野口さん、「あっという間の２６年」＝宇宙飛行３回、ＪＡＸＡ退職前に会見

　６月１日付で宇宙航空研究開発機構（ＪＡＸＡ）を退職することを表明した宇宙飛行士の野口聡一さん（５７）が２５日、東京都内で記者会見し、「選抜以来、あっという間の２６年だった。３回の宇宙飛行を無事に達成し、そろそろ後進の人たち、後輩飛行士や新たに選抜される新人飛行士に道を譲りたいと考えるようになった」と述べた。今後は研究機関などでの活動を中心に、宇宙関連事業への助言や、人材育成などに携わるという。 　野口さんは石川島播磨重工業（現ＩＨＩ）を経て、１９９６年に宇宙飛行士候補に選抜。２００５年に米スペースシャトルで初飛行後、０９年にロシア・ソユーズ宇宙船、２０年に米民間宇宙船クルードラゴンにそれぞれ搭乗、国際宇宙ステーション（ＩＳＳ）に長期滞在した。　 　昨年５月、３回目の飛行から帰還後に「燃え尽き症候群的なところがあった」という野口さん。「（ＪＡＸＡで）心地よいままいるよりは、厳しい民間の世界に出て、もう一度もまれる体験をするにはいい時期だと思った」と退職の決断に至った心境を語った。 　商業宇宙旅行など民間企業の進出が広がる中、自身４度目の飛行の可能性を問われると、「宇宙に行くチャンス自体はまだあると思っている」と強調。「（宇宙旅行の）ツアーガイドとして行くか、船長として行くか、引き続き様子を見たい」と意欲を示した。（了）【時事通信社】