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てんかん原因細胞にピンポイントで作用する物質 動物実験で確認


 けいれんや意識消失を引き起こす「てんかん」の原因となる脳内の異常な細胞に対して、ピンポイントに作用して数分で症状を抑える物質をサルを使った実験で開発したと、量子科学技術研究開発機構などのチームが発表した。

 てんかんは、国内に60万~100万人の患者がいるとされる。脳神経細胞のうち、局所的に起こる異常な興奮が引き金となり、広い範囲に興奮が伝わることで意識消失などを引き起こす。

 患者の6~7割は、投薬で症状が出ないようにすることができる。薬が効かない場合、異常な興奮を起こす細胞を切除する。しかし切除する場所によっては、運動や言語機能に影響を与える恐れがあり、新たな治療法が求められていた。

 そこで研究チームは、てんかんを発症させるようにしたカニクイザルの脳内の異常な細胞で、特殊なたんぱく質が作られるようにした。たんぱく質は「DCZ」と呼ばれる物質の目印役になる。

 その後、サルがけいれんした時にDCZを注射すると、1~3分で脳の興奮と症状が治まり、その効果が2時間程度続いた。DCZが、目印の付いた異常な細胞と結びつき、細胞の興奮を抑える役目を果たしたという。

 2頭のサルで計6回の実験を繰り返し、いずれの場合でも効果が確認できた。脳神経細胞の死滅や異常な免疫反応など、副作用は確認されなかった。

 研究チームの南本敬史・量研機構の量子医科学研究所グループリーダーは「有効性と安全性が、ヒトに近い脳を持つサルで確認できた。10年以内には、実際の患者で効果などを確認していきたい」と話した。

 成果は英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。URL(https://doi.org/10.1038/s41467-023-36642-6

【渡辺諒】

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