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注目の「タイニーハウス」 小さな家で実現するシンプルな暮らしとは


 小さな家を意味する「タイニーハウス」。シンプルな生活を追求し、住宅ローンに縛られない家づくりの一つとして注目が集まる。奈良県大和郡山市の総合建築会社「クラハラ」は、10坪以内にこだわった事業を展開している。同社の常務取締役で1級建築士の倉原猛さん(51)は、狭さを緩和する設計にアイデアをひねり、多様化する生活に対応した家を提案する。【塩路佳子】

 奈良市のJR京終駅から徒歩約10分の住宅街に、鉄骨平屋建てで床面積がたった4坪(約13平方メートル)のオープンハウスがある。倉原さんに中を案内してもらうと、想像以上の充実した空間に驚いた。

 間取りは1部屋だが、壁に固定されたカウンターデスクを備えた執務スペースの他に、4人用のテーブルを置くスペースがある。トイレや洗面台、シャワーブースが完備され、簡易キッチンや大人が寝られるロフト、外にはウッドデッキもあった。空間を最大限に生かすべく、カウンターの高さや壁の色にもこだわっているという。

 事務所、テレワークスペース、趣味の部屋……。さまざまな用途が想定され、住居としても十分機能しそうだ。オープンハウスの建物価格は500万円。コンパクトな造りだが、かえって自分だけの秘密基地のようでワクワク感があった。

ライフステージに合わせて増減

 倉原さんは家づくりに携わる中で、さまざまな住宅事情を見聞きしてきた。両親が亡くなって子どもが独立した後も2世帯住宅に住む夫婦。30年以上のローンを組んで家を建てたが、子ども部屋は10年も使っていなかった――。

 「ならば、最初から夫婦2人の家を建て、家族構成の変化に応じてタイニーハウスを増やしたり減らしたりする。そんな家づくりがあってもいいのでは」と提案する。

 例えば、介護のために住宅の改修が必要になった場合、介護スペースにタイニーハウスを利用する選択肢もある。倉原さんは「住まいに引っ張られず、多様なライフスタイルが選べるようになればいい」と力を込める。

 タイニーハウスは2008年のリーマン・ショック後に、米国で広まったという。所有物を必要最低限に抑え、ローンを抱えずに小さな家に住む動きが出たためだ。

 倉原さんによると、法的な定義はないという。クラハラは、10坪以内で1000万円以下▽セルフメンテナンスがしやすい「フラット(平屋)」▽移設が簡単にできる「リユース」――といった独自の基準を設けている。

 さらに1坪のタイニーハウス(88万円)も手掛けており、ゲームや勉強、仕事など使い方は十人十色だ。倉原さんは「4坪と1坪のタイニーハウスを組み合わせて、駐車場付きの郊外型レンタルオフィスを造ってもいい」と構想を膨らませる。

江戸時代の長屋に見習う

 これまでも、柔軟な家づくりを提案してきたクラハラ。関連会社の「アーキ・クラフト」は、増床がしやすい「育つ家」を手掛け、2007年度のグッドデザイン賞を受賞した。

 タイニーハウスのきっかけは、一般の人にも家づくりについて理解を深めてもらおうと、県内の工務店や建築士らと小屋作りのワークショップを開いたことにある。そんな流れの中で「家って、もっとシンプルに作ってもいいのでは」と考えるようになったという。

 「究極を言えば、ベッドやテーブルなど固定の家具が少なかった江戸時代の長屋は4、5畳の空間に家族で暮らしていた」と倉原さん。ライフスタイルが多様化する中、「本当に必要なもので、コンパクトに暮らしていく生活があってもいい」と語った。

クラハラ

 大和郡山市井戸野町124の2。1965年創業で、公共工事や個人住宅、店舗などの建設を手掛ける。タイニーハウスの内覧は予約制で、電話(0743・53・4182)。ホームページ(http://www.kurahara.co.jp/)。

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