査の結果、不正は認められなかった」などと説明。「鳥取のインフラを支える企業として、多くの皆さまにご心配をかけ、会社としては今回の件を深刻に受け止めている」とした。【山田泰正】

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