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『アナ雪』も手掛けた『ウィッシュ』監督に再会!「ウォルト・ディズニー氏やディズニーそのものに対して絶大なリスペクトを示した作品」→喜びの展開


「100年のすべてが、この物語に」─ウォルト・ディズニー・カンパニーが創立100周年を迎え、その記念作となるアニメーション最新作『ウィッシュ』がただいま絶賛公開中です。
『ウィッシュ』のテーマは、長きにわたりディズニー作品が描き続けてきた“願いの力”。100年の歴史の集大成ともいうべき本作を手掛けたのは、あの『アナと雪の女王』『アナと雪の女王2』を手掛けたスタッフ陣。今回はクリス・バック監督(『アナと雪の女王』『アナと雪の女王2』)、そしてファウン・ヴィーラスンソーン監督(『アナと雪の女王』『ズートピア』)のお二方に、『ウィッシュ』の生みの親からしか聞きえない、貴重なお話を伺いました。

ちなみに今回のインタビュアーであるオサダ記者は、以前の『アナと雪の女王2』インタビューで、オラフとしてお会いさせていただきました。

■【関連記事】『アナ雪2』ジェニファー・リー / クリス・バック監督インタビュー「つい、君の持ってるニンジン見ちゃうんだよね(笑)」
https://getnews.jp/archives/2300378 [リンク]

前回のインタビューでは「世界で一番洞察力のある雪ダルマ」としてお褒めをいただけたオサダ、今回はジュディ・ホップスさながらのウサ耳の“魔法”にかかったまま、両監督へのもとへと伺いました……。

「あの時お会いしたオラフです」

──(オサダ記者)『アナ雪2』のときはオラフの魔法にかかってました、あの時のオラフです。

クリス・バック監督、ファウン・ヴィーラスンソーン監督:(爆笑)

クリス:あー!(笑) はいはい!あのときの!

──『ウィッシュ』観たら、“スター”の魔法でこんなんなっちゃって……!

クリス:おお、ということは、コトバをしゃべれるようになったんだね!

──日本語だけなんですが!(笑)

クリス:オーケー!

ファウン:(笑)

ディズニーオタクとしての「愛」がにじむ

──今日はよろしくおねがいします! 今回の『ウィッシュ』ですが、ディズニー100周年としてこの作品を作った側面があるのと同時に監督、お二人とも一人の人間、一人のディズニーファンとしての、あふれるようなディズニー愛をものすごく強く感じました

ファウン:私、ディズニーのアニメーションを観ながら育ったんですよね。で、いつかアーティストなりたいと思わせてくれたのが、ディズニーの作品だったし、めちゃディズニー“オタク”でした。だから12年前にディズニーに入ったときには、すでに(在籍しているディズニーの)アーティストの名前を全部知ってたくらいです。

それぞれのホンモノのアーティストたちに実際にお会いしてお話できるのでも大興奮ですし、さらに100 周年記念作品に関わらせてもらえるなんて、もう、オタクとして「えー!!!」って気持ちです。

クリスも一緒だとは思うんですが、やっぱり自分たちがファンであり、ディズニーの作品に希望をもらったからこそ、愛がリスペクトとして作品に溢れたんだと思います。隠そうとしても隠せないんですよ。

──もうスクリーンの奥から「好き」が滲んでいました。今聞いて、やっぱりそうだったんだ! と思いました

クリス:僕もファウンと一緒で、ディズニーの作品を本当に愛してるよ。僕の場合は約50年前にディズニーのスタジオに入ったんだけど、“ナイン・オールド・メン”(※ディズニーの祖ともいえる伝説的アニメーターたちの総称)の一人でもあり、僕のメンターのエリック・ラーソンさんを通じて、あの伝説的な世代からバトンを渡されてるんだ。だからこそ、ウォルト・ディズニー氏やディズニーそのものに対してリスペクトを見せることのできるこの作品に関われたっていうことは、僕らにとって大変に光栄なことなんだ。
そういう風にスクリーンを見てて感じてもらえたってのが本当に嬉しいね。その愛をさらに皆さんでシェアしてもらえたら、って思うよ。

目指した絵作り

──『ウィッシュ』はまず絵作りの部分で強い印象を受けました。『アナ雪』の時のような 3DCG特有の緻密な描写、作画技術、それが元にはなっているんですけど、そこに加えて、まるで人の手が織りなした水彩画のような温かみある描写が融合していて、ちょっと今まで見たことのないような“絵”に仕上がってるなと思ったんです。

今回ウィッシュで目指した「絵作り」ってどんなものでしたか?

