iPhone&iPad用アプリ『Speed Tracker』は、「スピードメーターとGPS測定値との誤差を確認したい」「通勤時やツーリング時の平均速度、最高速度、距離、走行時間、停止時間、ルートなど、細かな運転記録をチェックしたい」という人に最適だという噂。ライダーにとってもちょっぴり気になるこのアプリを、多角的に使ってみた。


REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

速度(スピード)は?移動した距離は?職場から自宅までの移動にかかった時間は?ルートに関するデータを計測・記録・表示

画面表示は縦置き・横両置きの両方に対応。写真はすべて縦置きの例。

iPhone&iPad専用アプリ「Speed Tracker」はこんな人にオススメ!

iPhoneに表示される『Speed Tracker』のアイコン。

『Speed Tracker』は、「GPSスピードメーター」と「トリップコンピューター」を結合させた、iPhone&iPad専用アプリ。




 2014年にリリースされた『Speed Tracker』は、iPhoneユーザーである筆者が、「5点満点中、平均4.3点」という公式サイトの評価の高さにより、以前から気になっていたアプリの1つ。




『Speed Tracker』は無料で提供されているが、使用できる機能に制限があるため、希望する機能(下記)に応じて課金することとなる。




・ルート検索 GPS ナビゲーション &速度計:250円


・地図記録&GPSロガー ルートメーカー:490円


・スピードメーター HUD:250円


・広告の削除:250円




 無料で使用できるのは、基本的にスピードを計測する「GPSスピードメーター」のみ。ちなみに全機能を課金すると、総額1240円となる。




 今回、実際にすべてを使ってみた筆者的には、「いきなりすべてを課金する必要はないかな?」と感じた。上記の1~4(詳細は下記を参照)を参考に、まずは無料で使ってみて、その後に各自の用途に応じ、その都度必要だと思われるものを課金すればいいと思う。




 では早速、『Speed Tracker』を使ってみよう。

モノが動く速度(スピード)を計測できる「GPSスピードメーター」機能

停止時のスケールは180km/h。

35.2km/hでの走行時。

画面表示が縦置きの場合、トリップメーターも表示。走行データ記録の状態ならば換算されるシステム(写真は2.6km走行)。

クルマで100km/h制限の高速道路を90.3km/hで走行したところ。自動的にメーターは360km/hまで刻まれる。

「キロメートル」「マイル」「ノット」の速度単位変更、平均速度、統計など、多彩な機能を搭載。

 今回はバイク、自動車、電車の速度をテスト。画面表示は、すべての機能において、縦置き・横両置きの両方に対応。市販のスマホスタンドに固定しての視認性も良好だ。なお、テスト時(写真)は横置きの状態。




 市販のバイクや自動車は、一般的に、警察による速度超過の抑制や、安全確保のため、表示速度は実際の速度よりも、やや高めに設定されているという噂。




 リリースによれば、GPSスピードメーター機能は、電車、飛行機、船などの速度計測にも使用可能。実際に使ってみたところ、速度の単位は「キロメートル」「マイル」「ノット」の3種類から選択OKだ。今回は、「キロメートル」での表示にセットしてみる。




 筆者の愛車であるゴリラ改(110ccボアアップのフルチューン仕様)は、ノーマルの8インチから10インチにインチアップしているため、メーターギアボックスを社外の10インチ用に変更。また、スピードメーターは社外のデジタル表示型に交換。今回のテストでは、GPSスピードメーター機能とゴリラ改のメーターのスピードは、ほぼ同じだった。




 一方、我が家の奥方の愛車であるダイハツ・タントで試してみると、つまり、クルマのスピードメーターは、GPS計測よりも、5km/hほど高めに表示されていた。




 GPSスピードメーター機能のスケール表示は、停止時が180km/h。走行速度が上昇するにつれ、スケールの表示が自動的に増えるのが特徴だ。ちなみにクルマで100km/h制限の高速道路を90.3km/hで走行したところ、スケールは360km/hまで刻まれた(上記参照)。




