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衝撃の恋愛ミステリー『彼女がその名を知らない鳥たち』白石和彌監督インタビュー「蒼井優と松坂桃李にあんなことさせてます」



蒼井優さん、阿部サダヲさんW主演『彼女がその名を知らない鳥たち』が10月28日(土)より全国ロードショーとなります。


W主演の蒼井優さん、阿部サダヲさんの二人に加え、松坂桃李さん、竹野内豊さんといった実力確かな豪華俳優陣が織りなす“全員最低なのにまぎれもない愛の物語”が描かれる本作。蒼井優演じるクレーマーで自分勝手な女・十和子や、阿部サダヲ演じる不潔で下劣、そのうえ十和子に異様な執着を見せる男・陣治、松坂桃李演じる一見誠実そうな風貌ながらとにかく薄っぺらな水島、竹野内豊演じる十和子の昔の恋人であり、自身の出世や保身のためなら女を道具に使うことも厭わない黒崎と、全員共感度0%なクズなキャラクターたちばかりです。


本作でメガホンを取るのは『凶悪』(13)、『日本で一番悪い奴ら』(16)の白石和彌監督。ノンフィクションを原作に骨太な社会派エンターテイメントを作り出してきた彼が、初めて本格的な大人のラブストーリーに挑みます。



――映画拝見しまして、本当に素晴らしかったです。元々原作の大ファンでして、作品観た後にはもっと考えたりもっと感動してます。


白石監督:ありがとうございます。原作読み直しました?


――読み直しました。


白石監督:この映画観たあとに結構読み直してくれる人が多くて、「原作どうだったろうな」って思うのでしょうね。


――思いました。時間の流れ方とか、映画の方が分かりやすくなっていると感じたのですが、監督も意識して整理されたのでしょうか?


白石監督:しました。原作の面白い、好きなエピソードたくさんあったんですけど、尺との戦いで全部は入れられなくて。目がはれちゃうエピソードとか、イケメンに声かけられて金払おうとしちゃってって所とかもかなり好き。尺は、本当はもうちょっと刈り込めるなら刈り込みたかったけどただこれ以上刈り込むと失うものも多い気がしていて。一度作り終わって観た後に体感としてちょうど良いなと思ったのでコレで行こうと。


――監督は『凶悪』『世界で一番悪いやつら』と実録物を続けて撮られていて、どちらも最高ですが、今回小説を映画化して色々と違いを感じましたか?


白石監督:そうですね。普段、他の方がどうやって原作ものを映画化してるか知らないですけど、今回に関しては原作が好きになったから、惚れ込んだからできたっていうのはありますね。全く別物にしてやろうって意識は無くて。できれば、この世界観を大事に、最初に原作を読んだ読後感を、映画見たときも残せるといいなと思いました。この本って読んだ時にしんどいんですよ。十和子がずーっと愚痴ってるし、大好きな黒崎さんにはどうやら殴られたりとかしてるし何なの? ってずっと思うのですけど、色々分かった瞬間の“美しさ”を出せれば良いなと思っていました。


――キャスティングが、皆さん本当に素晴らしかったです。


白石監督:蒼井さんに関しては、最初から、蒼井さんがいいなと思ってたので引き受けていただけてありがたかったです。そして陣治のキャスティングは、まず重要なのが年の差で、阿部サダヲさんが最近いい人の役が多くて、逆に最近、汚い役とかやってないから、楽しんでくれるかなって思いつつオファーしました。1年半くらい待ったんじゃないかな、2人が合うタイミング。竹野内さんと松坂君はプロデューサーからの提案で、思ってたよりビッグネーム過ぎて、やってくれると思わなかったです。やってなんにも得しないじゃんって(笑)。


