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人生を山城に賭けて 探索40年、その数378カ所 播磨は“制覇”


 兵庫県の播磨地方を中心に、県南部にある中世(主に室町時代)の山城をくまなく探索し、測量図を作成している木内内則さん(76)。その数、40年間で387カ所。すべて1人でやってきた。「山城を通じて庶民の暮らしが見えてくる」と語る。

 ガイドブックに載っているような山城ばかりではない。地元の人でも存在を知らず、名前すら失われた山城を探し出す。以前は尾根や谷の形から見当をつけて山に入っていた。近年、GIS(地理情報システム)による立体的な地形図をスマホで利用できるようになり、山城探しは劇的に変わった。立体図で山間部にそれらしい平地を見つけ、つぶしていく。「播磨地方の山城は285カ所。これでほぼ確定した」とまで言えるようになった。

 時には道なき山中に分け入る。堀切(尾根を断ち切った堀)など山城跡を見つけると磁石やメジャーを使って測量して図面に落とす。主だった山城は建物も含めた想像復元図を水彩で描く。縦75センチ、横95センチの復元図は現在33点。庶民が煮炊きする様子なども細かく描き込む。

 中学卒業後、会社勤めしたが、20歳の頃、得意だった絵画の道に進もうと画家の門戸をたたいた。しかし「(絵で飯を食うには)もう遅い」と言われ、額縁職人を志した。メーカーに入社して一から学び、持ち前の器用さと人懐っこさで人脈を築き、46歳で独立した。

 山城との出会いは16歳の時。古書店で手にした明治時代出版の地誌「播磨鑑(かがみ)」(成立は江戸時代)に山城が列記されているのを見て「行ってみよう」と通いつめ、日記に残した。36歳から山城の探索と測量を始めた。

 多数の実測結果をもとに「山城は寺院建築から変遷して形成されたのでは」「集落のリーダーたちの集会所の役割があったのでは」と推理する。「歴史を作ったのはお殿様だけじゃないことを示したい」。少年のような目で笑う。【村元展也】

木内内則(きうち・ただのり)さん

 徳島県出身。神戸市北区の自宅兼工房で「木内額椽(がくぶち)」を営む。2018年に「中世播磨250の山城」を発行。22年に再版された。

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