 今回は、バイクや自動車に加え、電車の乗車時にも使ってみたが、速度はリアルタイムでまったく問題なく表示。GPSスピードメーターの機能は、超高速で走る新幹線や、驚異的な速度で離陸する飛行機の乗車時に使ってみるのも、実に面白いのではと思う。




 筆者的には、「飛行機が上空を飛んでいる時も、きちんと作動するのだろうか?」「作動するのならば、一体何km/hを示すのだろう?」「スケールは1000km/h表示になる?」等々、興味は尽きない。

通勤の走行記録や、配送等の運行記録にも重宝する「トリップコンピューター」機能

出発地~目的地を、自由に名前を付けて記録可能。写真は2箇所のルートを記録した例。

バイクで一般道(駅周辺)を走行した記録した例。各ルートの距離、経過時間、平均速度、最高速度、移動時間、停止時間を自動的に記録。

バイクで一般道(駅周辺)を走行した上記のグラフ表示。この機能は、停止、移動、速度などの運転状況を、つかみやすいのがポイント。

毎日の通勤の走行記録、ルート配送やルート営業の運行記録、サーキットでの走行データ収集など、ビジネスからレジャーまで幅広く活躍してくれるかも(写真はイメージです)。

 出発地から目的地までの距離、経過時間、平均速度、最高速度、移動時間、停止時間を自動的に記録し、グラフにする機能。トリップから集計された全てのデータが、一箇所に保存される。




 移動中か停止中かは、アプリが自動的に識別。それを基準に、平均速度を測定。移動と停止時間を別表示した、独自のトリップレポートが作成されるシステム。




 毎日の通勤の走行記録、ルート配送やルート営業の運行記録、サーキットでの走行データ収集など、ビジネスからレジャーまで幅広く活躍してくれる便利な機能だ。

画面の切り替えも即OKの「GPSナビゲーター」機能。交通の流れは色別で表示(停止・渋滞路は赤系)

地図表示。ルート表示は、速度によって色分けされるシステム。薄い=涼しい色ほどスムーズに走れた状態。写真の場合、濃い緑色=まったく渋滞なし。薄い緑色=まずまずの流れ。黄色=前が詰まってきている。橙=時々停止。赤=完全に停止。

上記の衛星表示。

上記のハイブリッド表示。国道、地域名、主要物などが表示される。

 記録した各ルートを、マップ(地図)で分かりやすく表示してくれる、GPSナビゲーター機能。画面は「地図表示」「衛星表示」「ハイブリッド表示」に即切り替え可能だ。




 内蔵のGPSナビゲーターにより、方向音痴な人も、道を覚えることが苦手な人も、夜に走った場合も、道に迷う心配はなし。いつでもナビゲーションモードに切り替え、これまでの行程と合わせて、現在の位置を確認することができる。




 この機能は、「道を忘れやすい」という人や、「ルート営業やルート配送、また、大型車の運転など、絶対に忘れてはいけない(間違えてはいけない)道がある」という場合には重宝すると思った。

運転記録は、メール送信やSNSでの共有も可能

「運転記録を共有したり、毎日のトリップを、もっと自由に比較したい」と思った人もいるはず。各ルートの走行データーは、使用可能な形式(CSV、KML、GPX)にエクスポートOK。メール送信はもちろん、Facebook、TwitterなどのSNSで共有することも可能。



運転記録は、メール送信やSNSでの共有も可能。写真上はCSVファイルにエクスポートし、メールで配信しているところ。

写真上は走行データが示されたCSVファイルを開いたところ。

「HUD(ヘッドアップディスプレイ)」機能も装備

「HUD(ヘッドアップディスプレイ)」のスマホ画面。自動車のダッシュボードに置くことで、(反転して)フロントガラスに映し出すしくみ。

日が沈んだ夜間に、フロントガラスへ映し出したところ。

 フロントガラスにGPSスピードメーター機能の速度を表示する「HUD(ヘッドアップディスプレイ)」。自動車のダッシュボードに置くだけで、速度を表示してくれる。




 ダッシュボードにスマホを置き、視認性をチェックしてみると……太陽が昇る明るい日中の場合、スマホの照度をMAXにしても、どんなに目を凝らしても、フロントガラスにスピードの表示はほとんど見えなかった(筆者のスマホはiPhone8だが、スマホ自体に問題があったのかは不明)。




