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【堀江貴文氏×久住英二医師】アフターピルも性教育も、まずはYouTuberから!(ナビタスクリニック)



今回は『ナビタスクリニック』ブログからご寄稿いただきました。


※元のタイトルは「-【堀江貴文氏×久住英二医師】アフターピルも性教育も、まずはYouTuberから!(後編)-」です。


【堀江貴文氏×久住英二医師】アフターピルも性教育も、まずはYouTuberから!(ナビタスクリニック)



進まない緊急避妊薬の市販化――状況を打開するには?


まとめ



・オンライン処方でもアフターピルの需要の多さを実感、しかし進まない市販化。女性自身が“生き方”を決められない現状。


・中絶は年間16.5万件。望まない妊娠を回避するために、まずアフターピルをもっと知ってもらいたい。


・性について話す文化も、適切な性教育もない日本。YouTuberの共感こそが突破口!?


※前編「HPVワクチン問題、2つのデマに翻弄される接種政策」『ナビタスクリニック』

https://navitasclinic.jp/archives/blog/2871


※中編「HPVワクチン“被害者”の真実と、積極勧奨再開への道とは?」『ナビタスクリニック』

https://navitasclinic.jp/archives/blog/2888


※後編「アフターピルも性教育も、まずはYouTuberから!」『ナビタスクリニック』

https://navitasclinic.jp/archives/blog/2917


アフターピルの市販化を妨げているのは誰?


ナビタスクリニックでは、昨年9月からアフターピル(緊急避妊薬)のオンライン診療を開始しています。今までに200人以上がオンラインで処方を受けています。実際に来院されての処方はさらに多く、数百件に上りますね。それだけアフターピルの需要がある、という実感です。



でも市販化が進んでいない。例えば京都の女性がオンライン処方を利用された際に「そちらも近くに産婦人科あるでしょう」と聞いてみたんですが、やはり年頃の女性が産婦人科を受診するのは「心理的な抵抗が強い」と。だからオンライン処方は次善策なんです。


日本以外のG7諸国はOTC薬(市販薬)として、あるいは薬剤師さんのいるドラッグストアで、アフターピルを20~30ドルで買える。医師の診察が必要なのは日本だけです。けど実際、何を診察すればいいんですかね? 海外では駄菓子と一緒に打ってるものを、まず診察しなければならない、というのは科学的合理性がない


「こういうものが容易に手に入るようになると、女の子がふしだらになる」という説があるようです。でも、米国産婦人科学会の調査で、ふしだらにならないと分かっています。(笑)


要するに、手に入りやすくなったからといって、コンドームを付けずにバンバンやりまくる、なんてことはなりません。コンドームを使うけれども、破れたり外れたりといった万が一の場合のバックアップとして、アフターピルを利用するんです。かつ、性感染症が増えないこともデータで分かっています。


実は、厚労省ももうOTC化する気で、2017年には検討会の俎上に載ったんですね。パブコメでも9割賛成。それなのに、「性教育が遅れている」「日本ではまだ薬剤師が対応できる状況でない」といった反対意見が産婦人科医会や産科婦人科学会から出て、OTC化は見送られました。その場に薬剤師会もいたのに、よくそんなこと言わせておいたなと思いますけどね。



世界中で女性の健康や生き方にかかわる権利・決定権が脅かされている。


世界的にも近年、女性の「reproductive health and rights」、つまり生殖医療に関する健全性や権利は、危機的状況にあります。


米国アラバマ州では、人工妊娠中絶は一切禁止されました。レイプや近親相関でも中絶は認められません。違反した医師は、最長99年禁固刑。殺人と同じ扱いなんですね。レディー・ガガも「なんて茶番だ。怒りに震えている」とツイートしています。


世界でも、女性の権利や女性自身の決定権に関わることが、オジサンたちによって決められているんです。


アフターピルのOTC化についても、議論している厚労省のオンライン診療検討会は、男性ばかり。先日は医学部入試の女性差別が問題になりましたが、今後、医学部の学生は男女半々になる時代です。学会の理事や会長、検討会メンバーも、少なくとも半数は女性であるべきです。女性のことは女性自身が決めるべき日本の男性の歪んだパターナリズムが、女性の健康や権利を阻害している。


HPVワクチン問題もそうですが、当事者がどう思っているかが、国の制度に届いていないんです。



中絶件数は年間16.5万件、20代では4万件という日本の現実。


さて、ここからはアフターピル問題について、再び2人のフリートークです。(ナビゲーター:三輪綾子医師)