――この圧倒的好感度のイケメン2人がこの役を演じるの、世の女性は衝撃でしょうね。


白石監督:特に最初はいい感じに描かれていますからね。この2人がいるから、物語がすごいよくなったんですよ。松坂君の役はあそこであんなことする?! って感じなんですけど、もちろん誇張してるけど、不倫関係におちるってああいうことなのかなって思う部分もあって。


――突発的に始まっちゃう感じですよね。事前の資料で拝見しましたが、松坂さんはベッドシーンを率先して動いてくださったそうですね。


白石監督:そうそう。頭がいいっていうか、台本を読んで「自分は水島をやるんだ」ってなった時の立ち位置と役割を、ものすごい認識してくれる。普通は俺が俺がってなっていくのだけど、前への出方と下がり方の、自分の位置の見つけ方がすごいんです。頭が良い。


――水島というキャラクターはここまで極端じゃないにせよ、こういう男いるよなって思いました。


白石監督:そうですよね、絶対いると思う。


――監督が出会ってきた人たちの言動を足してリアリティを出したり、ということも?


白石監督:もちろん。それは色々追加してますね。十和子が途中で水島に会いたい気持ちが募りすぎてほぼストーカーになりはじめるとこは、僕が若い頃に、ストーカーぽい被害にあったことがあって、そういう強迫観念にかられる感じとかは足していますね。


――竹野内さんも酷すぎる役柄ですけど、抵抗なく演じられていたのでしょうか?


白石監督:最初は、こういう役はほぼやったことないって不安がってましたけど、始まっちゃえば楽しくやっていました。まじめで優しいし、暴力嫌いなので黒崎って真逆の役柄で。殴るシーンの後に「暴力はいけない」って言ってましたから。


――本作は海外でも公開されて評価を得ていますが、日本の観客と海外の観客で反応の違いは感じましたか?


白石監督:基本的には、感じてることは一緒なんだなって思いましたね。原作の沼田まほかるさんは元僧侶だから、小説のセリフまわしでも「お前の腹に何か(子供が)入ったら男でも女でも、それは俺やで」って輪廻天性っぽいこと言うじゃないですか。その感覚も、海外の方でも理解されている人は多かったですね。後は、日本人も好きだけど、海外の人も不倫大好きなんだなって(笑)。正式なパートナーになっちゃうと、相手の嫌なところしか見ないけど、不倫って、良いところしか見ないでしょ。それは楽しいに決まってるよね。


――監督は原作のファンだとおっしゃっていますが、自分じゃない人が生み出した面白い話を読んだ時って嫉妬することはありますか? 素直に感激しますか?


白石監督:両方でしょうね。両方だと思いますよ。この作品に関しては、最後のああいう提示の仕方が僕には思いつかないだろうなって。嫉妬というか、すごいなって思いました。あとは咀嚼するまで、時間かかったというのもあって。映画化するのは無理だと思いながら、やっていくうちに、まほかるさんのやろとしたことが、じんわり分かって来たのもあります。嫉妬することも、もちろん多々ありますね。


――逆に監督が人からの嫉妬を感じることはありますか?


白石監督:人の嫉妬? あんまり感じたことはないかな。どうなんでしょうね。わからないです。でも例えば『日本で一番悪いやつら』で、綾野剛がシャブをうつシーンが映画のクライマックスというか、一番の見せ場だったりするじゃないですか。シャブを打つシーンが最大の見せ場って映画は最近では日本で僕しか撮ってないですから、「うらやましいな」って言われたことあります。それはそうね。と思いますね。この映画で言うと大阪城の前で○○させたりとかするのは、なんでそんな馬鹿なことしてんだろうって思ってもらえるかもね。松坂くんと蒼井優ちゃん使って大阪城の前で○○。これは嫉妬されたら、ざまあみろって感じでしょうか(笑)。


――○○がどんなシーンなのかは劇場で確かめよう! ということで(笑)。今日は楽しいお話をどうもありがとうございました。


『彼女がその名前を知らない鳥たち』10月28日公開

http://kanotori.com/


(C)2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会


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