犬は生卵を食べられるの?

卵を抱える犬

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犬が生卵を食べられるかどうかについては幾つか伝承や諸説があります。

「生卵は食べない方が良い」「白身はあげない方が良い」「人間と同じように、生卵を食べるとスタミナがつく」など、不確かな情報が出回っているのも事実です。

今回は、生卵やゆで卵の安全性、犬の健康や栄養素にまつわる話を取り上げてみました。

生卵を食べても大丈夫か

結論から言うならば、衛生面と過剰摂取に気をつけさえすれば食べても毒性はありません。それぞれ詳しく見てみましょう。

衛生面で気を付ける

衛生面というのはサルモネラ菌です。サルモネラ菌とは腸内細菌の一種で、一部のサルモネラ菌は人間や動物に感染して疾患を発生させます。腸チフスやパラチフスを引き起こすものや食中毒を引き起こすものに大きく分かれており、ワクチンを接種することで予防したり治療したりすることが可能です。

サルモネラ菌の病原性や感染力はそれほど強くなく、毒性という点で特に特筆すべき危険な細菌というわけではありません。

しかし、牛や豚をはじめとする多くの家畜や自然界に存在する多くの動物、犬や猫、亀などのペットも保菌しているとされており、広範囲にわたって存在しているゆえに感染例が非常に多いのが特徴です。

人間の腸内にも生息している菌であるため、本来は自然界に存在する細菌のひとつです。

犬に生卵を食べさせる際は、このサルモネラ菌に注意する必要があります。卵に関しては、卵殻内に直接進入する場合と、殻の表面などに付着する場合と、感染経路が二つあります。

しかし、日本では生食を前提として品質管理や販売がなされているため、そこまで気にする必要がないのも事実です。なぜなら、鶏がそもそもサルモネラに感染しないように、抗生物質を与えたりワクチンを接種させたりしているため、サルモネラ菌自体があまり存在していないからです。

殻の洗浄も徹底的で、糞や血が付いていることもまずありません。そのため人間も生食で卵を食べることができ、普段私たちが安全に食べている卵であれば、犬が食べてもサルモネラ菌に感染することはないでしょう。

どうしてもサルモネラ菌が気になるのであれば、加熱して殺菌するのが最善です。サルモネラ菌は60℃以上の温度で5~10分、100℃以上の温度で数秒加熱すると死滅します。

余談ですが、海外でサルモネラ菌に感染する人が多いのは、生で卵を食べる習慣が無くても半熟で食べたり、常温保存や作り置きのぬるい温度で保存したりすることが原因です。

サルモネラ菌は8℃以下なら増殖しないものの、15~40℃では盛んに増殖するため、加熱して殺菌したい場合は黄身が固くなるまで火を通す必要があります。

そして低温できちんと保管されている卵であれば、人間や犬が中毒を起こすほどのサルモネラ菌が増殖していないため、生食でも菌に感染するリスクは非常に少なくなります。

過剰摂取

過剰摂取すると、卵白に含まれる「アビジン」という成分が、必須のビタミンである「ビオチン」の摂取を妨げてしまいます。これが「犬は白身を食べてはいけない」とされる理由のようです。

アビジンとは、鳥類や爬虫類の卵管で生産されるタンパク質であり、動物の卵の白身にしか蓄積されません。このアビジンは、必要なビタミンであるビオチンに吸着して排泄物と一緒に外に出てしまうため、ビタミンの摂取を妨げ健康を損なってしまう可能性があります。

アビジンそのものは細菌が成長するのを妨げる機能があると考えられていますが、ビタミンを不足させてしまうため摂取すべきではありません。

実際に1940年代に行われた研究で、卵の白身を中心とした食事を与えていた鶏が、食事の中にビオチンが含まれているにもかかわらずビタミン不足に陥ったと報告されており、アビジンの摂取は動物にとって害があることが分かっています。

付け加えると、現在ではアビジンとビオチンの親和力を利用して、がんや免疫に役立つ薬の開発が研究されています。

とは言うものの、毎日2個以上の生卵を食べているというようなケースでない限り、犬がビオチン欠乏症に陥ることはないとされています。

人間の場合で言えば、毎日生卵10個以上がビオチン欠乏症のラインだと言われています。こういった極端なケースでなければ、卵をある程度食べても大丈夫です。

しかし、やはりリスクがあるのが卵の生食であるため、わざわざ生卵を食べさせなくてもいいでしょう。黄身には豊富な栄養素が含まれていますが、食べ過ぎは肝臓や腸に多大な負担をかけてしまうため、やはり過剰摂取を避けるのが賢明です。

#ゆで卵なら安全性は高い 前述のように、サルモネラ菌などの細菌は熱を加えると死滅するため、ゆで卵のように一定時間高温にさらして調理するのであれば、細菌の危険性はほとんどなくなります。アビジンの過剰摂取には気を付ける必要がありますが、衛生面で心配する必要はないでしょう。

火を通しても、その他の栄養素は残っています。ビオチンのブドウ糖を代謝する作用や皮膚を健康に保つ機能、ビタミンB2の粘膜を養う作用、ビタミンB12の赤血球を合成する作用などは、ゆで卵でも摂取することが可能です。

「完全栄養食」と呼ばれるほど、卵は栄養素をたくさん有している食品です。シニア犬や栄養補給が必要な犬には、むしろ積極的に与えてもいいほどです。

フードはどれほど重要か

栄養たっぷりのえさ

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卵にはたくさんの栄養がありますが、犬は普段ドッグフードを食べています。ドッグフードに卵やその他の食材を追加すべきでしょうか?それともフードだけを与えていても良いのでしょうか?

ドッグフードは栄養学的に優れている

基本的に、犬はドッグフードだけを食べていても健康を保つことが可能です。ドッグフードであれば何でもいいという訳ではありませんが、総合栄養食としての基準や要求を満たしているフードであれば、それだけを食べていても犬が体調を崩すことはありません。

犬の健康は人間のそれとは違います。人間にとっては健康的なものでも、犬には役に立たないどころか有害なものさえあります。しかし、一般的なドッグフードは犬が摂取すべき栄養素を計算して含めており、それさえあれば犬が栄養失調に陥ることはありません。

ところが、食いつきや療治食の観点から食材を追加してやりたいと思う飼い主さんもいらっしゃることでしょう。

ドッグフードに追加する場合

犬は与えられるものしか食べることができません。自分で献立を考えて調理することも、何かを言葉で要求することも出来ないからです。そのため、愛犬のためにドッグフード以外の物を与えてやりたいと思われることもあるでしょう。

しかし、食材を追加する場合は栄養学に関する正確な知識や、犬の健康や必須栄養素についての知識、愛犬のアレルギーや栄養バランスに関する考慮が必要です。手作りフードや追加の食材では、栄養バランスの調整が難しいのが事実です。

良かれと思って与えていた食材、あるいは不足を補うつもりで与えていたものが、過剰摂取や栄養吸収の妨げになっているということも容易に生じ得るからです。効果的にドッグフードに食材を追加するために、追加すると良い場合について考えてみましょう。

情報提供元:mofmo
記事名:「犬に生卵を与えても良い?卵は与え方によってはメリットにもデメリットにもなる!