堀江 「アフターピルって、そもそも認知度低いですよね」


久住 「そうですね。今、高校生の保健体育の教科書には一応入ってるんですが、認知度はまだまだ低いです」


堀江 「そうですよね。これ性交渉後何時間までに飲むんでしたっけ?」


久住 「日本で売られていて医療機関で一般に処方される『ノルレボ』という製品は、72時間以内です。ただ、早ければ早いほど効果も高く、24時間以内では最大95%、その後80%台まで落ちていきます。僕が個人輸入してる『エラ』という製品は、最長120時間効きます。ただ、同じ72時間で比べると、エラのほうがノルレボより効果が高いとされています」



(Nikkeiトレンディネット)


堀江 「どういうメカニズムなんですか?」


久住 「プロゲステロンという女性ホルモンと同じ働きをします。服用すると、排卵が抑えられ、あるいはタイミング的に受精したとしても子宮内膜が変化して着床を防ぐ仕組みです。安全性は非常に高いので、今、コンビニで胃腸薬などが売られていますが、そうした薬の1つとしてコンドームの隣で売られていてもおかしくないものです」


堀江 「なるほど」


久住 「だからまず、もっと知ってもらう必要があります。というのも日本では現在、年間16.5万件の人工妊娠中絶が行われています。20代で言えば、出産件数が8万件に対して、4万件の人工中絶があります。ものすごい割合です。何とかしてあげたい。


これに加えて、妊娠21週を過ぎて違法に行われる、いわゆる“ヤミ中絶”も少なくないと言われています。『先生、うちの子まだ15歳だから生ませられないので、お願いします』と。そのくらいになると、赤ちゃんも動いて出きますからね。現場は壮絶です。女性の権利なので中絶そのものについてとやかく言うつもりはありませんが、当事者にとっても精神的負担は大きいに違いありません」



性は「恥ずかしいこと」? オープンに話す文化がなく、性教育も未熟。


久住 「日本では、女の子は性に関する話を友達同士でもしにくいでしょ」


三輪 「しないですね」


堀江 「え、しにくいの?」


三輪 「女の子同士、お互いの性生活の話は絶対しないです。日本はそういう文化じゃないので、何かあっても友達に相談できずに一人悩んでしまう子も少なくないと思います」


久住 「日本では性について真面目に語ることも忌避されている。教えたことになってるだけ。先生たちが恥ずかしがってるから、教わる方だって『恥ずかしいことなんだ』って思いますよね」



堀江 「HPVワクチンの件だって、若い女性は前がん病変までは事実を隠したがるんじゃないですか。『あれって、性行為でなるんでしょ』って言われるから。そのために、亡くなった後も病名公表しないままの女性芸能人なんかもいるでしょうから」


三輪 「性について正しく教育を受けてない人が性教育を強いられているので、無理もありません」


堀江 「男子だって生理のことも知りたい。以前、付き合ってた女性が突然怒り出したことがあって。ここ怒るとこ?みたいな。後から『あ、生理だったんだ』って。男子は生理だと辛いとか、情緒が安定しないとか、知らないですから」


久住 「きっと生理以外にも怒らせる理由があったんでしょうね」(笑)



知識をアップデートしていないドクターも。むしろ動画教材を広めたい。


久住 「日本でも4か月にわたって月経を抑えられる超低用量ピルがありますし、欧米では皮下に埋め込むタイプのピルがあって、完全に月経コントロールがされています。ハンガリーにいる日本人留学生の女の子が、『クラスで自分だけ生理がある』と言ってましたよ」


堀江 「たしか生理って体にも負担なんですよね」


久住 「子宮に負担がかかりますね。子宮体がんも、ピルを飲んでた方がリスクが低下するという研究結果があります」


堀江 「意識高い系の女の子はみんなピル飲んでるイメージですね。でも、ドクターでも勧めない方も多いじゃないですか」



久住 「ナビタスクリニックの貧血外来も、50歳までは月経による貧血が一番多いんです。鉄剤を飲み続けるか、ピルで月経を止めるか、という判断になりますね。それなのに、巷の産婦人科ドクターでも知識をアップデートしていない方がいて、『いや、生理は自然な方がいいのよ』って言われちゃいました、とかいう患者さんもいます。そういう不勉強な医師がむしろ悪い方に働きかけてしまうこともあるんです」


堀江 「医師の言うこと信じますからね、我々は。みんな僕が言うと信じないですけどね。(笑) いやいや、けっこうそうよ。医者が言うと無条件に信じちゃう人って多いですよね」


久住 「そうですね。法律とか医学はものすごい知識量が必要で、だから弁護士とか医師が水先案内人として存在するのに、その専門家がアテにならなかったら、ものすごい負のインパクトですよね」


