はじめに


SNSとの相性のよさもあり、過去の遺産かと思われた顔ハメ看板が、再び注目されて久しいです。旅の目的として取り上げる人はあまりいないかもしれませんが、顔ハメ看板があるということは、記念になるような何か、宣伝したいような何かがあるということ。顔ハメ看板をきっかけに、この秋出かけてみるのはいかがでしょうか? 顔ハメ看板二スト・塩谷朋之が秋におすすめの旅先とともに紹介します。

Text&Photo:塩谷朋之

なぜ空に穴? シュールなやんば見放台<群馬>


計画自体の問題点などがよく報道されていたので、記憶にある方も多いかもしれない八ッ場ダム。実はまだ完成していないのです。そんな八ッ場ダムの本体工事現場を見下ろせる場所に、「やんば見放台」と名付けられた無料の展望台があり、そこにある顔ハメ看板がなかなかシュール。

穴を開けた場所もステキなのですが、簡素化されたダムの描き方、水の表現、全ての要素が混ざりあって、他に類を見ない顔ハメ看板となっています。

屋外設置の上に、ダムの完成などのタイミングも考えるといつ無くなるかわかりません。なるべく早くハマられることをおすすめします。また、車道に割りと近いところに置かれているので車に注意して撮影してください。

時間が許せば近くの道の駅、「八ッ場ふるさと館」にも立ち寄りを。名物の八ッ場ダムカレーは陶器のお皿がダムの形という本格派で、なんとなくダムっぽく盛っている類いのダムカレーとは一線を画しています。天然温泉の足湯もあり、旅情気分も盛り上がります。


◆やんば見放台
住所:群馬県吾妻郡長野原町大字川原畑994
電話:0279-82-2317(現場見学について)

◆八ッ場ふるさと館
住所:群馬県吾妻郡長野原町大字林1567-4
開館時間:八ッ場食堂:9:30~17:30 ※冬期 9:30~16:45、足湯:6:00~21:00、八ッ場市場(農産物直売所):8:30~18:00 ※冬期 8:30~17:00
電話:0279-83-8088

大物を釣り上げる! 那須フィッシュランド<栃木>


もはや渓流釣りでは確実に釣り切れないサイズ感の魚と共に写真が撮れる顔ハメ看板。栃木県の那須フィッシュランドの中にあります。顔ハメ看板に描かれた釣り竿の先から釣り糸が出ていて、立体の魚に繋がっているという凝りようです。

渓流釣りが楽しめるのはもちろんのこと、道具一式を貸してくれる屋根付きのバーベキュー場があるので、大自然の中でのフィッシングから、そのままの雰囲気で食事もできます。

温泉施設も併設されていて宿泊も出来るので、ここだけで観光を完結させることも可能です。顔ハメ看板と魚の間に申し訳なさそうに差し込まれた案内からも察せるように、毎年7月にはほたるの鑑賞会も。全国でも珍しい、野生の源氏ほたると平家ほたる、2種類のほたるが自生しているくらい自然豊かなのです。


◆那須フィッシュランド
住所:栃木県那須塩原市板室46
電話:0287-69-0009
営業時間:7:00~17:00(季節により変動あり)※詳細は公式HP参照
定休日:無休
アクセス:車:東北自動車道黒磯・板室ICより約15分、東北自動車道那須ICより約20分

情熱感じる立体的なおかめ。タカノフーズ納豆博物館<茨城>


納豆が苦手な方でも、顔ハメ看板目的で訪れていただきたい博物館です“おかめ納豆”でお馴染み、タカノフーズの水戸工場の敷地内に建ち、そこにある顔ハメ看板はやはりおかめモチーフなのですが、立体的でかなり気合いの入った造りです。「穴開けたのそこなんだ」感と併せて楽しむとよいでしょう。