 とはいえ、日が沈んだ夜間に、映し出してみると、写真のようにキレイに反映してくれた。

筆者独自の発見!ジョギングやウォーキングにも、有効的に使えるかも

筆者が趣味のジョギング+全力疾走した時のデータ例。ジョギングやウォーキングでも、有効的に使用可能だと感じた。

上記データのグラフ。筆者が全力疾走したところ、最高時速16.2km/hを記録。グラフにすると、ウォーミングアップ後に全力疾走した様子が顕著に表示。

陸上競技などにも、有効的に使える可能性あり(写真はイメージです)。

 今回テストしてみたところ、『Speed Tracker』の各機能は、バイク、自動車、電車等と同じく、ジョギングやウォーキングでも使用可能。




 軽いウォーキングの場合、速度が5km/h前後と遅すぎるためか、リアルタイムでの数値は、ややチグハグの状態。しかし10km/h前後のジョギングの場合は、リアルタイムで比較的安定して表示された。




 筆者はジョギングが趣味だが、特に下記の「トリップコンピューター」機能は、毎日のデータ比較による体調管理(速度が落ちたり、ペースが落ちる=体力が落ちている等が確認できる)に、ズバリ使える! と感じた。




 今回、「元・100m走の選手だった筆者が、51歳になった今、どのくらいのスピードで走れるのか?」と思いたち、筆者はウォーミングアップ後、全力疾走を試みた。その結果、最高時速は16.2km/hを記録(上記)。




 なお、陸上短距離界の元帝王、ウサイン・ボルト氏が、2009年に樹立した男子100mの世界記録(9秒58)の平均換算時速は、37.58km/h。ならば、MAXの時速は40km/hくらい?

『Speed Tracker』の総評!利便性:☆☆☆ 使いやすさ:☆☆☆ コスパ:☆☆

 繰り返しになるが、




1:GPS機能を使い、バイク、自動車、自転車、電車、船、飛行機など、“移動するもの”の、リアルな速度(スピード)を知りたい


2:毎日の通勤の走行記録、ルート配送やルート営業の運転記録、サーキットでの走行データ収集など


3:道を忘れやすい。もしくは、絶対に忘れてはいけないルートがある


4:ジョギングやウォーキングなどの、日々のデータ管理に超便利




 という人にはピッタリ。




 このアプリには、家電製品のような詳しい取り扱い説明書はないが、初めて使っても、スマホを使い慣れている人であれば、「これ、どうやって使うの?」という使いづらさはないだろう。ただし、コスパの面では、使用制限解除による課金が大きい分、星二つとした。




 とはいえ、今回のテストにあたり、このアプリはジョギングやウォーキングなど、筆者の日々の健康管理にも使えることを新たに発見。ジョギング&ウォーキングを趣味とする筆者的には、その点において、「この機能で、課金時の総額1240円は、決して高くないかな?」と思えたことを付け加えておこう。

・販売元:Oxagile LLC


・サイズ:69.9MB


・カテゴリー:ナビゲーション


・互換性:iOS 9.0およびwatchOS 2.0以降が必要です。iPhone、iPad、およびiPod touchに対応。


・言語:日本語、 イタリア語、 オランダ語、 スペイン語、 ドイツ語、 フィンランド語、 フランス語、 ポルトガル語、 ロシア語、 簡体字中国語、 英語


・位置情報:このAppは使用中に限らずあなたの位置情報を利用する場合があるため、バッテリー駆動時間が短くなる可能性があります。


・価格:無料


App内課金有り


完全アップグレード+ ¥730


ルート検索 GPS ナビゲーション &速度計 ¥250


スピードメーター HUD ¥250


広告の削除 ¥250


地図 記録 &GPSロガー ルートメーカー ¥490

Speed Tracker. GPS Speedometer and Trip Computer. iPhone &iPad App
情報提供元: MotorFan
記事名:「 バイクに使えるスマホアプリ「Speed Tracker」使ってみた。|GPSで速度や走行データを記録・追跡