堀江 「じゃ、ぜひ動画教材をぜひ作りましょう。作ればきっとスタディサプリ*1 とかに載っけてもらえて、授業でもそれを見せればいいわけだから」


*1:『スタディサプリ』

https://studysapuri.jp/


久住 「ちょうど先日、性教育問題に取り組んでいるNPO「ピルコン」*2 代表の染矢明日香さんが、クラウドファンディングでお金を集めて、海外の性教育アニメーションの日本語訳版を完成させました。いろんなところで同じ思いを持っている人がるので、コラボできますね」


*2:「PILCON」

https://pilcon.org/


「海外で大人気の性教育アニメ動画を翻訳して日本で誰もが性を学べる環境を実現したい!」『Good Morning』

https://camp-fire.jp/projects/view/145994


「じゃあ先生、あとはyoutuberと対談しましょう」


堀江 「アフターピルも、もっとメーカーさんがばんばん宣伝できないの?」


久住 「日本では医薬品の広告は規制*3 されていて、製薬企業は患者向けに処方薬の宣伝ができないんですね。疾患啓発として、緊急避妊薬の存在を伝える広告ならできます。だからAC(公共広告機構)のCMで知ってもらうとか」


*3:「医薬品等の広告規制について」『厚生労働省』

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/koukokukisei/index.html


堀江 「もっとACに直接言いに行けばいいんじゃないの? 行けばいいんですよ」


久住 「はい、言いに行きましょう。言いに行く分にはタダなんで」


堀江 「たぶん認知が低いと思う。僕もアフターピルの存在は知ってるけど、最初は『え、そんな都合のいい薬ってあるの?』って思いました。ネットとかスマホとかない時代の、けっこう前の話ですよ。ほんとだったんだ、って」


久住 「都合が良くていいんです」(笑)



三輪 「アフターピルの話は、保健体育で1回聞いても忘れちゃうし、実際の行動にはなかなか結びつかないですからね」


久住 「こないだも『教えて!goo』で、避妊に失敗したという15歳の子に、みんなひどいことコメントしてました。『諦めなさい』とかね。うちはオンラインで、なおかつ通常9,000円のところ、高校生料金で6,000円で処方してます」


堀江 「あとはじゃあ、先生、YouTuberと対談しましょう中高生はテレビより圧倒的にYouTubeですよ。ヒカキンにアフターピルを紹介してもらうとか。


じゃ、今度YouTuberを集めた会をやるんで、そこに先生来てくださいよ。


JTもそうなんですけど、広告できない業種は、インフルエンサーに働きかけるんです。ライブのバックステージなどに商品とかそのサンプルを持っていくんですよ。電子タバコなんかも。『アーディストさんに渡せるなら協賛しますよ』みたいな。



で、僕、ラーメン二郎の和牛版みたいな「WAGYUJIRO」っていうラーメン店を出すんですよ。豚が牛になってるやつです。それをYouTuberの知り合いに言ったら、みんな食いたいって言うんで、じゃあ食いに来れば、ってことになって。みんなで集まるんです。そこに先生来てくださいよ。紹介しますから」


久住 「いいですね。マシマシな感じで。(笑)残念ながらアフターピルは配れないですけどね。あくまで困っている女性に処方するものなので、配るのとか、目的外で処方するのはNGなんです」


堀江 「そうなんですね。それでもけっこういいキャンペーンだと思いますから、みんな賛同してくれるんじゃないですか彼らが連携して望まない妊娠を回避しようとか、HPV予防しよう、って言ってくれたら、すごい拡がると思う


【完】


 



堀江貴文(ほりえ・たかふみ)

予防医療普及協会理事、SNS media&consulting株式会社ファウンダー。1972年、福岡県生まれ。現在は自身が手掛けるロケットエンジン開発を中心に、スマホアプリ「TERIYAKI」「755」「マンガ新聞」のプロデュースを手掛けるなど幅広い活躍をみせる。 自身のwebメディア ホリエモンドットコム でも予防医療の重要性を呼びかける。

(予防医療普及協会HPより転載)

https://yobolife.jp/members/



久住英二(くすみ・えいじ)

医療法人鉄医会(ナビタスクリニック立川・川崎・新宿)理事長。内科医、血液内科医、旅行医学、予防接種。新潟大学医学部卒業。虎の門病院血液科、東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム部門研究員を経て2008年、JR東日本立川駅にナビタスクリニック立川を開業。好評を博し、川崎駅、新宿駅にも展開。医療の問題点を最前線で感じ、情報発信している。医療ガバナンス学会理事、医療法人社団鉄医会理事長内科医、血液専門医、Certificate in Travel Health、International Society of Travel Medicine。


 

執筆: この記事は『ナビタスクリニック』ブログからご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2019年6月19日時点のものです。


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