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【体験レポ】3泊4日のバスツアー! 居酒屋“塚田農場”運営会社の入社式がスケールでかすぎた件



社長、モアイじゃん。そう思った。


変な……いや、工夫を凝らした入社式を行う企業が、このところ増えている。地鶏居酒屋“塚田農場”などで知られるエー・ピーカンパニーも、2017年4月、一風変わった入社式を行った。


バスツアー、モアイ、バーベキュー。“塚田農場”の地鶏が育つ、はじまりの地・宮崎県に、全国から90名の新入社員が集うのだ。3泊4日で。



面白そうなので取材に向かったら、なんと筆者も新入社員の一人として扱ってもらえることに。ちゃっかりバーベキューに参加し、“塚田農場”名物『じとっこ炭火焼』(※みやざき地頭鶏を焼いたもの)をつまみに酒を呑んでいた。そこで、すごいものを見た。


「そろそろ閉会でーす!」


その一声を聞き、社員たちが何をしたか。


残り物をすべてかき集めはじめたのである。ごみ袋ではなく、冷蔵車に。


「明日も食べられる!」

「ウチ、まだ食べたい!」


ハムスターみたいにほっぺたを膨らませ、おにぎりを大急ぎでほおばる新入社員もいた(かわいかった)。



エー・ピーカンパニーでは、食べ物を大切にする。それは、お客さんとして“塚田農場”に行って、『じとっこ炭火焼』を注文しても感じられることだ。食べ残しがあると違う調味料を持ってきてくれたり、鶏油(ちーゆ)まで余さず別の料理にしてくれたり(※店舗によってサービスは異なる)。直接契約の農家から仕入れた地鶏も、捨てるのは頭・羽根・内臓の一部だけ。ほとんど一羽まるごとを、食用に加工している。


食べ物を大量に捨てる飲食業者も珍しくない中、なぜ、“余さず頂くこと”に挑み続けられるのか。っていうか、なぜモアイなのか。その理由を、入社式から探してみよう。



モアイが見守るテーマパーク“サンメッセ日南”にて、雨の中行われた入社式。会場のスケール感、はんぱない。



新入社員同士で協力し合い、雨をしのぐ。



筆者も新入社員扱いなのでここに座ったのだが、社員さんは私のイスまで拭いてくださった。



モアイとメディアに取り囲まれる新入社員、青山さん。ちょっとびびるよね。


社長・米山久氏のスピーチも、ファンキーだった。


「皆さん、これから変わっていくエー・ピーカンパニーにとって、本当に必要な人材です。僕ら、このへんのジジイがずっとやってる場合じゃなくてね。早く社長を楽にさせてください」


そんな社長と、宮崎県日南市長・崎田恭平氏のトークセッション。天候のため、サンメッセ日南の世界昆虫展展示室に場を移しての開催となった。


社長と市長。たいがいは、めっちゃ無難なトークに終始する組み合わせである。ところが……。


司会のおねえさん「ではまず、米山社長から、崎田市長の第一印象を聞かせてください」




米山社長「かるぅ!!」


軽いのはどっちなのか。笑っていいものか空気をはかりかねる新入社員たち。


米山社長「今回、こういう入社式は初の試みです。みなさん、いいよね、生産地の宮崎までバスツアー、旅行気分でね……」



米山社長「そこメモる!?」


真面目である。


そう、真面目なのだ。新入社員が全国から宮崎県に集ったのも、ただ、遊ぶためではない。生産者の皆さんや、加工センターの皆さんに会うためだ。



居酒屋“塚田農場”のキャッチフレーズは「生産者とお客さまを繋ぐ」。物語は、みやざき地頭鶏をどうしても店で出したかったがどうしても売ってもらえず、「そんなに言うなら自分で地鶏を作ってみろ」と言われて本当に宮崎に養鶏場を作っちゃった2006年から始まる。地鶏料理を出すのにヒヨコからはじめることで、食料自給率の増加や、宮崎での雇用創出に貢献。流通プロセスもシンプルになるため、6000円~8000円するのが当たり前だった地鶏専門店を、客単価3800円程度とリーズナブルに展開することも可能になった。


新入社員たちを前に、生産者は語る。「普通、育てたニワトリは、屠殺場に持って行ったら終わりなんだよ。手間暇かけて育てたやつらが、どこに行って、どういうふうに食べられたのかなんて、わからない。でもエー・ピーカンパニーと直接契約するようになったら、お客さんに届くところまで見えるようになった」。新入社員も言う。「(生産者の)山田さんに会えたから、これからは、山田さんのニワトリをお客様に出すんだ、と思いながら(仕事を)やれる」


地鶏農家だけではない。漁師や、野菜農家とも、直接手を組むのがエー・ピーカンパニーのやり方だ。塚田農場のほか、同じくエー・ピーカンパニーが手掛ける“四十八漁場(よんぱちぎょじょう)”からも、おいしい寿司が届き、最後は盛大な立食パーティーとなった。



「食べてごらん」「おいし~い!」



しかし、さすがは飲食業界人。ごちそうにキャッキャしていても、お皿の持ち方がキレイである。




お肉に大喜びしている新入社員、佐藤さんにお話を伺ってみよう。



「地域活性化について学んできたので、社会人として取り組むにはエー・ピーカンパニーだと思って入社しました。日南市の市長も来て下さって、地域とのつながりを感じました。市の活性化に貢献したいと思います。社会人だな、と実感しました。早くお店に入りたい。(新入社員代表スピーチもしたが)さっきはどこ見ていいかわからなくて、草原見ながら話してました



ものすごいスケールで行われた、2017年度、エー・ピーカンパニー9期生の入社式。新入社員の皆さんのうち一部は、既にお店に立っている。お話を聞かせてくださった佐藤祐樹さんは、横浜西口店の配属だそうだ。



佐藤さんに会いに。生産者の顔が見えるものを食べに。今夜は、“塚田農場”で飲んでみるのも、いいかもしれない。


写真:筆者撮影

『じとっこ炭火焼』写真提供:エー・ピーカンパニー


―― 見たことのないものを見に行こう 『ガジェット通信』

(執筆者: 牧村 朝子) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか


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