EU（欧州連合）のボレル外務・安全保障政策上級代表（外相）は23日、ロシアの侵攻を受けるウクライナへの米国製F16戦闘機の供与に向け、EU加盟国のポーランドなどでウクライナ人パイロットの訓練が始まったことを明らかにした。ブリュッセルで開かれたEU国防相会合前に記者団に語った。
ボレル氏は「F16のパイロットの訓練が、複数の国で始まったことを喜ばしく思う。時間はかかるが、早ければ早いほど良い」と述べ、国名を問う記者の質問に対し、ポーランドを挙げた。また、ボレル氏はEU国防相会合後の会見で、ウクライナの要望を受け、EU加盟国が3月以降、計22万発の砲弾、計1300発のミサイルを供与したと発表した。
F16を巡っては、生産国の米国が供与に慎重な姿勢を見せていたが、ウクライナや欧州側の要望を受け、訓練や欧州からの供与については容認した。ボレル氏はF16の供与について「ウクライナが防衛を続けるには絶対に必要だ」と述べた。
一方、ロシアは西側諸国からウクライナへの武器供与拡大を警戒している。ロイター通信によると、メドベージェフ前大統領は露メディアに「ウクライナが西側から受け取る兵器の破壊力が増せば増すほど、核による大惨事のリスクが高まる」と述べ、けん制した。【ブリュッセル宮川裕章】