クリス:この作品でしたかったのは、これまでにディズニーが積み重ねてきたレガシー、そしてそれに対するリスペクトを見せること、そして同時に、今日のテクノロジーも見せることだったんだ。だからまずは『ピノキオ』、『白雪姫』、最初の2本に立ち戻ってみたんだよ。どちらの作品も、ウォルトが大好きだった水彩画タッチというのが背景で使われているんだけれども、昔だったら平面でただ背景としてあるだけだったものが、今の技術であれば、入り込んだりすることができるんだよね。

だから、僕たちが目指したのは、まるで絵本の水彩画の中に、私たち自身が入り込むようなものだね。ノスタルジアも感じるんだけど、同時にフレッシュなものでもある。作っていてそこにうんとワクワクしたね。

音楽が示した“意思”

──本当にその奥行きと没入感がすごかったです! その絵作りのすばらしさと同時に、音楽の多彩さも特筆すべきものがありました。メインテーマである「This Wish」は言うまでもなく特別な旋律なんですが、個人的に印象的だった曲は「真実を掲げ/ Knowing What I Know Now」でした。この曲が流れるシーンは、ものすごく強い“意思”を感じました。

音楽の使い方で工夫した部分、苦労した部分などはありますか?

クリス:僕らもあの曲が大好きなんだ。あの曲が使われているシーケンスは、主人公・アーシャたちが「自分たちが信じていること、その行動を今しなければいけないんだ」と導いている場面だよね。

チーム感や反骨心といったもの─今、君が言った意思や信念であったり、力強さといったものを感じる曲だなというふうに思っているよ。

作業的な道筋を言うと、まず僕らは「こういうことをしたいんです」って作曲家に伝えるんだけど、すごく良い曲が戻ってきたときに、今度はそれを視覚的にマッチさせなければいけない。それは決して楽なことではないんだよね……。もしまた観ることがあれば、照明の使い方や、人が加わるときの展開に注目してもらえたら嬉しいね。あの展開は、すごく素敵な形で表現できたかなと思っているからさ。

──音楽と絵の同期、融合という意味では、『ファンタジア』を初めて観たときの感動に似ているのかな、って今、お話を伺いながら思いました

ファウン:嬉しい! 希望とか信念を持っているあのシーン、撮影に関するこだわりを更にお話しすると、実はカメラがすごく能動的でアクティブに動くようになっているんです。

最初は全てが制御されているかのような、割と固定された非常にエレガントな動きなんですけれど、スターが降りてくる前にカメラワークが大きく、激しく変わっているんです。あるきっかけで、カメラワークだけでなく色彩なんかも他のシーンとはちょっと違っていることを感じてほしい、って思いながら作りました。

──やばい! もう1回観ます!

クリス&ファウン: (笑)

<<※注・以下、展開・登場人物に関する記述があります>>

これまでとは違うヴィランの描き方

──ところで、今回のヴィランの描かれ方は、歴代のものとちょっと違う部分があるな、と感じました。
純粋な“悪”そのものではなく、“善意”や“正義”といったものが変質しているのかな、って感じたんです。だからこそ、ちょっと変わったヴィランだなって僕は思ったんですけれども、今回、ヴィランを描くにあたって気をつけた部分はどこだったんでしょうか?