博物館自体は予約不要で自由に見て廻って、納豆の歴史を知れたりしますが、せっかくなので完全予約制の工場見学もいきたいところ。解説を聞きながらの90分ほどの工程で、自社で研究施設を有するタカノフーズならではの、充実した学びの時を過ごせます。


◆タカノフーズ納豆博物館
住所:茨城県小美玉市野田1542
電話:0120-58-7010(事前予約制)
見学開始時間:午前の部:10:00、午後の部:13:30
定休日:年末年始
アクセス:電車:JR常磐線石岡駅(上野より特急で約1時間)からタクシーで約30分

両面ハマりたいリバーシブル仕様、極楽カリー<神奈川>


顔ハメ看板がお店の外にある場合、だいたい歩道と車道に向かって置いてあることが多いので、撮影の時にちょっと人の波を待ってからとか、距離が足りないため車道に出て撮影、といった状況がしばしばあります。その点、極楽カリーは親切な置き方が嬉しい。リバーシブル仕様なのも高ポイントです。
大仏様と大黒様の両方にハマりましょう。

お店の食事メニューは、カレーライスにサラダとチャイが付くチキンカレーセットの1種類のみなので、迷うことなく安心です。パキスタンのおもてなし料理がベースのカレーで、どっしりとした満足感でお腹いっぱいになります。

外に出て少し歩けば直ぐに由比ガ浜の海岸。腹ごなしにぶらぶら歩くのも気持ちよいです。


◆極楽カリー
住所:神奈川県鎌倉市由比ガ浜3-9-47
電話:0467-61-1807
営業時間:11:30~14:30(LO14:00)
定休日:火曜、月末水曜

顔ハメをしながら食について学べるサイボク日高本店<埼玉>


数年前の全国テーマパーク入場者数ランキングで東京ディズニーランド・シー、USJに次いで、三位となった食と健康のユートピア、それがこちらのサイボク日高本店です。伺うまでは本当かいなと思っていたのですが、土日ともなるとかなりの盛況っぷりで、真実味が増します。直売所からレストランまで、どこも大賑わいです。年間400万人の来場だそう。

こちらの顔ハメ看板もだいぶインパクトがありますが、これだけではありません。というより何枚もあります。そしてその何枚もの顔ハメ看板の絵柄は、養豚から加工、調理へとストーリー性があり、顔ハメ看板で食育をしようとコンセプチュアルに置かれています。ぜひ子豚を抱えるところから始めていただきたい。

敷地内には温泉施設もあり、丸一日ここにいても何とかなります。何よりもここに来ないと日本3大テーマパークを制覇したことになりませんので、早めに行かれることをおすすめします。


◆サイボク日高本店(お肉売り場)
住所:埼玉県日高市下大谷沢546 
電話:0120-112-922
営業時間:平日:9:00~18:30、土・日・祝:8:45~18:30
定休日:水曜 ※祝祭日・特定日営業、7・12月は無休

◆天然温泉 花鳥風月
電話:042-919-2626
営業時間:10:00~22:00
定休日:月1回火曜 ※臨時休館有り、詳細は公式HP参照

おわりに


顔ハメ看板と一口に言っても、色々なものがあるんだとおわかりいただけたと思います。私は常に三脚を携帯しているので、顔ハメ看板もセルフタイマーで撮ることが多いのですが、三脚を持って旅に出るというのもなかなか億劫ですよね。顔ハメ看板に出逢った時、思い切って写真を撮ってもらってはいかがでしょうか。二人用なら見ず知らずの人でも一緒にハマってもらいましょう。そこから生まれるコミュニケーション、旅の思い出が確実にあります。


◆塩谷朋之(しおや・ともゆき)
仕事の傍らハマれる看板を求めて出掛ける日々。これまでにハマった看板は4,000枚以上。2015年に「顔ハメ看板ハマり道」(自由国民社)を出版。顔ハメ看板に関するアプリやイベントのプロデュース、情報発信を続ける。
情報提供元: 旅色プラス