ＢＴＳ兵役で揺れる韓国政府＝世論調査方針に国民反発―「義務果たすべきだ」５割超

　【ソウル時事】韓国の男性音楽グループ「ＢＴＳ」メンバーの兵役義務免除の是非をめぐり、政府が揺れている。決定のために政府として世論調査を実施する方針を表明したものの、反発が広がり撤回。最年長メンバーの入隊期限が年末に迫る中、民間の調査では「義務を果たすべきだ」との回答が５割を超えた。 　韓国では１８歳以上の男性に兵役義務がある。国内では、世界での活躍や経済効果を評価してメンバーに免除を求める声があり、４月の世論調査では免除賛成が５９％に達した。ただ、兵役義務のある若年男性を中心に反対の声も強く、政府は対応に苦慮してきた。 　李鐘燮国防相は８月末の国会審議で「期限を決めて結論を出す。世論調査を早く実施するよう部下に指示した」と発言。与野党議員も世論調査を提案していた。しかし、「国防の義務を世論調査で決める国がどこにあるのか」などの批判的意見が国民に広がり、国防省は一転して「調査は実施しない」と発表した。 　今月７日付の有力紙「中央日報」は兵役経験者のソウル大男子学生の寄稿を掲載。この学生は「社会の原則と法治主義を揺るがし、とても失望した。人気があれば軍隊に行かなくていいのか」と訴え、「兵役の特例に賛成だった男子の後輩も『世論調査』は批判している」と強調した。 　調査会社「チョウォンＣ＆Ｉ」が今月発表した世論調査では、メンバーが「兵役義務を果たすべきだ」は５４％、「（免除の）特例を与えるべきだ」は４０％だった。義務を果たすべきだという回答は３０歳未満で７２％と高かった。 　ＢＴＳメンバーの入隊期限は特例で３０歳まで延長され、最年長のＪＩＮさん（２９）は年内に入隊することになる。尹錫悦大統領は３月の大統領選で、若年男性からの強い支持を受けて当選しており、「若年男性が反発する兵役免除には踏み切りにくい」（韓国紙記者）との見方もある。　【時事通信社】 〔写真説明〕韓国の男性音楽グループ「ＢＴＳ」メンバー。左から３人目が最年長のＪＩＮさん＝４月３日、米ラスベガス（ＡＦＰ時事）