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父の背中追い、医師の道へ=クリニック院長の西沢さん―大阪ビル放火1カ月


 大阪市北区の雑居ビルで25人が犠牲になった放火殺人事件で、死亡した火元の「西梅田こころとからだのクリニック」院長西沢弘太郎さん(49)は、開業医の父弘二さんの背中を追い掛け医師を志した。事件は17日で発生から1カ月が経過。友人や元同僚らは、若手の頃から患者や同僚に対する気配りを欠かさなかった西沢さんをしのび、早すぎる死を悼んでいる。  大学時代に友人だった東京都内に住む会社員の女性(46)はニュースで事件を知り、昨年末に献花のため現場を訪れた。学生当時、西沢さんからの電話を取り次いだ女性の祖母が関西弁を聞き取れず「何をおっしゃっているか分かりません」と応答。後日、「すごい言われたわー」と笑っていた西沢さんの姿が忘れられない。卒業後は連絡を取っていないが、食事や飲み会の席で「開業医の家系で、父も立派な医者。自分も家を継ぐんだ」と語っていたのを今でも覚えている。  「同じ患者を担当していたが、すごくやりやすかった」。こう振り返るのは、約20年前に同じ病院で働いていた医師の陣内均さん。投与するよう指示していた薬を西沢さんに変更された際、丁寧に理由を説明してくれた。「医者同士だし、言い方によっては気まずくなる。細かいところまで気配りしてくれる人だった」と振り返った。患者が深夜に転院する時も当直の医師に任せきりにせず、救急車が来るまで面倒を見ていたという。  当時から常に穏やかな雰囲気で、ほかの同僚の相談にもよく乗っていた西沢さん。「恨まれるような人ではない。事件に巻き込まれたという印象で残念です」。陣内さんは肩を落とした。(了)【時事通信社】
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