ファウン:まず最初の設定として、(舞台となる)ロサス王国の人々は王国と王を信じているわけですよね。観客の方にも信じてもらわなければいけない。で、マグニフィコ王が言ってることって実は結構正しいじゃないですか。人生はカオスがあって、いろいろ辛いことも私たちにはありますよね。その「自分が一番大事なもの」を他の人に委ねてしまい、いっそ忘れてしまったら楽になるかもしれない。これ、多分みんな感じたことがあるんじゃないかしら……。で、アーシャも最初はそれを信じていたんですが、委ねるのではなく「守りたい」っていう気持ちが起きた時に、マグニフィコとアーシャでは違った解釈をするんですね。

マグニフィコはコントロールすることで守ろうとする。アーシャは主体性を持って行動することで変えようとする。だから2人がもともと同じ考え方を持ってたっていう部分が、私たちのこだわりでもあるんです。

けれど、違った方向にそれが向いてしまう。マグニフィコは間違った選択をしっぱなしなんですけれどもね。

クリス:確かに君の言うように、彼は今までのヴィランと彼はちょっと違うね。これまでヴィランは割と最初からヴィランとして登場することが多かったと思うんだ。

ウィッシュでは、だんだんと彼がダークサイドに落ちていく起源(オリジン)まで描かれている。だからこそ、この作品はマグニフィコのヴィランとしてのオリジンストーリーでもある、という風に僕は思っているよ。そこが今までと違うかな。

──そうでしたか……だから、ちょっと今回のヴィランである彼にはなんだか思い入れというか、ちょっと違う感情を抱いてしまいました。可愛そうだな、っていう気持ちであったり。

クリス:そういったところも是非、注目してもらいたいね。あ、そうだ。(スタッフに向けて)何か描くものないかな。

(紙と鉛筆を受け取りながら)……そうだな、“スター”にしよう!

──?!!!

クリス:(スターを描きながら)球体は基本なんだ。アニメーターの初歩的なクラスでは、球体を動かし弾ませて、伸びたり縮んだりっていう描画の練習をするんだ。だからどのアニメーターもきっと(ウィッシュの)“スター”を見ると、それを思い出すはずだよ。さて、名前は「KOJI」でいいのかな。他に名前を入れようか?

スタッフ:それでしたら、別室でプロデューサー(ピーター・デル・ヴェッコさん、フアン・パブロ・レイジェスさん)を取材しているヤママチミキさんのお名前で

■【関連記事】『ウィッシュ』プロデューサーにヤママチミキ(GANG PARADE)がインタビュー!「この映画はディズニーファンの方へのラブレター」
https://getnews.jp/archives/3471736

クリス:OK! MIKI……と。ミキであれば、(絵は)これかな。

(クリス監督、ミッキーマウスを描き始める)

一同:ミッキー!!

──うわあああ、あ、ありがとうございます! すごい魔法が! 今日は本当にありがとうございました!!

クリス:(笑) アリガトウゴザイマス!

貴重なお話のみならず、とんでもない特別なサインをいただいてしまいました……。
終始にこやかに対応してくださったクリス・バック監督、ファウン・ヴィーラスンソーン監督、ありがとうございました。

■【関連記事】『ウィッシュ』は「懐かしさと新しさが融合したような映画」「歴代作品の要素を見つける楽しさも」レビュー
https://getnews.jp/archives/3467097 [リンク]

『ウィッシュ』
■監督:クリス・バック『アナと雪の女王』『アナと雪の女王2』、ファウン・ヴィーラスンソーン『アナと雪の女王』『ズートピア』
■脚本:ジェニファー・リー『アナと雪の女王』『アナと雪の女王2』 
■音楽:ジュリア・マイケルズ『シュガー・ラッシュ:オンライン』
■製作:ピーター・デル・ヴェッコ『アナと雪の女王』『アナと雪の女王2』、フアン・パブロ・レイジェス『アナと雪の女王2』『ミラベルと魔法だらけの家』
■声の出演: 生田絵梨花(アーシャ役)、福山雅治(マグニフィコ役)、山寺宏一(バレンティノ役)、檀れい(アマヤ王妃役)、鹿賀丈史(サビーノ
役)
■原題:WISH 全米公開:2023年11月22日 
■配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(C)2023 Disney. All Rights Reserved.

撮影:藤本エリ

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